3話



「ベルヴェール早速だが創世魔術の魔法陣の確認を行いたい。アンジェリカはアイテムボックスをベルヴェールに渡してくれそれに素材やらマジックアイテムを収納しているんだろう?」



「こちらに」


「このアイテムボックスはお前にしか使えん中身を確認して全て出してくれ」



 アンジェリカは黙って頷く。



「それでだベルヴェール、マジックアイテムを確認したら外に出てモンスターを出来るだけ狩って来い死体はアイテムボックスに入れて生命有る創世魔術の素材にする」



『なっ』



 これから生命有る創世魔術を行使すると思っていたので、まさかいきなりモンスターと戦えと言われるとはアンジェリカ含め予想外の言葉だった。

 また屋敷の外界は辺境にある未開の地、ここはアンジェリカ達の屋敷があれど外界の森や荒野には竜種やエンペラー種、新種の高ランクモンスター等の巣窟なのだ。

 ここに本来、人は立ち入らず屋敷を構えているアンジェリカ達世代の天才達が誇った魔術師が次代と比べると明らかにおかしいのだ。


「何も不思議な事ではない。自分の力をある程度試すのと戦闘データの収集だな。アンジェリカからのマジックアイテムはアイテムボックス含めデータを元に調整に回すから俺からこれを」


 ゼロツーはそういうと空間の狭間から拳大の透明な『記憶石』を2つ、透明で薄く青い光を放つ結晶の石板スノードームの様に中に文字が浮かんでいる『魔結晶の魔本』に特殊な素材で出来た水色の呪符『子猫の転移魔法陣』『亜空間倉庫の腕輪』アンジェリカの用意したアイテムボックスと違うのは個人指定を行っていない点と何より高ランクモンスター等強く抵抗はするが生き物が入る点だ。


 そして武器は透明な水晶の鞘に金色の2匹の蛇が刀身に纏わりつくよう彫られ魔剣を収める鞘だが、身を守るマジックアイテム、所有者に対しあらゆる攻撃に耐性を持ち闇属性に関しては完全に無効化する。


 物質に依存しない斬撃は斬った相手の魔力を喰らい1振り1振り威力を上げていく刀身は漆黒、刃先は黒く、その刀身全てが水晶の刀であり魔力媒体にもなる闇属性の者には威力向上消費魔力減だが付与効果が付くが属性が使えないものでもある程度この場合術師の保持魔力に比例して術を行使する。


 双刃の槍その本体はひびの入った隕石で作られておりその隙間から青い光が稲妻のような模様が走っている、上下の刃での斬撃は風魔術が付与されており飛翔する斬撃を放つまた投擲しても空間魔術によって手元に戻り投擲の一撃は雷魔術が一点に集中し空間を縮小した後爆発する。

 その周囲はクレーターとかす。


 また魔力を込めると弓形態にもなり込めた属性の矢を放つその魔力は空間魔術によって膨張し破裂するその矢は雨のように降り注ぐ。

 媒体としては使えないが魔力を貯める事が出来る事により斬撃、投擲、矢とその威力は初級から天変地異を起こす事象まで引き起こす。


 指輪、クリスタル魔結晶で出来た指輪サイズ調整付き。

 魔術の威力に重きを置いた杖と違い詠唱破棄かつ瞬時に発動できる速度が特徴。

指輪自体に記録された中位までの術式を行使する為術者負担は魔力の提供のみ慣れると術師の使用頻度またはセンスによって術式を最適化でき無詠唱でも行使可能



「かなりの数があるが、使い方は??」



「まず透明の石、記憶石を使え。魂が融合したばっかりで散らかった知識をより鮮明にする。1つは俺の魔術の記憶、そして魔結晶の魔本に魔力を流すと術式が浮かんで行くから吸収していけもう1つの記憶石は俺が行った事のある第二、第三の異世界で得た武術の知識その一つだ!」


 ベルヴェールは少し困りながら、

「いや……一つだ!! て言われても」


 ……

「まあなんだPCのダウンロード、アップデートだと思って気楽にな」

 (機械かなんかかな?)



 ベルヴェールはダウンロードとアップデートて電子機器だから成り立つのだろうにと思いつつも新しい身体は翌々考えれば自分自身も人工生命体なのだから等考えつつ半ば納得する。

 細かい事を気にしなくなったのは魂を融合した影響だろうかベルヴェールは記憶石に魔力を流し同調し吸収した………


  ベルヴェールは透明の石(記憶石)に魔力を流し様々な流派の武術を吸収してする……


 ……天剣……流剣……獣王格闘武術……エスエムエル王国式剣術……巨人武甲体術……帝国式剣術……エレメント精霊剣……長槍流一文字……銃術拳法……蛇双槍……糸操テオドール暗殺術……壷虫暗殺呪方……三七四五八式……ヒノカミ拳法……穴蔵式上腕二等金銀銅槌……絶剣……猫拳……猫酔拳……似暗中……海人……二刀流……斧そう操術……馬上槍剣展開術……鬼牙突波状式戦法……テイ厶合力呼吸の法則……火多流……戦龍王盾術……エンチャント式飛体操術……抜刀術先々攻……四千手弓術……槍術杖術突打払の波状攻防の術……独歩……虫見操追跡秘術……貫通攻撃剣術……歩地腕王犬拳法……蛇ア邪面……膨大な情報とイメージが脳内を巡る。



「……ずいぶんと種類が多いがちょっといいか?まず穴蔵式上腕二等金銀銅槌てのは、漢字を間違えてるのか?」


(この世界に漢字があるかは謎だが明らかに誤字?いや筋肉だろう二頭筋だよな……金銀銅てメダルの色?)



「んーシャンゼリオンには漢字は存在しないぞ、その武技は異世界のドワーフのものだな鉄槌や重量武器の波状攻撃や重量加速で重さ速さと名前の割に幅広い奴だな、ただなんだ語呂が面白かったから入れといた」



「おい! 俺の脳内情報に変なの入れるな!! 語呂だと……なら……もしかしなくても歩地腕王犬拳法てのは……」




「ん? ああ、ポチわんわんけん、けんぽう」



 

……そんな武技


 

『使うか!!!』



 ベルヴェールは勿論アンジェリカもすかさず突っ込むが素知らぬ顔でゼロツーは話しを続ける。



(いや他も色々怪しいぞ、猫……猫酔拳……マタタビか、蛇ア邪面とかも語呂が)



「そうかあ? 獣王格闘武術と同じとまでは言わないが獣人を中心に異世界では2強だぞ?? まあ兎にも角にも行動しなきゃ始まらない。残りの記憶石と魔結晶の魔本から魔術を吸収してくれ」



 ベルヴェールは記憶石から知識を纏め照らし合わせるように魔結晶の魔本から魔術を吸収して行く……

ゼロツーの知識からまた魔結晶の魔法により鮮明に理解ししばしの沈黙いや長い長い沈黙の後口を開く。




「………この…これは、その無詠唱が可能と言うのも驚きだが」



 ゼロツーの世界、大賢者大魔導師等の世界に名を轟かせている物の一部にはゼロツーの様に無詠唱で魔術行使出来た。

 生憎全て行使出来る訳出なく勿論センスも必要だろうが一番は数をこなし身体で覚えその魔術を無詠唱で行えるようになると言う物だ。

 魔術は詠唱の文字数やイメージ世界の成り立ちへの数式や理解力によって効果を高める。

 無詠唱と似たものに詠唱省略や詠唱破棄等あるが総じて威力は下がり補う為の魔力を膨大に使い無理に行っているものである



「無詠唱がシャンゼリオンで出来るかは分からないが使えたとしたら恐らく人間では初だろうな。まあ慣れるまでさっき渡したクリスタル魔結晶の指輪を使って試してくれ中位までの詠唱破棄が出来て使えて慣れると無詠唱でも発動可能だ。注意が必要なのは渡した黒い刀だ魔術媒体にもなっていてベルヴェールの魔力を考えると闇属性の魔術を禁呪の上の神呪をも発動してしまうだろう。」


 アンジェリカは魔結晶の指輪の詠唱破棄、また無詠唱での行使の可能な話しや黒い魔剣の刀の天変地異を起こす禁呪や神呪術の事象に一魔術師としてまた研究者として質問する。


「その魔術や魔道具についてだが、具体的にはどのくらい違うのかね」



「魔術についてだが俺の世界の魔術が進んでる時代背景で言うとシャンゼリオンが中世、俺のいた世界が近代未来て感じで魔力量も総じて多いし固有のマジックアイテム向こうでは魔装て言うんだが自分で生み出す奴もいる……いるんだがこの世界でも出来るやつは出来るだろうよ。後は何より全ての人間が魔術を使えるから魔術の細分化が進んで研究と証明されてる。ただ大まかな属性とかはシャンゼリオンと殆ど同じだがここは魔術師と言うか魔法使いが絶対的に少なすぎるから千年単位では違うな」



 シャンゼリオンの世界では地水火風が基本属性で時空魔術、錬金術、召喚術、古代魔術等特殊属性があるが分類はされていない為新しい魔術を見つけ仕分けをするとなると情報が少なく振り分けが出来ないのが現状一応草木も含め生物には魔力が宿るのだが実際アンジェリカの様な魔術師は今代シャンゼリオンの世界を見て1人2人いるかいないかだそのため次代に続いて行った魔法使いでも数はかなり少なくまた光や闇の属性も特殊属性に入る。


 ゼロツーの世界の基本魔術には炎水風土光闇・時空・錬金・召喚・魂の基本属性にそれぞれに再生と破壊を司る二極があるつまり基本属性だけで30ありこれに加え死属性等の特殊属性もあるまた水と風魔術が複合派生しての雷魔術(水+風=雷のタイプを複合属性)や単一しての雷魔術(純粋な雷として独立タイプを特殊属性)等別れており魔術も術式の規模や難度に応じて1から15階梯まであり階梯の規模は第1第2が下位魔術第3第第4が中位5〜7上位第8極大(数十に規模を死に至らしめる)9階戦術級(軍団の殲滅)第10戦略級(千人規模)第11〜禁呪の類となっている。




「……その地獄の炎とか冥界の〜とかの他にも階級の重い魔術が怖いんだが時間を停めるとか山を穿ち海を割るとか消滅とか……その色々……」



「その辺は安心してくれ外界は時空間魔術で隔離して一時的に俺の冥界ダンジョンと繋げてある。破壊や消滅しようが直ぐに復活する。寧ろ一度消滅したら冥界の魔素に当てられて希少種や上位種、独自の進化した新種のモンスターなんかも出るかもな」


 ゼロツーはベルヴェールが外界の事を心配しているのかと思っていたが、当の本人はマジックアイテムを使って自分が巻き込まれないのかを心配していたのだがこのすれ違いに気づく事はなくベルヴェールは不安に感じつつも新しい体を信じて、なんなら翼があるのだ飛べるのかと切り替える事にした。



「……わかった行ってくる」



「ああそうそう、渡しておいた子猫の転移魔法陣だが使い捨てだが魔力を通すと、俺を目印にして、ここの周辺には帰って来るようにしてある。初めていく場所だ。場所が分からなかったりピンチになったりしたら遠慮なく使ってくれ」


 『子猫の転移魔法陣』

 ……使い捨てだが術の行使中、少しだが話す事が出来る。

 魔力によって燃えて行くが熱くもなく火が移る事もない。

 シャンゼリオンには存在しないアイテム。



 またアンジェリカはと言うとゼロツーの話しを聞きベルヴェールの渡されたマジックアイテムを眺めながらブツブツと集中していた。

 これから生命有る創世魔術の改変を試行錯誤しているのだろうゼロツーの持ち合わせたマジックアイテムを見て素人目に見てもシャンゼリオンで見れないようなトンデモアイテムなのは間違いない、間違いはないのだが素材もとなるとアンジェリカの研究者としての魂に火をつけて没頭し過ぎてもはや別物いや絶対そうなると確信めいていた。

 そんなアンジェリカ達を尻目にマジックアイテムを亜空間倉庫にしまいゼロツーから借りた魔術触媒の指輪を人指指に装備し部屋を出て行く……玄関から屋敷の外へと1歩を踏み出したベルヴェールは周囲の様子を確認する……

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