6話

 ベルヴェールを見送り。

 ゼロツーとアンジェリカは、早々と、生命有る創世魔術の魔法陣改善や、素材の準備を行っていた。


 

「さて、まずは魔法陣の調整なんだが、この部屋と冥界のダンジョンを亜空間で繋げようと思う」


「っ!?」

 アンジェリカはゼロツーの言葉に驚き。

 ベルヴェールが使ったコップが落ちる。

 方々ッ……


 (言ってなかったけ?? 言ったよな。うん)

 


 冥界のダンジョン。

 ……

 ゼロツーが管理するダンジョンで、ゼロツーの世界にある。

 現在はアンジェリカの屋敷の周辺。

 シャンゼリオンの辺境、魔の巣窟に繋がっている。

 つまり冥界のダンジョンが屋敷の外、中と繋がるとここにも、魔物が来るのではないかと思う。

 アンジェリカなのだが……


「……そのモンスター等はどうするつもりで?」


「ああ、安心しろ。冥界ダンジョンは俺の物だ。モンスターが発生しない階層もある。それに丁度階層も増やそうかと思っていたし。あっそうだ!! ここに、魔法陣を集めるのもいいかもな!?」


「うむ。確かにそれは面白そうですな。屋敷の中が無事と言う事でしたら、我はもう何もありません」

 

 ゼロツーはその言葉に悪戯心を覚える。

 (なら、アンジェリカ共々、消しちゃう? 消しちゃうぞ??)

 やりかねないから怖い。

 ねえ? アンジェリカの台詞が少ないのよ!?

 

「そうか?? ちなみに空間拡張の魔術は派手系? それとも簡単系? ちょちょいとやるか!?」

 あの、すいません。

 家系は無理です……違うかっははは、はあ。


 ちょちょいの言葉と同じく。

 ゼロツーは人差し指を指揮者の様に、ハリポタのウィガーディアンレディオサー……

 ちゃうちゃう。

 レディオーサの魔法の杖を動かすように、人差し指をくるくるしたゼロツー。

 この時には半分は詠唱が終わっていたらしい。

 

 作者の言葉となぞって、動いてーーお願いーー

  


 アンジェリカ的には難しい魔術を見せてもらいたい。

 だが、屋敷や自分の安全もある。

 考えているとゼロツーは心の中で……

 詠唱を始めて……る。

 

白き聖杯よ、謳えシング・オブ・グレイル天界の気 ヘヴンリィ・オーラ上位幸運の乱流グレーターラック・テンプス我が神はここにありてリュミノジテ・エテルネッル天使が通るアンジュパッセ死告天使アズライール破却の宣言キャッサーロジェスティラ

 え!? ちょっとアンジェリカさんのセリフがあ!!


 作者の言葉は聞こえない。

 

 アンジェリカは悩みながら、言う。

「おまかせいたします」

「そうか? なんか他にも、聞こえた気がしたが……」

 

 すいません私がしゃしゃり出ました。

 

「まあいい。確かアンジェリカて、召喚魔術使えたよな?? 召喚サモン幸運のお守りポルト・ボヌール生々したコロレ勇敢な男オム・ブラーヴ我が道をいくジュ・ヴェ・モン・デスタン。……こう言うの好き?」


 そして一人だけ、片手に剣を持ち。

 上半身は裸で赤いフンドシと、兜だけを着た。

 男性がポツンと現れる。

 筋骨隆々だが防具は頭だけ、見るからに弱そうだ。

 アンジェリカは心で思う。

 (召喚魔術?? どう繋がるのか)

 


 作者。

 どう? ……と言われましても。

 

 アンジェリカと作者の疑念の心を無視して。

 ゼロツーは続ける。 

 アンジェリカも心で、頑張りながらも台詞を続ける。 

 (会話か? 言葉を紡ぎ、合わせて。唱えてる)

 

生霊の憑代ハウンズ・ポゼッションさあ、やるか召喚サモン冥界の門エイルラガル傷開きオープンウーンズ」 

 


 ゼロツーは召喚魔術で門と言うには、あまりにも異様、異形、そう門とは違う者を召喚した。

 赤フンドシ男を目印に、その者と入れ替わる。 


 アンジェリカは仕方無く心で呟く。

 (はえ?? 転移かのう。いやしかし……解らぬ)

 

 入れ替わり。

 火の中で現れた者は、眼に布を巻かれ巨人の上半身だけを召喚した。


 正確には、生贄の召喚魔術だ。 

 

 そのものは雄叫びを上げながら自分の両手で腹を裂き広げてみせた。

 その巨人の腹の中からは血や汚物ではなく黒い漆黒の魔力が霧のように部屋に充満した。


 アンジェリカは思う。 

 (死? 闇の魔術か)

 

 目の前が見えない程、霧が充満する。

 火災現場の様……

 次第にだか、霧が開け晴れて。

 改めて目にしたのは……

 部屋はそのままに三十畳程の場所は変わらず。

 実験道具や魔道具、素材が置かれていた。

 

 だが、部屋の奥は区切り無くベルヴェールが転生する前に、二人に出会った。

 ……精神世界に似た空間があり。

 それが、どこまでも続いて。

 冥界ダンジョンと繋がっていると実感する。

 

 そして冥界と繋がったからなのか? ピリっとした、一瞬の静電気を身体全体に受けた様に感じた。

 独特の緊張感が漂う……部屋から空間に変わり。

 不思議や不気味な雰囲気を持つ。


 

 アンジェリカは興奮気味に言い放つ!!!!

「おおおお!! 我の作った世界に少し似てるかのう」


「あん? そうだな、ただまあ精神世界か、実体があるかの違いはあるが……」


 ゼロツーは、そう言い放ち。

 改めて、その人差し指をさし示した。

 そこには先程まで何もなかった。

 空間に扉があった。


 ……

「この扉は?」

「ああ部屋の外に出る扉だが必要だろ? この部屋の空間を広げてるだけで外は普通だぞ。お前が作ったアイテムボックスも似たようなもんだろ」


「いやいや待ってくれ。ゼロツー殿はそもそも可笑しいのだ、いや確かに空間を広げると言う意味なら。素材を用意して出来るが……わかっておるのか?? 別の世界ゼロツー殿の世界と、繋がっておるのだろう? そんな芸当、私も天才と持て囃されてきたが、言う。出来んよ」


「そうかあ? まあ、出来たものは仕方ないし。次々行くぞ!! 早速だが魔法陣を分解して重ねて行くぞ」

 

「まてまて分解? とな、重ねて行くとは、どういう事かね!?」



 アンジェリカは呆れたように、それでも驚ければいいのか?? 半ば諦めつつ。

 アンジェリカはゼロツーの話しを聞いていたし、分解? は分からない事も無い。

 無いのだが……重ねる? 魔術陣を? 重ねる発想は無く。

 新しい知識に更に興奮した様子で、アンジェリカは続ける。


「つまり、あれかね?? 分解した部分を何か用紙か何かに写して重ねるのかね??」


「んーーだいたい正解か? まあ、聞いてくれ」


 ゼロツーはアンジェリカを、落ち着かせるよう、話しを進める。

 

 そもそも、ここで驚いてもゼロツーのする事。

 成すことビックリ人間、基、異世界の死神、冥王なのだから。


「まずは魔法陣を三つ分解する大きさ。……は、そうだな。この倍々は大きくしよう。そして山の形のように並べる。並べたら、その周りに円を書き更に!! いいか!? 更に、その周りに七つの魔法陣を描く。この七つを描くときは特殊なインクを使うんだが……こ! れ! だ!」


 作者の気持ちと逆に煽ってきてくれるゲロツー。

 はあ、もう!! ゼロツー、落ち着かせるじゃなかったの??

 

 タラッタラッタラーン作者のモノマネの声。

 僕、ド・ラ……


 ……

「ゴホン! なんと」

 アンジェリカが話しを戻してくれる。

  

 ゼロツーは異空間倉庫から樽を幾つも取り出した。

 だが、モワッと香る濃密な香りは恐らく血だろう。

 出されたのは、しかも、ただの血ではなく、地球で言う。

 ミンチやミキサーで潰されたかの様な物。

 だがアンジェリカは敢えてそこに、話しを触れない。


 アンジェリカは心で呟き続けるしかない。

 (それは、そういう者だと)

 作者がアンジェリカに言う。

 本当にごめん。

 

「後はその周りを魔力媒体になる。マジックアイテムを出して行くか?? あ、アンジェリカのマジックアイテムも出してくれ。念の為、言っておくが魔力を誤って流したり分析しようと……触りすぎるなよ?? 冗談ではなく世界が滅亡するぞ!? 触れる時は、一応声かけてくれ」


「ッ!!……うむ。わかっておる」


 図星を突かれた様に、目に見えて残念そうなアンジェリカ。

 いそいそとマジックアイテムを用意する。

 

 ゼロツーが言った。

『世界滅亡』……は実際真実なのだが何より。

 ゼロツーは自分の世界ではない世界。

 新たなシャンゼリオンと言う、世界を除き二つの世界を消滅させている。

 

 ……ただアンジェリカが魔力を流して。

 発動するかは皆無であったが、そんな事はさて置き。

 ゼロツーもマジックアイテムを用意する。

 それは、それぞれ神話級伝説と呼ばれる物ばかりで、中でも目に入る。

 否が応でも目立つ、ソレは檻に入れられて居た。

 知能ある武器インテリジェンスウェポン達。


 達と呼んでいいのか??

 その武器は檻の中で、あるものは折られ。

 また剣などは、錆びていたり。

 欠けている。

 動く者だろうか? 鎖で縛られている者もいて、中にはピアスや指輪の様な装飾品、類物も見てとれる。

 

 それぞれ、離せ!! や、解放しろ!! だの、中には涙は出ないだろうが、啜り泣く声。

 ワーワーギャーギャーと罵詈雑言の嵐に雨である。


 不安、心配を寄せるアンジェリカ。 

「……その、大丈夫なのかね??」


 いきなり、亜空間から出された。

 知能ある武器インテリジェンスウェポン達?? に、興味津々だったが、あまりの意味不明、騒ぎに単純に心配し始めるアンジェリカ。

 

 ゼロツーは片手間に、何も入って無い、釜を亜空間から取り出し。

 魔法石や何かの骨を粉末にし、薄い青色をした液体を混ぜなから答える。


「ん? 大丈夫か? て何が」

 (そこは、じゃないですか)


 アンジェリカは騙されたながら

 作者は、マコトニスイマメンの心持ち。

「いや、この者達と呼んでいいのか、解りかねますが、素材として使うのでしょう? その魂の融合とか」


 ゼロツーは代弁する。 

 (あー女性だった……ウィーメン? 合ってる?)

 

「ごめん。魂に関しては問題ない。魔力として変換して武器の類も再構築するし、それになんだ……」

 


 口籠るゼロツーをじっとアンジェリカが見つめる。

「いや完全に私用なんだがな」

「うむ」

 続けるゼロツー。

「異世界の勇者や聖剣の類の、知能ある武器インテリジェンスウェポンはクズが、多かったなあてさ」


 (なんの話しだろう?? の話し?)

 アンジェリカは戸惑い思う。

 

 ジッと、その言葉を一緒に聞いていた。

 一部の知能ある武器インテリジェンスウェポン達が、一層大きくギャーギャーと騒ぐ中。

 そこの中には、煽る様な奴もいるが捕まって。

 半殺し? 折られたり。 

 と、その時点で武器としての性能は終わっているのだが騒ぎ続ける。

 

 ……

『ギャーギャー。やいのやいのワイワイエムシエー』

「いつも一緒に?」『M!!』『なあなあワイワイ』

「声優は関さんが良いよう』「雑種て呼んでー」

「俺の夢は終わらねえ」『アー!』「待たせたな」

『メタルギア!!』『ギャーギャーキヤーキヤー』

「あ? 恋は雨上がりの様に知ってる?」

「誰? ヒロイン?」「店長?」「店長っ!!」

「いい!!」『サンジ!!』「ジョニーデップの声」

「イケボー」「大塚Jr」「関様」「平田ーー!!」

 やばイケオジしゅき……津田さんも声は好き。

 でも顔面が青眼の白龍ブルーアイズホワイトドラゴン

『それ海馬っ!!』『融合!!』『アルティメっッ』

 どーどー話に戻る……戻らせる。

 だがしかし!!

『滅びのバーストストリームっ!!』『ドヤ』

 作者。

 もうええわ!!

 

 作者は知能ある武器群インテリジェンスウェポンズに文字を起こす。

 っ! おかげで、作者初出しだよ。

 知能ある武器群インテリジェンスウェポンズは思う。

 (その前から、混じってなかった話?)

 

 

 アンジェリカは黙って聞いた言葉を纏め、質問する。

「呆れればいいのか……そんな散歩に行くかのように異世界を渡り歩いて。世界を消したりしたのでしょう??」


 ゼロツーは訂正する。

「消したのは二つなんだけどな」

 

 ……諦めの境地のアンジェリカ。

 それを、知らん顔でゼロツーは言葉を続ける。

「そんな訳で文字通り武器だし。色んな意味で叩き直そうと思った訳よ」


 アンジェリカは単純に疑問をなげかける。

「その、この世界には知能ある武器インテリジェンスウェポンは無い。売ったりは考えぬのか??」



 ゼロツーは思って無かったのか、考えながら一言。

「売る売るねえ。間違い無く騒ぎになるだろうし……」

 (売るにしても、誰に売るか。だ、金額も決めれなければならないし……売る相手に対しても、多額な金額をもらったりか? 要らないけど。後は、んー命を狙われたり。最悪素性を調べられたり。うわあ面倒くさ)


 ゼロツーが考える中、アンジェリカの中では、話しが終わっていない。 

「それは我を知能ある武器インテリジェンスウェポンにしないと言う事か??」

 恐る恐るアンジェリカが尋ねる。



 ゼロツーは考えが纏まらないのか? あれもこれもと話しが出てくる。

「いや別に話さなくても、念話とかあるし!? なんなら、この世界にもゴーレムは居るんだろ?? ベルヴェールの居た世界……ロボットて呼ばれる。喋るゴーレムが居たが……いや、それはそれで目立つ。のか?? んーなら時が来るまで。アクセサリーの類の、知能ある魔導具インテリジェンスアイテムとかで念話を使いながらやって行くか!?」


  

 ゼロツーとアンジェリカは作業を進めながらだったが、其々、思い思いのままに話をした。

 作業は順調だが、結局、アンジェリカの転移体? 転生体をどうするか?? その問題は平行線の話しが続けられていた。

 ……中……ガチャッと部屋の扉が開いた。



 ――――方々っチャ

 ――ガチャ

 


 片ン

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