第3話 第二位神ブラン
わたしは草原にいた
病院の検査着のままポツンとつったっている
「どこここ」
「死んだはずなのに。。。」
見渡す限りの草原
風で草が揺れる音のみで虫の声や動物の鳴き声もしない不思議な場所
見上げると夜空に星がきらめいて逆に明るいくらい
寒くもないが胸の前で手をこすり合わせ息をフゥとやってしまう
「死んだから動けるのかな。。。」
一言漏らすと何もなかったはずの背後の方より声がかかった
「魂は生きてますよ。わたしが引き上げましたから」
ハッと振り返ると白いイブニングドレスにオペラグローブの美女が優雅にお茶を飲んでいた
金髪にハーフアップだろうか?スタイルもよく白いドレスに金髪が映えている
「あなたは。。。?ここはどこ?」
矢継ぎ早に問いかけるわたしを手で制して
「どうぞお座りになって」
と、白い丸テーブルの対面へ誘った
訝しみながら美女と向かい合って座る
座ったタイミングで横から紅茶が差し出される
横を見ると黒髪ウルフカットのメイドが一礼するところだった
刹那前から声がかかる
「ええと、わたくしが何者かとここがどこなのか?でしたわね」
「わたくしは第二位神・惑星管理神統括ブランと申します。お見知りおきを」
「それでここはわたくしの家でこざいます」
男性なら心奪われるであろう笑みで言われるが
「はぁ。。。」
空返事をして周りを見渡すが何もない
座っている椅子とテーブル以外は草原のみ
「お話宜しいかしら秋月夕さん?」
「!!何故名前を!?」
「お会いするのは初めてですが、あなたのことは何でも知っています。お名前、お誕生日、好きなこと、嫌いなこと、ご家族のこと何でも。お話続けても宜しくて?」
わたしは小さく頷く
「挨拶させていただいた通り、わたくし主より惑星管理神統括という役目を賜っております」
「主以外の第四位神以上は神位に応じて大きさは違えど各々一つずつ管理惑星を持っていますの」
「その惑星管理神の統括、すなわちトップがこのわたくしということですのよ」
「はぁ。。。ブランさんは才女なんですね」
「そうなんですの、わたくし才女なんですの!」
相槌を入れると琴線に触れたのか満面の笑みで返事がかえってくる
「実をいいますと主よりの期毎の人事評価は最高評価でありますし、惑星管理指標の最高評価も16連続で頂いておりますし、他には。。。」
「す、すごいですね。それで統括のブランさんが何故わたしを?」
わたしはご機嫌で話すブランを切って続きを促す
「あぁ、そうでしたわね。」
「統括業務はそれぞれの担当の管理や連携、上進の裁定、主への報告など多岐に渡っております」
「ところが惑星管理神統括という役目を賜っておきながら惑星ユーフォリアの管理神が不在のまま幾星霜。さらに管理神のおらぬユーフォリアは荒れ果てるばかり。いつまで主へ顔向けすら出来ぬ愁嘆とした時間を過ごさねばならないのかと苦慮していたところなのです」
わたしは泣き真似をしながらツラツラと語りかけるブランを見て嫌な予感がした
「ところが惑星管理神としてふさわしい存在がわたくしの管理惑星にいたとはまさに灯台下暗しでしたわ」
「管理惑星?。。。ブランさんの管理って地球。。。??」
「そしてあなたの魂を直接拝見して確信致しましたの」
「というわけで秋月夕さん、あなた第三位神ノワールをお継ぎになって惑星ユーフォリアを統括なさい」
嫌な予感は的中した
「ち、ちょっと待ってください。いきなりすぎるし、話が飛躍しすぎてて。。。」
「話は通してたはずなのでいきなりではありませんし、この程度の話は飛躍の『ひ』の字にも当たりませんわ」
「話を通してたってわたし聞いたことありませんよ。そんなこと!」
「ん?お聞きになってないのかしら?」
急に真顔になったブランが聞き返してくる
「初耳ですし、知りませんよ」
とブランへ返す
すると横からウルフカットのメイドが
「失礼いたします。ブランさま、夕さまは何もご存じありません。」
と一言
「はぁ?まったく今まで何していたのかしらあの方は。。。」
「まぁいいですわ。聞いていようが聞いていまいがすでに決定事項です」
「主からの裁可もすでにおりていることですし」
紅茶をすすりながら言うブランへ上目遣いで聞いてみる
「拒否とか検討するとかは。。。。」
ブランはかぶせ気味に答える
「主のご裁可を拒否する不届き者などわたくしの目の黒いうちは存在すらさせませんわ」
「思慮深く慈愛なる夕さんはきっと受けていただけるものと確信しております」
NOは言わせないとばかりにこちらを一点に見つめて言われた
「・・・・わかりました、わかりました」
---拒否できるような雰囲気じゃないじゃないじゃない
「重畳!重畳!快く引き受けていただけてこんなにうれしいことはございませんわ!」
手を合わせ満面の笑みで踊りだす勢いのブランに言われた
「ちょっと待ってください。ブランさんでしたっけ?引き受けますが、まずお願いがあります。」
「・・・お願い?第二位神たるわたしくに?」
目を細めて、能面のようなブランにワントーン低い声で聴き返された
周りの空気も冷たくなった気がする
---こわっ
「はい。まず惑星管理神がなんなのかも分かってないですし、それになったとして何をしたらいいかとか、ユーフォリア?でしたっけ?そちらのことも何一つ知らないのに引き受けるのは気が引けますし。。。」
周りの空気もスっと元に戻る
「たしかに。。。なっていただくのは当然とはいえ、少し気が逸ったようですわね」
---やっぱり確定なんだ。。。
「と、その前に。。。デイジーを紹介致しますわ」
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