第8話
「あっ!」
机の端に積み上げていた本に肘が当たり、雪崩のように落ちていく。
ドサドサ。
(拾いたくないな〜、、、、面倒臭いし)
床に散乱した本を見る。
「片付けるか、、、、」
本を拾い集め、本棚に並べていく。
片付けているうちに、懐かしい物を見付けた。
白色の画用紙にラミネートで貼っつけられたしおり。
中には四葉のクローバー。
小さい頃、公園で見付けてしおりにしたっけ。
四葉を見付けると願いが叶うと聞くけれど、私は何をお願いしたんだっけ?そしてそれは叶ったのかな?
、、、、思い出せない。
ついさっきまでしおりの存在を忘れていたのだから、願いを思い出せないのは当たり前なのだが、気になる。
「う〜ん、、、、」
いくら頭を捻っても思い出せない。
まぁ、いっか。
春休みが過ぎ、桜が舞い散る四月。
真新しい制服に身を包めば少し大人に近付いた気分。
クラスには知らない子が沢山いた。
緊張し過ぎてお腹痛くなってきた、、、、。
「ね、名前何ていうの?私は神宮寺姫奈」
「え、あの、、、、」
前の子が話しかけてくれているのに、緊張して声が出ない。
「え?」
「新美、、、、陽茉莉です、、、、」
「陽茉莉ちゃん!よろしくね!!」
姫奈ちゃんはいらゆる一軍女子というやつで、すぐに男女共に友達になっている。
友達のいない私とは正反対の子。
ぎゅっと、根付を握り締めた。
「陽茉莉ちゃん、帰ろ!」
姫奈ちゃんを中心にした数人グループが声をかけていた。ぼーっとしていて気が付かなかった。
「え、、、、う、うん」
「それでこの前、彼氏がさー」
「え〜!何それー!」
「てか、カラオケ行かない?」
「良いね!行こ行こ」
「陽茉莉ちゃんも行くよね?」
「え?」
「カラオケ!勿論行くっしょ?」
カラオケ。初めて誘われた、、、、。
良いのかな?
でも、せっかく誘ってくれているし、、、、。
「うん。行きたい」
初めて友達と入ったカラオケ。
私は聞く専門だからの歌わない。それでも、楽しかった。
『良かったね、陽茉莉ちゃん』
「うん!」
そう返すと、「陽茉莉ちゃん?どうしたの?」と不思議そうに姫奈ちゃんに聞かれた。
き、聞かれてた!?やばい、どうしよう。絶対変な子って思われるよね。
「な、何でもないよ」
「ふ〜ん」
お手洗いから戻ってきた時だった。
「姫奈ちゃん、新美さんのことどう思っての?」
扉を開けようとしていた手が止まった。
「ん〜、、、、」
考えているようだ。
「てか、さっき新美さん。さっき誰と話していたんだろうね。いきなりうん!って」
「あ、それな〜」
「ちょっと可笑しいよね」
「まさか、厨二病とか!?」
「えー何それー!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
手が震える。
やっぱり、私に友達なんて、、、、。
「やぁ、陽茉莉ちゃん!、、、どうしたの?」
自分の部屋で布団に包まっていると、陽気な声が聞こえた。
今日もいきなり現れるノアさん。
もう慣れた。
「ノア、さん、、、」
「泣いているよ。辛いことあった?それか、何処か痛い?」
「平気、、、」
今はそっとしてほしい。
高校生になってからの友達だったのに、、、。
「神宮寺姫奈、だっけ?」
「!!何で、、、」
「僕は何でも知っているよ、君のことならね」
「、、、、」
「陽茉莉ちゃん。今日はもうおやすみ、もう十一時過ぎだよ」
「眠たくない、、、、」
「なら、陽茉莉ちゃんが寝るまで傍で子守唄を歌っているね」
「子守唄、、、、?」
「絵本の読み聞かせの方が良いかい?」
何処からか絵本を出す。
「、、、、大丈夫、、、、」
「そっか、、、、。無理しないでね」
「、、、、うん」
小さく答え、目を閉じた。
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