第23話 さあ、魔道具を売ろう
◆◇◆◇◆
俺は適当な鋼の剣を腰に掛けて、ナグを連れ屋敷を出た。
ダンジョンに行く前に、魔道具屋に寄ることにしたので、そこに向かっている。
俺はナグに、道すがら尋ねる。
「ところでナグ、あいつ等とはいつからパーティーを組んだんだ?」
「リゲルさんたちとですか? 半年前からです」
「どれくらい
「4人パーティーなので1割です」
「俺は計算ができなくなったのか? どうやって計算するのかが理解できないんだが」
「3割、3割、3割で、残った1割が私の取り分です」
「そうか。少し前に受付嬢が注意したと聴いたが」
「そういえば・・・ちょっと前、リゲルさんがギルマスに文句言われたって言って凄く不機嫌になって、分前を貰えない時がありましたけど・・・あの時かな」
「なるほど、着いたな」
「まだお店に寄るんですか――魔道具屋ですか? ・・・・早くダンジョン行かないんですか?」
「まだ、やることが有る」
俺たちは薄暗い店内に入ると、イタチに似た顔の店主が俺たちを一瞥して、鼻で笑った。
「ここはアンタ等がみたいな、若い冒険者が来る場所じゃないぞ」
俺はカウンターに向かうと、
「買取はしてるか?」
尋ねる。
店主が大きなため息を吐いた。
「してる――が、魔道具っていうのはそんなに簡単に手に入るものでは無くてだな」
「ナグ、ゲートを開いてくれ」
「え? はい・・・・・・えっと」
俺はナグが開いたゲートから、ガラクタを全部取り出す。
「これを全部売りたいんだが」
「・・・・・・・・なんだこれ!!」
「幾らになる!?」
「マジモンじゃねぇか!! というかこの店の
「急いでるんで、早く鑑定してほしい」
「お、おう」
【鑑定】スキル持ちらしい店主の鑑定に、時間は掛からなかった。
「3000万タイト・・・だ・・・」
「その位か、じゃあ買い取ってくれるか」
「まて! 無理だ、こんなに大量に買い取る金がこの店にない!!」
「そうか、幾らまでなら買い取れる?」
「えっと100万・・・107万までなら!」
「じゃあ、それだけ頼む」
「買取るアイテムは俺が選んでいいか?!」
「勝手にしてくれ」
「ありがたい!!」
店主が良さそうな魔道具を選んだのでそれを売ると、俺はナグのゲートに金と残ったガラクタを放り込む。
そうしていると、一つのスクロールが目に入る。
〖
「店主これは?」
「ああ、それは使い手の居ない法術のスクロールですよ」
店長の口調が変わっている。
「幾らだ?」
「二束三文だから捨てようかと思っていた所で、200タイトです」
「本当に安いな。じゃあこれをくれ」
「ゴミなんか買ってどうするんですか?」
「壁に飾るんだ」
「なるほど、模様が綺麗ですもんね。法術だし、女神様のご利益もありそうってもんだ」
俺は「ゴミを引き取ってくれて有難う、また仕入れておきますんで」と笑う店主に「頼む」と返して、スクロールを買って店を出た。
「また来てくださいね、ご贔屓にー!」
という声を、背中に浴びながら。
ナグが首を傾げて俺をみている。
「活動資金ですか?」
尋ねるナグに、俺は返事をしなかった。
ナグの借金返済費用などと言ったら、この女は絶対に断る。
先程からの行動や言動を見る限り、「他人を頼る訳にはいかない」そういう考え方が骨の髄まで染み込んでいる。
~~~
短いので、もう一話投稿します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます