使い魔召喚 ~特別な存在を求めた結果~
子乙女 壱騎
第1話 ミア・アグレイス
「次、ミア・アグレイス。前へ」
「は、はい」
先生に呼ばれた私は緊張しながら前にでる。
此処はラスレット王国随一の魔法学園で、国中から一定以上の魔力を持ち才覚を見出された十五歳の男女のみ入学が認められる。
本来私みたいな貧しい田舎村の小娘なんかには縁のない場所……と思っていたのに、村長さんの家で行われた適性検査で唯一合格して入学させられた。
嫌だったけれど、将来的にお父さんとお母さんに恩返しができると思い直し私は受け入れた。
適性検査で合格したとはいえ、何の教養もない私は同級生たちとは大きな差があり、奇異の目でみられ、蔑まれ、バカにされる毎日。
それでも心が折れなかったのは、お父さんとお母さんに恩返しするのは勿論。唯一合格した私を嫉妬するどころか、快く送り出してくれた村のみんなの役に立ちたいという想い。
精神、体力、睡眠時間などいろいろ削って勉強、魔法訓練に励んだ結果――学年第三席の座を射止めた私は、その努力がようやく報われる。
みんなから向けられていた冷遇はなくなり、第一学年最後の数ヶ月になって友達もできて、遅れ馳せながらも楽しい日々を過ごした。
あれから時は流れ、第二学年夏の長期休暇前日の今日、【使い魔召喚の儀式】が行われている。
学園の方針で第一学年から第二学年前半の今日まで魔法使いとしての基礎を学び、後半からは
長期休暇の前日に行われるのは、使い魔との意思疎通を図る期間を設ける為らしい。
使い魔との信頼関係を築いて支え合い共に飛躍できて初めて一人前の魔法使いとして認められる。
既に何人もの級友たちが召喚を終え、各々自分の使い魔と戯れている光景があちこちでみられる。いよいよだと思うと胸が高鳴ってきた。
(かわいい子が来てくれたらいいなぁ……)
「それでは、召喚を始めなさい」
「はいっ!」
先生に促され魔法陣の前に立った私は、心を鎮めて深呼吸してからみんなと同じように召喚の呪文を唱えたけれど……、
「え?」
輝く魔法陣を起点に渦巻く上昇気流。
通常ならその中から使い魔が現れるのに、
「きゃあぁぁぁっ!」
暴力的な風圧で私の体は舞い上がり、魔法陣の上へと頭から墜落していく。
そして――
「~~~~っ!」
眩い光に視界を奪われ意識が途切れた……。
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