第9話
それから学校では何もない。きっと、カラオケの時、聞こえていないと思って姫奈ちゃん達は話しかけてくる。
「全く、見え見えの嘘だよね」
「え?」
同じ部活の『日向めぐみ』ちゃんが腕を組んで姫奈ちゃん達を見て言った。
「きっと、あの人達は友達をステータスにしか思ってないんだよ」
「ステータス?」
「そ、つまり、、、、『友達沢山いる私すごーい』って思ってること」わざと声のトーン上げて真似する。
面白くて、つい吹き出してしまった。
「めぐみちゃん、面白いね」
「下手な声真似は私の得意分野だからね!」
胸を張ってそう言う。下手な声真似が得意分野で良いのかな?
「そうだ、陽茉莉。今日部活来るでしょ?」
「行くよ?」
「文化祭で、自分達が書いた絵を展示または出店するんだけど、そのことは知ってる?」
「昨日部長から聞いたよ」
昨日、せっかく沢山イラストを描いているんだから文化祭で出してみよ!という部長の提案で決まった。
「文化祭、楽しみだね」
「うん、そうだね!」
キーンコーンカーンコーン。
最終下校を知らせるチャイムが鳴る。
陽茉莉はその音に反応して、教室に掛けられた時計を見る。
(あっ、もうこんな時間?)
いつの間にか最終下校時刻になっていた。部活に集中すると、時間が経つの早い。
陽茉莉が所属している漫画イラスト研究部は週に一回の頻度で集まり、イラストを描いたりお喋りをしたりする自由度の高い部活だった。
(そろそろ帰らなきゃ)
陽茉莉は両腕を大きく広げて伸びをする。
描きかけのイラストをクリアファイルに挟み、通学鞄に入れた。
「陽茉莉、また明日〜!」
「うん。また明日!」
パラパラ帰っていく先輩や同級生に挨拶をして教室を出た。
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