エピソード00
1話
……
「おお……やっと……」
声がする。
すると不意にもう1つ声がしてくる。
「見つけた」
「っ?! 誰だ」
……
そんな声達が聞こえてきて、もう1つの光はふと目を覚ます。
周囲に見えるのは何も無い白い空間にそれが延々とどこまでも続いているように見えた。
…………
「……ここはどこだ?」
……
思い出そうにも頭にモヤがかかった様に思い出せない。
「目が覚めたかね、我々の後継者よ、だかしかし……お主は何者かね」
そうするともう1つの声が……
「俺か? 遊びに来たようなもんだが日本やシャンゼリオンとはまた別の世界で死を司る、死神かはたまた冥王か、まあそんな存在だ」
そう話し掛けられ声のした方へと意識を向けるとモヤが少し晴れたように人型の光……と闇の影が目に入ってくる。
…………
「光と影の人……シャンゼリオン? 死神? 冥王……別の異世界? ちょっと待て理解出来ないんだが俺は何だ」
声の主は人型をした白い光と黒い影、白い光が明滅しながらも声を発してくる。
「我が光だとするのなら汝もまたその光ということになるのだが、その辺は理解出来ているかね?」
その白い光の言葉を聞き、初めて自分の身体が光であることに気が付く。
人型の光とは違って手も足もなければ、当然目や耳といった感覚も無いのに何故か見て、聞けるのだ。
……
「どうなっているっ?!!」
「落ち着け」
「お前は??」
黒い影に尋ねる。
「さっきも伝えたが異世界の死を司っていると伝えたろ? 爺さんの白い光と話しが済んだら聞いてくれ」
黒い影は人型の光と光球と呼べるそれに話しを促す。
「……うむ。汝の魂が消滅する寸前に我が前に呼び出されたのだ」
白い光がそう伝える。
「俺は死んだ……のか?? いや筈だ……ここはいわゆる死後の世界って奴か??」
少し……少しゆっくりと……モヤが晴れるように思い出していく白い光球は名前を鈴村大地。
第三一二海軍航空隊所属で少尉に就いている。
「ここは我が作り出した世界と世界の間の精神世界であり汝は我が後継者として選ばれた」
白い光の説明を聞き黒い影もまた口を開く。
「俺は死を司るからこの精神世界にも干渉して入って来た。この事情に心当たりがあって今ここに居る。」
抑揚の少ない声でそう告げる黒い影に、白い光ピクリと反応する。
「それは、アレか?? 白い光が別の世界この場合は地球か?? 地球の日本に干渉して……俺を殺したって事か!?」
目の前の白い光は声を発しようとするが黒い影が口を遮る。
「っ!!」「いや、こいつは自分が行使した魔術で魂が死に瀕した。お前を死後の世界へと向かう前に話しをして。自分達の魔術を継ぐ存在になって欲しい。……だろう??」
さすがに初めて会ったばかりの見知らぬ他人……と言うか見知らぬ光と影の話を全面的に肯定は出来なかった。
とは言え、いつまでもこのままという訳にはいかないので大地は話の先を促す。
「続けてくれ」
「先程も申した通り、我は自分の後継者たりえる存在を呼び出す術を試行した。それで現れたのが汝である」
「要はこいつらが転生する先で作ったホムンクルスにお前の魂を定着させようとしてる訳だが……」
「待て待て、残して来た者も居るんだぞ、それに要は輪廻転生、生まれ変わりの類て事だろ??」
(自分でも分かってる死んだて事は…………それでも)
じっと大地を見つめ黒い影が口を開く。
「ああ、大変言いにくいんだが……」
「なんだ?」大地が急かす。
「
「ぉわあちゃあ」白い光の人型が言葉を漏らす。
「…………」理解に苦しむ大地。
「信じられないのも分かる。
「が!! だ」
黒い影の言葉を借り白い光が続ける。
「うむ既に消失寸前となっている汝だが今ここで生まれ変われば膨大な魔力と汝の居た世界の記憶を引き継いでの転生になる。それに我が宗派の魔術。生命有る創世魔術と呼ばれる魔術の後継者となる」
「ちょっと待て宗派とか生命? その創世とかて何かの宗教なのか?」
話しを聞いていた黒い影が再び口を開く。
「いや宗教と言うよりこいつらを崇拝してる集まりだなシャンゼリオンの世界で世界最高峰の魔術いや魔法と錬金術師や魔技師による魔道具なんか作って独自の魔導国家を作ってる」
「その、何でそんなに詳しいんだ? ……膨大な魔力てのは俺にもあるのか?」
黒い影に尋ね徐ろに口を開く
「俺はこの事象を見て知っている、あーわかりやすく言うとだなお前が転生する。世界、シャンゼリオンてのはな地球の、日本での小説世界だ。
『っな!!』
白い光も大地も黒い影が元々日本人だったと言う事と大地の転生先でもあり白い光の存在していた世界が物語の中と言う事実に二人とも言葉を失う。
「まあ、転生するかは別として論より証拠だろ? 転生のサポートをしようと思うからそのあたりの情報を共有する。記憶を共有する魔術があるが使うか?」
まず黒い影は口頭で白い光に生命有る創世魔術の補助的なではなく改変して。
全く新しい魔術理論を説明した。
大地に対しても魔力の有無や転生の方法や転生後に、シャンゼリオンの知識によって変わるであろう事象の変化に対応出来る様、話し。
また黒い影は大地のナビゲート体の形になる事を伝え。
白い光と大地に情報と知識。
また三次元的なイメージを魔術によって共有し、大地は大地の地球。
日本の世界で突然変異とも呼べる魔力を持っているらしく。
そして大地はたった今、シャンゼリオンの世界に転生してから白い光や黒い影の魔力、その質量や属性等を共有した。
大地は白い光に話す。
「なんというか…凄いな。そしてこれが魔術…なるほど大体事情は分かった……そっちは?」
白い光は寂しくも言う。
「興味深い事例ではあるが、既に我にはその謎を解き明かす存在自体がない。そもそも寿命には勝てず己の命と魔力の全てを使って。生涯最後の術を行使し狭間に精神世界を創造したのたが……」
生命有る創世魔術を実行するにあたって前提条件として膨大な魔力が必用。
少なくとも、この精神世界で消えない存在でありまたさらに魔術行使時にはその効果を高める関係上制約で一生で一度しか使えない。
白い光の宗派も世界でもトップクラスといえる魔術師達が集まってはいるが、創世魔術を使えたのはこの数百年で両手に数える程に収まる結果となっていた。
白い光を始め天才と呼ばれる魔術師達でも当然寿命は有限であり。
貴族社会や、また国同士の戦争や暗殺毒殺等、一人倒れ、二人倒れとその人数を次第に減らしていくことになったのだが…
思いに考える寂しそうな白い光に黒影が言う。
「ああ、爺さんもサポート体とかで転生したいのか? 肉体が欲しければ、ホムンクルスを作って魂を定着させればいいし。最悪、お前が生命有る創世魔術を行使した際に出た余剰分の魔力で出来たマジックアイテムをただのアイテムとしてじゃなく
興奮しているのだろう白い光は点滅しながら話す。
「それは助かる。と言うか、そのよいのだろうか?? 我もこの空間を作り出す程の膨大な魔力を持っていたが、今はない。後継者殿の世界ではここまで強大な魔力を持つ特異異質な存在はいないであろう。だが冥王様はこの精神世界を呑み込む程の魔力、天と地程の力の差を感じるのだが」
黒影が答える。
「それは魂の融合の事だな? 安心しろ混ざり合うつっても俺や爺さんの魂を触媒にして、転生先の新しい身体も坊主達や俺の魔力量や属性に合わせて作り変えるからな。一応お前達のは二人とも主に火属性の魔力だ。それを一対とし俺の死属性の異界の魔力を同じ一対として調整する」
大地は不思議になり質問する。
「……その魂の融合てのは? ……それは、アレか? お前達と俺が融合するという感じなのか?」
白い光が答える。
「否。主体はあくまでも汝であるが、3つの魂が比例して魔力と器の変化も考え良くて多少の性格の変化がある」
大地は質問する。
「わかったそれで新しい肉体というのは?」
黒い影が得意げに話し始める。
「新しい身体に関しては今回。主に余った魔力を定着出来る様にホムンクルスで、耐えれない部分を俺の世界で捕らえてある天使を素材にして再構築する。そこに死魔術で器を拡張させて時空間魔術で停める。最後に生命有る創世魔術の行使時にそれでも余った余剰分の魔力を全て込めて高次元生命体を召喚する。どうよ??」
黒影は続けて。
「あっちなみに爺さんが用意してる新しい身体てのはチビな身体だがな再構築する事で背は平均より高いくらいになって顔面は美形になるぞ喜べ。」
『…………』
「……なるほど、それが新たなる肉体? か? ……」
「何考えてるか、だいたいわかるが種族は体が天使族。精神核てのが、まっ魂なんだが爺さんとお前と俺で
完成した魔術や器を前に転生になった段階で弄るような事を言われ。
正直戸惑いつつ自分の魔術が更に高みへ否、完成へと近づく探求心を求め白い光は口にする。
「その…どのように変更するか思考を読み取らせてもらっても?」
「ああ、さっきやったみたいに共有の魔法をかけようイメージしやすいからな」
黒い影の知識とイメージを読み取る……生命有る創世魔術にて黒い影は幾つもの異世界の素材、マジックアイテムを触媒とし。
それぞれの魔術、錬金術、魔法陣の改善を行い通常は不可能な高次元生命体の指定や
そして大地の転生体の仕上げを行い。
マジックアイテムもユニークアイテムとして創世するという。
「なるほど……盛りだくさんですな。実に興味深い」
二人のやり取りを見ていた。
大地が呆れて口を開く
「それで?」
呆けてた白い光が改めて大地に説明する。
「体については心配ない。古代文明含め数千年単位でこのような技術は生まれないだろう。また、汝が生命の創世魔術を継いだ後に我はサポート体か?
魔法道具や素材について話していると黒い影も
「俺の世界や別の異世界の魔導具や素材やら細々したものも亜空間収納に入れてる。まあ、だから転生したら白い光の素材と合わせて開発する。その後はやって見ないとわからないがサポート、ナビゲートは任せろ!!」
「ちょっと待て、融合するんじゃないのか?」
大地が尋ねる。
「あー転生後も俺等が居る体で話してるから疑問なのか? ……まず始めの融合で白い光とお前の魔力を同じ属性が故纏める。対となるように俺の魔力を分け魔力的に融合する。余剰分の魔力つまり魂の核たる部分はお前の新しい身体か俺の器や白い光の器も
(いや、そこまでは)
「……それは」
大地は言葉を漏らし考える。
(確かに、知識だけでは技術も磨けない何よりこの黒い影は転生先の知識まさか小説の世界とは驚いたが任せた方が幸先がいいのは確かか)
大地は話し内容に納得したが、それよりも白い光が改めて驚いたように点滅している。
何故なら
生命有る創世魔術に置いては是非とも成功させたい代物だ。
そして白い光は改まって黒影に問う。
「冥王様、恥を忍んで聞くが真に
「さっきも言ったが俺にはこれから事象を知っている。それにシャンゼリオン以外にも自分の世界やまた第三、第四の異世界と渡り歩き。その時代において未知の素材や魔術系統もそれぞれ知識としても物量でも蓄えてる。それに異世界とシャンゼリオンの術式を合わせた新しい魔術を作る。どうだ?? 面白そうだろう」
白い光は黒い影と先程共有した知識と今の言葉を照らし合わせ期待を込めて頷き。
大地もまた……
「……ま、このままここで断ったとしても改めて地獄や死後の世界とやらに行くだけなんだろうし。いいだろう。その申し出を受け入れさせてもらう」
大地の言葉と共に世界と世界の狭間、精神世界が白い光に包まれる。
「それではこれより融合を始めよう」
「…………」
精神世界は眩い光に消え大地の意識は闇に呑まれていった。
「大地ねえ……Dieねぇ」
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