第4話 さあ、弟子に会いに行こう
「いいから帰れと言っている!! ガキ!!」
「いいからそこを通すか、フリオが会いに来たと言いに行けと言っている」
「どこの馬の骨とも知れないガキを通す訳ないだろう!!」「早く帰れ!!」
「そうか、なら
「おうおう、分かった、だから回れ右だ糞ガキ」
「では明日もう一度くる事にする。しかし、ここの塔も大きくなったものだな」
前は今の半分程度しか無かったはずだ。
ルルアの功績か?
俺は、塔を背にして歩きながら考える。
「そういえば、俺が使える法術は幾つあるんだ?」
魔術は言葉で使うのだが。
法術は図で使う。
具体的に言うと魔術を使う際は、口に出すか、もしくは頭の中で詠唱しなければならない。
例えば、ポピュラーな魔術〖
〝―――ハル ハゼル ハーハルゼ――― 深きものよ我の声を聞き届けよ、乱れろ荒れ狂え、力とは開放なり炎とは力なり、開放せよ〖
そして頭の中で詠唱する場合は、魔力が反応し辛く、口に出して詠唱するより難易度は高い。
これが法術だと、腕や杖を動かして、もしくは頭の中で聖法陣という図形を作る。
〖
これも当然、頭の中で陣を描く方法は神聖力が反応し辛い。
という訳だが、頭の中だろうがなんだろうが陣を知らないと、そもそも法術が使えない。
俺はずっと魔術師だったし、法術は1100年前に失伝している。
自分が正確に知っている聖法陣を思い浮かべる。
光の剣を出す〖
辺りを照らす〖
あとは〖
「―――少ないな」
たしかこの街には、遥か昔の俺の家が有ったはずだ。
少し書庫を漁ってみるか。
「アリワ」
『ネモ』
「エフ」
俺は魔術で出来た扉と、合言葉の問答を終えて中に入る。
家は、転生する度に便利に使えるので各地に用意してある。
そして防犯も、保存も万全だ。
「あったな」
書庫から出てきた法術の本は4冊。
傷を癒やす〖
名前を付ける〖
衝撃波を放つ〖
鎖を出して絡める〖
あとは、疑似太陽を生み出す〖
〖
〖
俺は法術の使い方を改めて思い出す。
まず、神聖力を指から放ちながら空中や床、頭の中などに聖法陣を描く。
そうしてから具現化するぞという意思を込めれば、法術がそこに発動する。
ちなみに法術では「〖
言っているのは、俺がただ癖になっているだけだ。
魔術では、魔術名も非常に重要だが。
法術書にある図形を記憶して、それを使ってみる。
「〖
しかし、
◣レベルが足りません。◥
(なるほど―――やはり発動できないか)
これは前世の知識から予想していた。高いランクの魔術は、低レベルでは発動できない。
法術でも同じようだ。
現在俺は、5レベル。レベル上げにも勤しまないといけないな。まぁ、これは転生する度にやらなければならない事だが。
レベル20になれば上級法術でも、力を出しきれないが使える。40になれば使いこなせるだろう。
「〖罪と罰〗!!」
次の法術を使うと、女神の聖印を頭に付けた鎖が生成され、俺の手首から射出された。
鎖は、狙った本立ての柱に自動的に絡んだ。
腕を引いてみる。
本立てが、宙を舞った。
しっかり引き寄せられる。
「しかし初級とは違い、威力が完全ではない気がするな」
これも予想通りだが。中級は、使えはするがレベルを上げないと完全には使いこなせないと言う感じか。
「しかし面白い。魔術はこういう風にしっかりとした物体を作るのが苦手だったからな。土魔術や氷魔術を使えば出来ないことはないが、普通にやればただの鉄塊や氷塊ができる。鉄塊を鎖の形にするなど、普通ならば至難の業だ」
魔術は破壊を得意とする。なので生成出来るものは、エネルギー状の剣や壁くらいだ。
逆に法術は生成が得意のようで、出てきた鎖は本物のようにしっかりしていた。
俺は鎖を蛇のように動かしてみる。
一度放った魔術をコントロールするには、魔力を流し込む。
法術なら、神聖力だ。
しかし、随分勝手が違う。
魔術はもっとこう弾かれるように動いたのだが、法術はなにか引っ張るような感じがする。
(加速させてみるか)
放った魔術を空中でコントロールするには、魔力の持つ斥力を利用する。
魔力や魔術で生成された物は近づくと、磁石の同じ極のように反発し合う――ただし、込める魔力が大きくなると、その反発力は磁石の比ではない。
だから、加速したい対象に魔力をぶつけたり殴ったりする。
今回はこの鎖の頭、聖印の部分だ。
拳で殴りつけてみよう。
俺は腰だめにしっかりと立って、拳に神聖力を纏わせ、全力で力を叩きつけた。
ぴと
(・・・ん)
「なんだ、これは・・・」
~~~
前作――いえ、こちらのほうが先に書いたのですが、前作? のフェイテルリンクに対してこちらは短い話で更新していきます。
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