お昼のじかん
ると
第1話
「ひまだ…」
何となく発した言葉がゆっくりと空気に溶けて消える
普段なら少し騒がしい弟がツッコミを入れてくれるのだが
生憎学校で、今は家に居ない
する事がないから見慣れた白い天井を見つめ続ける
ぐぐぅ〜〜〜
お腹がなった
少し恥ずかしくなる
顔が熱くなる感覚がした
「…あ、でも今誰もいないんだっけ」
じゃあお腹の音は誰にも聞かれてないのか…良かった…
まだ少しだけ熱い顔を手で仰いだ
でもあんまり効果はなかった
それでも何となく仰ぎ続けた
ぐぐぅぅ〜〜〜
またお腹がなった
また顔が熱くなる感覚がした
「…ご飯食べよ」
空腹を訴えてくるお腹をさすりながら身体を起こす
少し散らかっている部屋には筆記用具やら教科書やらが散乱している
目に入った時計は、今日が2024年の5月6日12時49分であることを知らせてきた
「もうそんな時間なんだ…はやいな」
家でゴロゴロしていると時間の感覚を忘れてしまうな…と思いながら
1階のキッチンへ向かった
冷蔵庫の中を見てみる
作り置きはなかった
「これ自分で作らないといけないやつか…」
億劫に感じながら適当に食材を漁る
自分の料理は適当に切って焼いて味付けしたら完成だ
「そこそこだなぁ」
見た目も味も平凡な料理ができた
出来た料理にレビューをつけるとしたら
星が3個つくかなと思うくらいの普通の味だった
「…暇だな」
孤食は久々…という訳ではないが
やはり、誰もいない食卓で1人ご飯を食べるのは暇である
暇を紛らわすためにテレビのリモコンを手に取る
流れてきたのはお昼の番組だった
服の特集が流れているようだ
ぼーっと見ていればテレビにうつる人達がわぁわぁ話し始めた
『いやぁ〜実はねぇ、最近の服を着るようになってね!
今まで着てこなかった服を着るのは勇気がいるけど案外楽しいものだね!』
『へぇ〜そうなんですか!良いですね!
新しいファッション、ぜひ楽しんでくださいね!』
「服は興味ないな…」
食べ終わったことだしもうテレビは必要ないだろう
そう思ってテレビのリモコンをいじった
また静かになったリビングを歩いて、キッチンにお皿を持って行く
「お腹も満たされたことだし2階に行くか…」
音を立てないように階段を上がる
音を立てずに歩くのは癖になってるな…
部屋についた後に、ちらりと時計を見る
前に見た時から1時間も時間が進んでいた
ノロノロと食べてしまったな
まぁいいか
ベットに横になる
また見慣れた天井を見つめ続ける
でも見つめ続けるのも飽きてきて目を瞑る
しばらくの間目を瞑り続ける
それでも眠気はやって来ず、
窓の外からのスズメの鳴き声がハッキリと聞こえたままだ
「今日も無理か…」
自力で寝る事を断念して薬瓶に手を伸ばす
薬瓶の横に置いてあったペットボトルの水と一緒に錠剤を飲み込んだ
ゆっくり、ゆっくり眠気がやってくる
いつもより多めに飲み込んだからか、眠気がやってくるのが少し早かった
あーやっと寝られる
また目を閉じて眠気に身をまかせようと体の力を抜く
ゆっくり、ゆっくりスズメの鳴き声が遠ざかる
もう少し
もう少しで寝られる
そして意識がなくなる…
が、しかし
その直後に目が覚めてしまった
意識が急速に上がっていく感覚と共に
スズメの鳴き声がハッキリと聞こえるようになってしまった
「…また寝られなかったな」
眠たくなくなってしまった体を起こして
ちらりと時計を見る
時計は先程見た時から5分もたっていなかった
ゆっくり、ゆっくりと
平日の昼が穏やかに進んでいった
お昼のじかん ると @ruto_hima
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