第17話 初帝都
10日ほどで伝令が戻ってきた
やはり父ノーランが予測した通り、帝都へ登城するようにとの知らせだった
妹リーラが1歳の為にクレアさんと兄ジルベルトは同行せずに、祖母エルナさん、父ノーラン、父ノーランの専任メイドディアナさん、騎士ラスさん、ゴスリングさん、デイジー、わたしで向かうことになった
帝都までは距離的には片道10日ほどの距離となる
最初の1日目はまだよかった
2日目は同じ景色を見てるだけ
3日以降はやることもなく座って退屈な時間を過ごした
あと道が舗装されていない為、馬車内でも振動が激しく座っていてもお尻が痛くなる
帝都へ着いたら暇をつぶせる物とクッションを創って持ってこようと心に決めた
ついでにサスペンションもデイジーと相談しようと考えていた
主要道のおかげか、野盗や魔物も出ずすんなり帝都へ着いた
帝都は城壁で周りを囲まれ、帝都に入る前に衛兵にチェックを受ける
わたしたちは貴族用の入口へ並び、公爵家の馬車だと分かるとすんなり入れた
城壁をくぐると、カーテンを閉めてさっそく王城へと向かった
王城へ着くと、控室へまず案内された
わたしとエルナおばあちゃんと父ノーランはメイドたちに手伝ってもらい着替える
同部屋で着替え中のエルナさんから話しかけられた
「ユーディーは喋らなくていいからね。あたしとノーランで話すから顔を伏せてなさい」
「わかりました」
「緊張しなくていいよ。悪い奴じゃないから」
「王命によりシュヴァーベン公爵ノーラン・フォン・シュヴァーベン、母エルナ、娘ユーディス、登城いたしました」
わたしたちは王の前でひざまづいている
「ノーラン久しいな。あと伯母上もお久しゅうございます。そしてそちらがユーディスか?」
---伯母上?エルナさんが?王族だったの??
「ハッ、こちらが娘のユーディスになります」
「祝福の儀にて天啓があり、ブラン神の使徒さまになったと?」
「まことでございます。ブラン神の使徒に選ばれま・・・」
「カール?もういいだろう?家族で話そう」
祖母エルナさんは父ノーラン、王カール?さまの話をぶった切った
「・・・分かりました、伯母上。おい部屋は準備できておるな?」
「お、お待ちを王よ」「お待ちください」さわぐ周りの貴族を無視し、別部屋へ案内された
部屋にはわたしと祖母エルナさんと父ノーランと王カール?さまと王妃さま?とエルナおばあちゃんに似た母后?、あと40歳くらいの男と人の7人だけ入った
椅子に座ると開口一番、苦笑いしながら王カール?さまは話す
「伯母上、いくらなんでもあれは。。。」
「わたしたちが知っていれば周りのコバンザメ共が知る必要ないさ」
王カール?さまたちはわたしを見ながら話す
「ユーディス初めて会うな、わしはカール。隣が妻のユーリ、その隣が母のクララ」
「はい。ユーディス・フォン・シュヴァーベンと申します。お見知りおきを」
「うむ。お前は伯母上の孫にもあ・・・」
「かわいい!!さすが姉さまのお孫。わたしのことはクララおばさんと呼んでくださいね」
「ほらこちらへきて私のとなりに座りましょう?」
---流石はエルナおばあちゃんの妹
「アハハ」
王の話をぶった切って話すクララおばさんに乾いた笑いが出た
「カール、ユーディーがブラン神の使徒に選ばれたのは話したね?これから国内外からちょっかいが来るだろう。それを護ってやってほしくてね。特にオレリア神聖宗教国からね」
エルナおばあちゃんは王カールさんに話す
「わしの姪にあたるのだから言われるまでもなく当然護る」
「だがわしもオレリアを危惧しておる。だが断れぬようにして訪国の依頼が来るであろうな。だが出来る限り引き延ばす。ノーラン達はいい案を考えておいてくれ」
「畏まりました」
「ところでノーラン。以前話しておった塩の製造はどうだ?」
「2年程はかかります。しばし時間を」
「急いたな。すまん」
「帝都に来てそのまま登城し、疲れたであろう。また明日話そう」とある程度で王カールさまは話を終わらせてくれた
帝都の別宅へ戻ると、執事が迎えてくれた
帰ってすぐわたしたちは応接間で明日の予定の確認をする
「ユーディは明日は家でゆっくりしてな。これ以上コバンザメ共に姿を見せる必要はないさ。それに敵味方の見極めも出来るからね」
明日もお城へ行かないとダメかなと思っていたらエルナおばあちゃんから鶴の一声が出た
「ゴスリングたちもいるから護衛へついてもらって街へ出てもいいからね」
「ありがとうございます」
ヤッターと心の声を隠してお礼を言った
翌日、疲れていたのだろう
起きるとエルナおばあちゃんと父ノーランはいなかった
朝から城へ向かったそうだ
わたしは街へ向かうのが待ちきれず、さっと朝食を食べてから着替えを行う
だがいつものようにデイジーのセットは時間がかかる
急いても無駄な為、大人しく待った
初めての帝都は凄かった
人や露店の数は違うし、領都よりも賑わっている様子が見てとれた
昨日馬車で帝都内へ入った時はカーテンで外の様子を伺うことは出来なかったので今日が初お目見えとなった
街を見ているわたしにゴスリングさんから声がかかる
「お嬢、どこへ行きますか?」
ゴスリングさんは長くわたしに付いてくれたせいか口調がラフになっていたが打ち解けた感じがして逆に嬉しかった
「まずいつものように冒険者ギルドに行きましょう。ゴスリングさんは帝都は来たことあるんでしょうか?」
「またすか。。。分かりました。行きましょう」
ゴスリングさんから諦めたような声出た
ゴスリングさんを先頭に冒険者ギルドへと歩く
露店から声がかかり、商品に目が行くがまずは冒険者ギルドが先だ
少し歩き冒険者ギルドへ着く
外観は領都の冒険者ギルドより少し大きいかな?くらいであまり変わらない気がする
横からゴスリングさんから「中に入るんすよね?」と聞かれた
ゴスリングさんはコクンと頷いたわたしを見ると中へ向かった
やはり冒険者ギルドは領都と同じだった
一瞥して仲間との会話に戻る人、仲間と食事を楽しんでいる人、酒を飲みながらこちらの品定めをしている人、デイジーをニヤニヤ見ている人、子連れか?とヤジを飛ばしてくる人、訝しんでこちらも見ている受付嬢。。。
だが一点だけ違った
如何にも三下臭いプンプンの男3人か立ち上がり、ゴスリングさんに詰め寄る
「オッさん、ここは貴族のガキの遊び場じゃねぇんだよ。さっさと帰んな。」
「叩き出してやってもいいぞ」
「あんたは残って俺たちのお世話をしな」
三下の1人がデイジーの手を取ろうとしたところ、「ゴミがッ」と手を払った
「テメェ」と三下から声が聞こえたところで奥から声が飛んだ
「アパンさん、また問題を起こしたら冒険者資格剥奪になりますよ!」
受付嬢からだった
わたしはアパンがアンパンに聞こえ、変な名前と思い吹き出しそうになるのを堪えていた
ゴスリングさんは帝都で揉めるのはマズいと思ったのか「お嬢、出ましょう」とわたしたちを連れ出す
後ろより「覚えてやがれ」と三下台詞が聞こえる中、わたしたちは冒険者ギルドを後にした
「デイジー、あの人名前がアンパンだって。ダッサいねー」
「お嬢さま、アンパンではなくアパンですよ」
笑いながら話すわたしにデイジーは返した
次に商人ギルドへ行き話を聞きたかったが、ゴスリングさんから言われた
「行くのはいいですが、さすがに領都みたく帝都のギルドマスターから話を聞いたり、資料を見せてもらうのは無理だと思いますぜ」
「やっぱりそう思う?」
「はい。帝国中の商品の流れや仕入れ値等の情報も集まってきているはず。公爵令嬢といえお嬢にお教えするとは。。。」
「じゃ外の馬車の荷下ろし品だけ見に行こう」
わたしたちはまたゴスリングさんの後について歩くことになった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます