幸福と失う怖さ入り混じる 手探りすり足 久々の恋

 朝、目が覚めて最初に思った事は「素敵な夢見た」だった。

 夢、夢、夢?


 スマホを確認すると昨夜のやりとりが残されていた。


—— 今日はとても楽しかったです。早くも今度はどこに行こうか……なんて考えてしまっている俺がいます。では、おやすみなさい。


—— 私も楽しかった。素敵なお店を紹介してくれて。その後もサプライズも嬉しかったよ。ありがとう。おやすみなさい。


 これは、夢みたい。だけど夢じゃない。

 恋人同士だってさ。


 どんな会話をすればいいの?

 手はいつ繋ぐの?

 キスはどのタイミングで?

 大人だもの、そのうちその先もっと深い触れ合いも……。

 紀本くんと……⁉︎

 細マッチョの体……。


 男子高校生ばりの初歩的な妄想が脳裏を駆け巡る。

 仕事は一応積み上げてきたものがあるから、そこそこできる。

 でも恋愛は、正直経験が足りない。むしろ劣等生?

 紀本君は私にどんな期待をしているんだろう。

 私、上手くできるかな……取り敢えずダイエットをしようか。

 

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