第14話

「陽茉莉ちゃん、文化祭の準備は楽しい?」

「うん」

「それは良かった」

明日はいよいよ文化祭。

ノアさんは来てくれるのかな?

「ノアさん、明日って来れる?」

一瞬悲しそうな表情をしたが、すぐに何時もの笑みに戻る。見間違いだったのかな?

「僕は、、、そうだね、行こうか」

「私のクラスも見に来てね!」

「うん、見に行くよ」

文化祭のチラシを読んでいたノアさんは思い出したように言った。

「そういえば、帰りは遅くなるんだよね」

「うん、八時くらいかな〜」

文化祭が終われば片付けとお疲れ様会(打ち上げ)で帰りは八時くらいになる。勿論、夜ご飯は学校で食べる。

「夜道には気を付けて」

「うん」

「歩きだろう?余計心配だよ、、、。くれぐれも、人道りの少ない道から帰ったら駄目だよ?分かった?」

「大袈裟だよ〜」



「よーし、盛り上げるぞー!!」

「おー!!」

円陣を組み、意気込む。

そして、それぞれのシフトまで遊ぶ。私は午後一時から二時まで。それまで休憩時間。中庭に出て、ノアさんを探すが見付からない。まだ来ていないのかな?

まぁ、来るまで楽しんでおこうと思うことにし、一人で他のクラスの出し物を見る。

(めぐみちゃん、シフト外れちゃったもんね、、、)

小籠包を買って食べる。ポン酢に付けて食べると美味しいということが分かった。

「ひーまりちゃん」

「ノアさん!!」

「やぁ、一人?」

「一人だよ」

私の顔を覗き込むノアさんは、お皿に乗っているローストビーフを私に向けた。

「はい、食べるでしょ?」

「うん!」

ローストビーフ、売っているクラスがあったんだー!初めて聞いたけど、凄い!!

遠慮なく口に入れると、口の中で広がる肉汁がめちゃくちゃ、、、

「美味しい!!」

まるでプロが作ったような味。美味しすぎて幸せの味を噛み締める。

このローストビーフを作った子、お店出せるよ。今度会ったら作り方教えてもらおうかな。

「美味しそうに食べるね」

「めちゃくちゃ美味しい!!毎日これでも良い!」

「流石にそれは健康に良くないよ」

「ですよねー」

しばらく話し込んでいたら、そろそろシフトの時間なのでクラスに戻ることにした。

「おかえり」

「めぐみちゃん!?めぐみちゃん午後はシフト入ってないよ!?」

教室にいたのは店員さん姿のめぐみちゃん。めぐみちゃんは午前担当だったはずなのに、、、。

「いや〜、陽茉莉と一緒にやってみたかったし、けっこう楽しいからね」

「そうなんだ、、、」

午前は家庭科室で料理をする人していたらしい。

「あ、そうそう。ローストビーフのお店あるんだって〜」

ノアさんのローストビーフの話をするが、めぐみちゃんはきょとんとした。

「ローストビーフのお店なんかないよ?」

「え、、、」

全クラスの出し物表を渡された。どれだけ探してもローストビーフはなかった。

「ない、、、」

「当たり前だよ、牛肉は高いんだから」

じゃあ、ノアさんは何で持ってたの?

「その人は、どっかで買ってきたのかな?」

「え、そうなのかな、、、?」

ますますノアさんの行動がよく分からない。

まぁ、仕事頑張ろう。

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