7.「君は風 音も匂いも あたらしく ここに根を張る 私を揺らす」碧月 葉さん

タイトル:君は風 音も匂いも あたらしく ここに根を張る 私を揺らす

キャッチコピー:年下男子にときめいても良いですか? ……不器用な私のロマコメ日記

作者:碧月 葉さん

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093089524724749

評価:★3

味のご希望:なし(甘口)

あらすじ:お疲れのOLと職場の年下男子のオフィスラブ。


初めに、当自主企画に参加してくださったことに感謝申し上げます。


何とこのお話、全エピソードがジャスト400文字、全エピソードタイトルが短歌なのです。

いやこれは真似できない……。感服しました。

碧月さんご自身は

>『The romantic comedy.』という連作短歌の一節を小説にしたもの(小説紹介欄より)

だからできたんです、なんておっしゃるかもしれませんが、それでもすごいスキルだと思います。

また、登場人物である紀本くんの設定ですが、碧月さん……私のツボを大変よくご存知でいらっしゃる……!

いや、それで好評を甘くするわけではないです。

ないですが、すごーくうれしかったです!

[追記]

よく考えてみたら甘口なので甘くしてもいいんでした。えへ。


[講評]

おねショタ度は普通レベルです。

しかし、ラブストーリーとしてのきゅんきゅん度が高い。

舞台が仕事の場であるオフィスなので、その分きゅんきゅんバロメータは高くなります。

始まりは主人公女子である大野真琴ちゃんのお疲れ場面から。

お仕事しているシーンもあります。

そういう中で、時々出てくるちょっとしたお遊びのような文が良いですね。

「ベホ◯ミ、ケア◯ラ~」とか(笑)

そういった笑いどころともいうべき表現を挟みながらストーリーが進んでいくわけですが、決して重いわけではなく、かといって真琴ちゃんの心象風景を軽く扱うわけでもない。

読み手として「わかるわかる」という部分と、「ふふっ」と笑ってしまう部分の絶妙なバランス構成で進められるやり方が素晴らしいです。


【ここから先ネタバレあります! ご注意を!】






真琴ちゃんが紀本くんの夢を見ちゃうのって……もう、それは恋なのでは……?

なのに「社内恋愛なんてリスクしかない」なんてっ!

と、読み手はやきもきさせられます(笑)

紀本くんはフットサルが趣味の細マッチョなんですよ……

良くないですか……?

良いですよねぇええええぇっ!?

そして、頭が切れるタイプの年下男子です。

眼鏡・理系・敬語男子です。

特に大事なことをもう一度言います。

眼鏡男子です!

しかも職場でのキリッとした雰囲気と、フットサルをしているところのギャップまで用意されています。

きっとフットサルプレイ中は明るい笑顔なんかを振りまいていたのでしょう。

たまらんですね……!

真琴ちゃんは、オフィス用の服ばかり買ってしまうくらい仕事がんばっちゃう年上女子です。

仕事に緊張したり落ち込んだりもする。

でもプレゼンには笑顔で挑む。

なぜなら、紀本くんが作ってくれた資料があるから!

資料の具体的な内容も書かれているので、本当に現実味があって「がんばれ!」と応援したくなる主人公なのです。

作者さんの腕がいいからだなぁ、すごいなぁと、ここでも脱帽しました。


二人で飲みに行くのもいいですね。

やはりこのシーンも現実味があります。

なので、現実との整合性も全く問題ありません。

もうね、「わかるわかる」「あるある」って、すいすい読み進められますから。

久しぶりの恋、久しぶりのデート、そこで「服、どうしよう……。」と考えてしまう、などなど。

そう、こういうのは非常に大事なのです。

紀本くんの評判が他の女子によって語られるシーンも良い。

ちょっと胸がきゅっとなります。

ああ、本当に素敵です。


[総評]

全体的にまとまりがあって、見せ場もしっかりあって、とても楽しめました。

「そう、これだよ、これ!」というシーンも……あ、ちょっとよだれが……

失礼いたしました。


とにもかくにも、良いおねショタでございました。

大変おいしゅうございました。

ありがとうございました。

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おねショタ自主企画講評(2024年12月1~31日) 祐里 @yukie_miumiu

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