後輩の噂話は君の事 得意なんだよ ポーカーフェイス

「ねぇ紀本さんって、彼女いるのかな」


「え、マーケティング部の紀本さん?」


「そうそう」


「ちょっと怖くない?」


「会社では眼鏡をかけてて、厳しそうに見えるけどさ、これ見てよ」


「えっ⁈ これ、紀本さん? すっごいイケメン……筋肉もやばいね」


「細マッチョのイケメンでしょ。私も一瞬誰か分からなかった。フットサルを観に行った友達が、凄い格好イイ人がいたって、写真撮って送って来たんだよ。うちの会社らしいから何か情報が無いかって」


「ええっ、フットサルやっているの⁈ 意外、家で戦略系のシミュレーションゲームとかやってそうなのに……」


「ね、紀本さん、会社では地味を装ってるけどさ、これはアリでしょ」


「うん、彼女いるか探ろう」




 …………ロッカールームで違う部署の後輩女子が噂話をしている。

 

 眼鏡ナシ? 筋肉っ⁈


 写真、見たいよ。


 猛烈にそう思ったけれど、お局がそんな会話に入ったら痛いだけだ


「お疲れさまでした」


 私は涼しい顔で退勤した。


 

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