第30話 一般冒険者の戦い
◆◇視点〔〝特徴のない〟アッシュ〕◇◆
「ミ、ミノタウロスだ!!」
ぼくの名前は、アッシュ。
リンドブルグ近くの村の農民出身の魔剣士だ。
そんなぼくに最近、二つ名がついた。
〝特徴のない〟アッシュ。
ぼくは得意な事が無いけど、不得意な事もそんなに無い。
鑑定の儀式でも、どの能力も平均的で本当に何もかも普通という言葉がピッタリだった。
でも〝特徴のない〟は酷いと思う。
そんなぼくは、同じ村の幼馴染3人とパーティーを組んで冒険者になった。
今日は、同じギルドの冒険者がもたらしてくれたと言うダンジョンに来たんだ。
ダンジョンは凄く儲かるから、本当に助かる。
ぼくと斧を持ったジャックは、牛の頭に人間の巨体を持つモンスターに立ち塞がった。
後ろからこのパーティーの参謀役とも言える、ソフィーが叫ぶ。
「ジャック、アッシュ、ミノタウロスをそのまま抑えて! 私は魔術の準備に入るわ。シャーロットは後ろから攻撃!!」
「おう!」「分かった!」「りょーかい!!」
ぼくたちはみんなレベルが15を超えていて、もう初心者とは言えない強さだ。
それでも、ミノタウロスはかなりの強敵らしい。
ミノタウロスの3
ガッ!!
ジャックも
肘は曲がりきって、顔も斧に押し付けられ横になっている。
足も四股立ちだ。
「―――ぐ、ぐおおお」
「頑張れジャック!!」
ミノタウロスはそのまま押し込んで、ジャックを潰そうとする。
ぼくは仲間に檄を飛ばして、モンスターの横へ突っ込む。
「なんて力なんのよ!」
ソフィーの顔が青ざめている。
ぼくは手にした
けど、まったく刃が通らない。
まるで鋼でも叩いているかのような手応え。
「あああ―――あぁああああああ!!」
ぼくは連撃を放ちながら「正確に、もっと正確に! 剣と一体化しろ!!」と心の中で叫ぶ。
更にスキルと使う。
「【斬鉄剣】!!」
すると、遂にミノタウロスの脇腹に刃が通る。
だが致命傷には程遠い。
―――もっとだ、もっとだ、もっとだ、もっとだ、もっとだ、もっとだ、もっとだ!!
そこへ、
「【急所狙い】!!」
背後に回って隙きを伺っていたシャルロットが高く飛んで、ミノタウロスの背中にスキルを使った。
心臓狙い!
キィイイイン
しかし・・・折れたんだ。
――――シャーロットのダガーが・・・・・・。
シャーロットが目を見開く。
そこに、
ぼくの視界からシャーロットが消える。
次の瞬間、近くの大木が倒れ始めた。
シャーロットが叩きつけられたのだ。
「シャーロットォオオオオオオオオオオッ―――――――――!!」
ジャックが叫ぶ。
ぼくは自分の顔から血の気が引くのが分かった。
ソフィーが、急いでシャーロットに向かう。
「い―――息はしてる!」
ソフィーが急いで
こ、これでもモータルグリズリーより弱いって本当なのかよ!
「よくもシャーロットを!!」
ジャックが叫んでミノタウロスに斬りかかるが、その斧を巨大な腕が鷲掴みにした。
「―――!?」
ミノタウロスは低い姿勢になると―――
「まずい・・・! ジャック逃げろ!」
その角でジャックを突き上げ―――
ギリギリで、ジャックは角を躱した。
だが、頭突きを受けて吹き飛んでしまう。
「どいて、アッシュ!!」
ソフィーの声。
魔術が完成したらしい!
俺たちの最大火力、最強の攻撃力が完成した!
ぼくが飛び退くと同時、
「〖
ここはダンジョンと呼ばれているけど室内などではない、草原だ。にわかに騒ぐ天空から、光の柱が降り注いだ。
バリバリバリバリバリバリ!!
辺りに撒き散らされる光の帯。
目を焼く閃光が収まると、酸っぱいような匂いが鼻をついた。
だが、
「ブルルルルルル!!」
ミノタウロスは、僅かにダメージを受けただけだった。
「そ―――そんな――――――――」
ソフィーが自分の最大の攻撃が通用しなかった事で、戦意を喪失している。
だけど、ぼくはこれを予期していた。
だからヤツに迫り、高く跳んで、その眼に――、
「ブルォオオオオオオオオオオオオオオ!!」
――ブロードソードを突き立てた!
「ソフィー、ぼくたちはまだ負けてない! 立ち上がれ! 魔術をもう一度!!」
「う、うん。分かった!!」
戦いはこれからだ!!
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