第3話 考察と罪悪感

 家の中へ運んであげるべきなんだけれど、流石に素っ裸の女の子に無断で触れる訳にもいかず、ひとまず上からタオルを被せ人目に付かないようにしたものの、どうするべきだろうか。


 小学生の頃に読んだラノベで自分の為に尽くしてくれる使い魔に憧れ、周りに馬鹿にされながらも何度も召喚を試みていた。

 流石にドラゴンやフェンリルみたいな大層なモノじゃなく、普通の犬や猫、そこらのネズミでも何でもいいと思っていた。


 だからと言って、


「見知らぬ女の子はまずいだろ……」 


 頭を抱えてついぼやいてしまう。


 犬や猫なんかだったらペットとして飼うことができる。

 この子に限らず人間だったら……いや、既に事後だし大問題だ。下手したら未成年女子拉致監禁の容疑で捕まてしまう。


「ま、まぁ悲観的になる前にこの子についてだけど……間違いなくだろうなぁ」


 一番の根拠として、魔法が存在しないこの世界で原理は解らないけれど召喚にこと。


 あとは、彼女の艶やかなワインレッドの髪。


「染めてる可能性もあるけれど……を見た後じゃ、絶対にあり得ないよなぁ……」


 不可抗力で見えてしまったで……。そんなとこをわざわざ染める人はいないだろう……あ、思い出したら鼻血が出そう。


 落ち着くんだ僕……。


「あ~~っ! とにかく、あとはあの子が起きてからだよ!」


 そんな風に悶々としていると、


『ん、んぅ? ……へ? え、えぇえええええぇっ! ど、どうしては、裸なのぉっ!?』


 どうやら目が覚めた彼女が自分の状況に気付いて慌てているようだが、状況が判らない以上まだ振り返って声をかける訳にはいかない。


『えっ! ど、どうして!? それに、此処はどこ?? えっ、あ、あなたは誰ですか!?』


 ひどく混乱している模様。言葉が判らなくてもどかしい……。


『どうして……あ、タオル。さっきから後ろを向いたままなのは……~~っ!?』


 なんか息を吞む気配だけはなんとなく判ったけど……どうすればいいんだろう?


『気を失ってた私を気遣って? え? こ、これは使魔法陣!? ってことは……ああっ! く、首輪がぁっ…………』


 慌ただしい気配から急に落ち込んだ?

 迂闊に振り向けないのが辛い……。


『あぁ、でも……タオルを掛けて気を遣ってくれているから悪い人でもない? それにまだのようだし……』



 ぼそぼそと聴こえ、やがて背中を突かれた――

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