@.RECollection アットマーク.レコレクション

おのんのんの

プロローグ

 戦時に幻の超一級の戦闘機乗り。

 第三一二海軍航空隊所属で少尉に就いている。

 『鈴村大地』は空を飛んで居た。

 第二次世界大戦の一人。

 虚空の無色透明な世界で、仲間と話しながら、勝って生き抜く事を信じて。

 ――――打打打駄々……baba……――駄々――


 機関銃の銃撃と無線の通信音が混ざり合い変わりゆく。

「俺には。そう、言われた気がしたがね」

 大地に言葉に後輩の隊員が言い大地は再々返す。

「そんな事は無い。大地さんはいい人だ」

「いい奴は死んだ奴らだ……」

「大地さん。ありがとう」

「なあに軽いもんだ」


 打々――ザ、ザ――――――――ザ…………ザ――ザ


 異世界シャンゼリオンで、歴代最高と呼ばれる。

 ローズ=ベルドゥムール家の魔術師。

 

『アンジェリカ』は自分自身の持てる魔術や知識を授ける。

 

 この世には存在し得ない。

 後継者を作り、継承すべく。

 自分の魔力と寿命を持って転生の儀式を行う。

 

 「…………必ず見つける。見つけ出す」

 

 そして、精神世界を創造し、後継者と成りうる魂を探して……――――――――…………ザザ――ザザザ


 無色透明の精神世界から欲望の自由神へと足音鳴りて続く。――――『レイジさーん』――ザッザ


 念話で名を呼ばれる。

 『レイジ』は死を司る神であり冥王である。


 レイジは地球から転生し生まれ変わった存在。 

 今となっては、次元を歪め。

 世界を割り。

 その狭間から、幾つもの異世界を渡り歩き。

 ……二つの世界を消し去った。…………ザッ……ザ


 歩く一人の男性と後ろを追う。

 もう一人の少女の影。

 二人は砂浜を歩く。

 海の無い砂浜だ。


「レイジさん」……改めて、レイジを呼ぶ声の主。


 声の主の彼女は『アリス』、レイジと行動を共にしている。

 ……

 その身体は不老不死とも呼べる。

 人によっては羨ましい身体だろう。

 ただ本人は呪いのような物で悲運と悲痛を感じ。

 彼女は一人、幼少の時から、この力を背負った。

 悲しみに暮れていた小さな少女は、ある時レイジと出会い。

 呪われた運命をも共に抱えられ救われたのだった。


 ――――ザザ―――――……―――…………ザザ――――


 改めてレイジがアリスに聞き返す。

「なんだ??」 

 何度も呼んだアリスは少し不機嫌そうに言う。

「なんだ?? じゃ、ありませんよー」

 ごめんごめんとレイジも平謝りしながら尋ねる。

「ああ、それで何回もどうしたんだ??」

 アリスは時間を知らせ告げる。

「そろそろですよ。もう行かないと……」

「そうか行くか」


 ――――ザザ―――――……―――…………ザ、――――


 二人はまた何処か? 新しい異世界にでも渡り歩き行くのだろう。

 風の吹くまま、気の向くままに歩きだす。

 二人の足音が次第に、強くなる。

 砂浜を歩く音が、まるで山道を駆け抜ける様に。

 

 ――――ザザ――――――――打打打打打打駄々、


 ………何もない無彩色の無色透明な世界。

 そこにはアンジェリカでもレイジやアリスでもなく。

 

 ――ザザザ、――打打打打―――駄々―――駄々

 

 再び時は戻り。

 超一級の戦闘機乗り。

 第二次世界大戦の一人。

 改めて『鈴村大地』は空を飛んで居た。

 

「Babababa」「Dadadada!!」

 ――打打打打打打駄々

 駄々ッ!!

 

 交差する戦闘機、十字の白い飛行機雲を描く。


「なああぁー!! おい!! 大地!! あまり深追いするな!!」

「おうよ。相棒ーわかるかー?? 安い仕事はやらねえぜ!!」

 

「Bababa!! Doon……」

 ――打打打打打打、轟――!!

 

 勢いのまま大地は敵に向かって行く。

「スピードだけじゃねえ。空中戦でも強いぜ!!」

 大地は目の前の戦闘機を撃墜した。

 ――轟ッ!! 打打打々……

 大地は通信で話してた相手、相棒に繋げる。

「にしても相棒の機体も速いな。俺に着いてくる」


 

 ――――塵々、機体の破片が散り落ちる。

 戦闘機があった空は炎と血肉で紅く黒くなり。

 血の雨となり機体と共に地上へ降り注ぐ。

 ――――ザザ

 無線と共に相棒が言う。

「あぁ、名声と金を運んでくれる。幸運のガラガラヘビさ」

 サーーー。


 ドッ轟!!

 ……

「っと! 違いねえ!」

 大地が言うも相棒は調子に乗る大地に釘を刺す。

「ったく危なっかしいだよ。そんなんだとなあ。折角出来た。可愛い子猫ちゃんに嫌われでもして。夜中に寝所で、顔にでも爪で引っ掻かれるぞ」

 ……ザ

 (なんだよ無線の調子が悪いな)

 戸ットンと無線を叩きながら話す大地。

「あん? 徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに美容にも良くねえ」

 ザザッ先程から通信のノイズが走りながらも無線で話す大地と、その相棒。

「お、そうするわ。でもなんだ? 彼女思いでも。あっちはご無沙汰なのかよ」

「はあ、あのな。見てないのにどうやって嫌われるんだ? プライベートだ。逆に教えてくれよ」


 

 深追いしていた大地を最後尾にして。

 他の隊員と空の旅路を当たり障りのない会話をしながら帰路に進んでいると。


 中列にあった大地と話しをていた隊員を乗せた戦闘機が、ドンッと被弾して火を吹いた。

 ――ドド轟ッ!!


『なっ……』「くそやりやがった」「ちくしょうめ」


「いい奴は皆死ぬ」「……友へ」「おい!!」

「戦闘態勢を今直ぐとれい!! 敵は海辺の岩場に隠れている空母だ!!!!」

 被弾した隊員、大地の相棒は隊長格で変わりに誰かが咄嗟に叫び指示を出す。

 

 ――ザザザ、打打打打打打打打々!!!!


 大地は戦時を楽しむ戦闘狂だ敵に向かって呟く。

「こんな所で遊んでると、団体で攫われちゃうぜっ!!」


  

「Butata.Bababa……Bababa」

 虚空の無色透明な空は、激しい火花と交差する火薬で大輪の大量の花火が上がる。 

「たまやーてな!!」

 大地が花火を見て言った。


 

 ――打打打駄々、打打ッ轟ッ打打打……

「DadadadadaBan!!」

 …………轟ッ!! 打打打々!! 打打打打打打

『通信!! 通信です。敵からの通信です』

 隊長格を変わった味方が無線と口開く。

『おい無視しろ』

 打打打打打打打打々!! Butata!!

 再び味方からの通信が入る。

『再通信です』『繋げろ』

 大地が無線を変わり。

 敵に取り引きと言えぬ殲滅宣言行う。


 

『金貨は半分くれてやる。残りと人質を置いて失せろ。さもねえと皆殺しにしてやるぜ!!!!』

「大地!!」「よし行くぞ!!」「おっおい!!」

「DadadadadaButataBan」

「後方!! 後方より敵影」「ちっ後ろは任せろ」

「空母からも敵!! 戦闘機来るぞ……」


 

 打打打打打打駄々ッザザ……打打打ッ轟!!

「くそ豚出てこい!!」

「Bababandooom!!」「Dan!!」

 ――轟ッ!! 轟ッ!! 轟!! 

「おいおい。てめらは何処の豚だ? 豚に法律も国も無いってか??」


 

 弾幕と被弾の爆破の赤い花火は雨に成り。

 無色透明な世界に白の飛行機雲と混ざり合い紅白の線と黒煙のトリコロールが青い空をスケッチに染め上げて行く。

 

 (まるで、死の宣告旗のトリコロールだな)


 轟ッ…………打打……打

 ――ザザ、打打打打打打打打打!!

 駄々…………ザ、ザ……打打打、打々……

 大地は無線を使う。

「おいおいっ!? 状況は!!」

「…………」

「繰り返す!! 状況は!! どうした!?」

 仲間内との無線に引き仕切りに、ノイズが走り声をかけるが返事はない。

「…………」

「ちっなんだってこんな時に」

 大地は物分かりも決して悪いわけではないのだが……


 ――打々、

 轟ッ!! 轟!! 打打打ッ

「Dadadadadadadada」

 駄々、打打打……打打打駄々!!!! 打打打

「Dadadadadadada」

 打打打打打打ッ打打打……


「くそおお!! ぬわああああ!!」

 

「DAM!!」轟!! 打打打駄々……

 ――轟ッ!! 轟!!!! 打打打打打打

 

 ……

 傍から見たら無色透明の空間を飛ぶ。

 大地は不思議と一人だけ。

 遂に被弾し下へ下へと墜落して行く。

 

「次は賭けじゃなくて正式に申し込みに行くぜ」


 

 ……打打打…………ザザ

 覚悟する大地。

「…………」

 ……ザーー……ザーー

 突き抜けて行く壊れた無線の音と重力。

 白く白く雲に覆われ呑み込まれて行きながら。

 不思議と下に落ちて行くのでは無く。

 それは上へ上へ昇るようだった。

 

 塵散り……塵々…………

 

 紅白、黒煙の空に散らしたスプレーの色を突き破り無色透明の無彩色な世界に誘われ。

 死の淵の中、大地は大切な人への言葉を呟き続ける。

「お……かさん」


 ……ザザッ……


「神様が、って言ったんだな」

 ――ザザッ


 ザ、


 ザ


 ……

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