「好きです」と明かす悪夢はもう幾夜 やらないからね告白なんて

「紀本君……好き、です」


 彼の表情が冷える。


「セクハラ……いや、パワハラか」


「そんなつもりは……」


「だって、これは立場を利用した嫌がらせですよね」


 弁解は許されず、腕を組んだ彼の鋭利な視線が突き刺さってくる。


「嫌がらせって……」


「オバさんに告白されて喜ぶ奴なんていませんよ。あ、それとも、オバさんだって自覚は無いんですか?」


 分かってるよ。

 不相応な想いだって。

 でも、好きになったんだよ。

 ああ、やっぱり告白なんて、告白なんて……



 

 ブーッブーッブーッブーッブーッブーッ


 スマホのアラームが朝を告げる。


 「夢」だった。

 朝から疲れてしまったけれど、夢で良かったぁ。


 そうだよね、告白なんてする訳ない。

 最近は紀本くんとよく話すようになって、仲はいい方だと思っている。

 だから、流石に夢のように悲惨な感じにはならないだろう。

 でも、彼には嫌な思いをさせてしまうし、何より今後の仕事にも影響が出る。

 社内恋愛なんてリスクしかないよね。

 

 

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