6.コストコプライベートブランド・カークランド製品を知る知る魔王様
魚やお寿司のコーナーを過ぎると次は野菜や果物のコーナに三人はやってきた。そこでも果物や野菜の試食が行われている。そして魔王様のお眼鏡にかなったのは一粒が大きなブドウ。シャインマスカット。
その試食に並ぶと魔王様は飛鳥の分と二つもらう。
「ブドウであるな! クハハハ! 美味い!」
「美味しいね? 魔王様!」
飛鳥としばらくシャインマスカットを楽しむ。
「おーい、二人ともぉ! それ食べたらティシュとキッチンペーパー探しておくれぇ」
そう言って、ブロッコリーと白菜をカートに入れる烏子。これから鍋に必須の値上がりしている白菜が安く売っていた事と、野菜なのにタンパク質が取れるブロッコリーはエビのカクテルと合わせる為。
果物は何か買わないのかと思った魔王様の前で、コストコの無農薬で栽培されているオーガニックバナナを一房カートに烏子が入れるので魔王様もご満悦だった。バナナを初めて食べて魔王様は感動のあまり一房全部食べた程。
「クーハッハッハ! 10箱のティッシュである」
クリネックスティッシュを見つけると魔王様がカートに入れた。
「あざっすぅ、魔王様ぁ」
ティッシュの一人当たりの消費量は日本人が世界で一番多いと烏子が蘊蓄を語るが魔王様も飛鳥も全く興味がなく話を流した。ボックステッシュが10箱セットになっているそれで当分足りるだろうと満足する。
「じゃあ次は、あのでっかいキッチンペーパーはどこかなぁ?」
烏子は既に場所を把握している。だけど、あえて魔王様や飛鳥に宝探しのように探す楽しみ、見つける喜びを提供している。
「おねーちゃーん! 魔王様ぁ! あったよー!」
16ロールが一つになっていてとても大きくて重いので飛鳥には見つけても無理して運ばないように烏子は前々から言いつけてある。魔王様や自分を待つようにと。
「飛鳥ぁ、さんきゅー! よく見つけれたねぇ! このカークランドのキッチンペーパーを一度使ったらぁ他のキッチンペーパーは買えないねぇ」
烏子がそう独り言を呟くと、
「カークランドとはどこかの国の事であるか? 実に品が良い! 余も満足である! くーはっはっはー!」
魔王様は王者のポーズでキッチンペーパーに賛辞を送った。
カークランドというのはアメリカの地名である。
コストコ設立当時は本社がワシントン州のカークランド市にあった事から、コストコのオリジナルブランドとしてカークランドシグネチャーという製品を売り出している。分かりやすく言うとイオンのトップバリューみたいな物である。その製品品質が極めて高く人気も比例して高い。
魔王様は烏子の説明を聞きながら、烏子が購入したワインもそのカークランド製品である事を伝えられ、食品はもちろん、水や生活用品なども安価で高品質な物を取り揃えていると自分の自慢のように烏子は魔王様に聞かせる。本日購入しなかったプルコギビーフ、本日購入したロティーサリーチキンもまたカークランド製品であると知ると魔王様は元々笑顔なのがさらにニコニコと飛鳥と一緒に笑い合う。魔王様と飛鳥の好きな物が殆どカークランド製品であるという事に驚いた。
キッチンペーパーはカートに入れたのに、他の人が購入しているトイレットペーパーは烏子が購入しないので魔王様は尋ねる。
「トイレの紙もカークランドであるぞ?」
みんな喜んで購入するカークランド製品のトイレットペーパーを烏子がスルーする理由が魔王様には理解できない。
「それ、ちょっと水に溶けにくくてぇウチのトイレじゃ詰まりやすいんだよぉ」
「ほぉ! カークランドにも弱点があったのだな! 面白い」
それに関してはコストコ通というかマニアの烏子が補足する。
「全然問題ないと思うんだけどねぇ。でも私が研究員で家を空ける事が多いので、トラブルの元になるものはできるだけ避けてるんだよねぇ」
「なるほど、飛鳥が慌ててしまうという事か?」
「にゃははぁ、そういう事だねぇ」
「クハハハハ! では今は余がいる故、安心して購入すると良い。トイレ詰まりくらい魔法で直してやろう」
「マジっすかぁ? じゃあ」
と言ってトイレットペーパーをカートに入れた。
「クハハハハ! しかしデカいトイレットペーパーであるなぁ!」
一般的なトイレットペーパーの数倍の容量で30ロールある。
「じゃあ試してみましょうかぁ」
烏子も魔王様がいるので大丈夫かと頷く。
「飛鳥よ。欲しい物はまだ決まらぬか?」
「魔王様、飛鳥。お菓子を買ってもらうの! お菓子売り場いこー!」
「お菓子かぁ、飛鳥はお菓子好きだねぇ。でも、その前にヨーグルト買おうね?」
「オイコスのヨーグルトであるな? クハハハハハ! 余も毎朝食べている。余はレモン味が大好きである。飛鳥はイチゴ味が好きであるな? そして烏子は味のついていない物を好んでいる。謎であるな!」
「体重とかね。色々気にする事があるんだよぉ」
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