第6話 召喚術者と召喚者

 自分で話しておいて正直後悔した。


 今更どうしようもないってのに――


「四年間ずっとお一人で?」

「まぁね……僕の事より、ミアさん。君の事だよ」

「私、ですか?」


 彼女の首輪を見ながら頷く。


「そう。僕が契約が成立したんだよね?」


 ミアさんは首輪に手を添えて俯く。


「そう、です……通常なら様々な生物、成立します。わ、私、みたいに人が召喚されるのは、稀で……召喚術者が召喚者の真名、で……」


 彼女の首輪には小さな宝玉が填められていて、召喚直後は【赤】かったのに、僕が彼女の名前を確認した瞬間【青】に変わり――言葉が通じるようになったのだから疑いようもない。


「あ、あのマイト様はどうして私の名前を?」

「え、召喚する時に僕が詠唱しているのと全く同じ詠唱が被さって、その声が【ミア】って名乗ってたから……」

「そ、そんな……本当になんて、そんな……」


 ミアさん曰わく「例えばAさんとBさんとの相性が良い召喚獣がいたとして、その二人がに召喚した場合はされます」と。


 ふむ、同時の場合は魔力が強い方に権利がある。


 ん? 魔力が強い方……??


 僕とミアさんが同時に召喚を行い、人が召喚されること自体稀である筈。なのに第三者どころか、僕が同時召喚術者ミアさんを召喚してしまったって事は……?


「逆に僕が召喚されてたかも知れなかったって事? それ以前に――そもそも僕にの!?」

「……この世界にも魔力の源であるようですから」


 この世にそんなファンタジー要素があっただなんて……。

 

 僕たちの立場が逆だったらどんなによかったか、なんて考えても仕方ないし、僕がミアさんの為に言えることは、


「君が元の世界に帰れるように一緒に考えよう」


 偶然とはいえミアさんを召喚できたのなら【召還】も可能だろう。


 そう思っていたのに――


「お願いします! それだけは、私を棄てないで下さいっ! 御主人様あなたに棄てられたら!! どんなご奉仕だってしますからっ! 私を棄てないで下さいっ!!」


 僕に囚われず彼女ミアさんには元通り自由に生きて欲しいだけ。

 それが召喚してしまった僕の義務……違う、命を懸けてでも償わなくてはいけない大きな贖罪。


 しかし、絶望の慟哭を上げる彼女の次の言葉で頭が真っ白になった。



御主人様あなた契約破棄さ棄てられたら使い魔わたし!!」

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