第2話 召喚できちゃった!?

「な、何故こんな事に……」


 僕は自ら引き起こしたに頭を抱える。


 により家には誰もいないことがせめてもの救いだけど、この状況に絶賛パニック中の僕には即座に対応する術が思いつかず、取り敢えず浴室からタオルを数枚取ってきてが視界に入らないよう覆い被せ後ろを向いて座り込んだ。


「ホント、なんでこんなことに……」


 両手で顔を覆い天を仰いだ。



    ※



 ついに夏休みを迎えた放課後の教室でそそくさと帰り支度をしていると親友の拓馬たくまが近付いてきた。


「やっと夏休みだな。お前はどうするんだ親友?」

「ん? 当然、夏休み中に使を成功させることだよ!」

「うぉいっ! まだそんな夢を見ているのかよ……。俺の親友が厨二病から覚めない件」


 大袈裟に両手を広げ嘆いて見せる拓馬に少しイラっときた。


「別にいいだろ。誰にも迷惑は掛けてないんだから」

「まあ、そうなんだけどよう。せめて女の子を連れ込んで〈ヒイヒイ啼かせて愉しみたいっ!〉って願望はないのかよ? せっかくの一人暮らしなのによぉ」

「どこの女たらしさ……一人だからこそ夢を叶えたいんだよ」

「へーへー、成功したその暁にはお披露目してくれよ。舞斗まいと


 こっちは真剣だってのに、おざなりに片手をひらひら振って離れる拓馬の背を見送り、特に親しい友達もいない僕もさっさと教室を後にした。



 午前中に終わった為、家に帰って早々軽い昼食を摂った僕は、休憩を挟んで自室から大きな模造紙を裏庭へ持ち出して広げる。

 そこに描かれているのは僕が考えた魔法陣。

 小学生の頃から描き止めては試すを繰り返し(呪文も同様)、この魔法陣も何千、何万代目の試作品かは定かではない。


「よし、今日こそは」


 心を落ち着けていざ――



「『森羅万象を統べる大神よ。我が魂と結ばれし生の息吹を導き給え! 誓約の下契りを交わさん! 我、舞斗[ミア]に祝福の鐘をっ!!』」


 あれ? 今、女の子の声が被ったような……。


 そう思ったのも一瞬――


「うわっ!?」


 魔法陣が光り輝き、吹き荒れる螺旋の風圧。

 長いこと夢みて望んだ瞬間の筈なのに、本当に実現した光景に困惑する自分がいる。



 ともあれ念願の使い魔を召喚する事に成こ……う?


「……………………ぅええぇっ!?!?」


 現れたを目にすれば男なら誰だって興奮するだろう。


 だけど、


「これ、僕、犯罪者にならない……?」



 なんせ魔法陣に横たわっていたのは、だったから――

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