第4話 デイジー

「デイジー挨拶を」


先程のメイドがわたしの側で一礼して口を開く

「デイジーと申します。何なりとお申し付けください。以後お見知りおきを。」

深く腰を折って一礼するデイジー


「この娘がデイジー。ノワール専属、ホムンクルスなんですの。」

「ホムンクルス?」

「そう。まぁ簡単に言えば人造人間ですわね」


人間にしか見えないデイジーを見るが、美人としか言葉が出てこない

わたしよりも背が高く160cm位だろうか?

黒髪ウルフカット、出るところは出てメイド服の上からでも分かるスタイルの良さ。

色白で若干の吊り目。左目下の泣きぼくろが美人度合いに拍車をかけていた。

見られているのを気づいたデイジーがポッと頬を染めたのを気付かないふりをして、話し続けているブランへと視線を戻す


「前のノワールが創りましたの。生意気な女でしたけど知識と創作と魔法に関しては随一でしたわ」

「デイジーはノワールが直接仕込んでいましたわ。わたしが見ても優秀です。管理神やユーフォリアについて、その他戦闘、家事、内政、床の相手まで何でもお願いするといいですわ」

「あとデイジーの妹。わたし専属のマーガレットがいるのですけど、生憎用事で出ていましてご挨拶出来ないのが残念です」


「さて、お願いは受けましたわ。これで心置きなくノワールを継いで頂けますわね?」



「分かりました。ノワールを継ぐこともお受けいたします。でも、先程も言ったとおりユーフォリアのことを知りません。デイジーさんから教えて貰っても、知識として残るだけです。そのユーフォリアで生活させてもらえないでしょうか?この身で過ごしてみてわかることがあると思うんです。知って勉強したいんです。お願いします」

わたしは頭を下げてお願いした

「うーん。。。」

「ブランさま。わたしからもお願い致します。わたしもノワールさまをご助力致しますので。。。」

デイジーの中ですでにわたしがノワールになっている点が気になったが、助け舟に感謝した

「分かりました。主に上進致しましょう」

「但し、わたしの管理惑星ではありませんのであなたをそのまま転移させることは出来ません。転生という形で産まれる直前の稚児に魂を乗せることになります。どの国の誰になるかは主が決めることになりますが。。。」

「まぁ、主に拝謁まで時があります。それまでここでデイジーよりユーフォリアのことや知りたいことを習うとよろしいかと。」

ブランはスッと立ち上がると

「では、拝謁の時に迎えに上がります。ごきげんよう」

そう言い優雅なカテーシーをすると消えていった






二人きりになって気まずくなったが、どうしても確認したいことがあって声をかけた

「えぇとデイジーさん?」

「デイジーと呼んでいただいてかまいせん」

「自己紹介まだだったよね?わたしは秋月夕。1月26日生まれ19歳。もう死んじゃったけどね。。。」

おどけながら話す内容をデイジーは真剣に聞いている

「デイジーは前のノワールに創り出されたホムンクルスと聞いたけど。。。」

「左様でございます」

「・・・触ってもいい?」

「どうぞ」

小さく失礼しますと言いながら恐る恐る頬をプニプニする

ホムンクルスとは思えない人間同様の感触に驚愕する

「すごい・・・」


「あっと、ゴメンね。」

頬を押していた指を離しながら謝るといきなりデイジーに抱きつかれた

「夕さま、デイジーはこの日を待っておりました。一目見たあの時より直接お話出来る日を指折り数えて待っておりました。こうしてまた触れ合える瞬間を待っておりました」

「ちょ、ちょ、ちょ。。。」

二人きりになったからだろうか?感極まって涙ぐみながら抱きついて話すデイジーに困惑する

「デイジーは。。。。。。デイジーは。。。。。。」

「待って待ってストップストップ」

抱きついたデイジーを引き離しながら聞く

「以前わたしと会ってる?」

「はい」

引き離せず抱きついたままのデイジーが答える

「え?いつのこと?」

「デイジーは夕さまをずっとお見守りしておりました」

「小さなころも大きくなられて入院されてからも」

「クロと名付けていただいたときは感激して絶頂してしまいました」


「クロ?え?あの鳥?」

---衝撃だった・・・

---あの時の鳥がデイジーだった・・・

---ずっと守ってくれていたんだ・・・

嫌な性癖開示はサラっと無視する


「地球では管轄外の為、直接手が出せず歯がゆい思いをしていましたがこれからはこのデイジーが微力ながらお助けいたしますので安心して過ごされますよう。。。」

涙ぐみながら満開の笑顔で答える

---この人はわたしが来るのを待ってたんだ

---新しいノワールが来るのをずっと待ってたんだ

胸が締め付けられる思いがする



「宜しくね」

デイジーの頭をなでながら一言言った



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