3話

 無事転生を果たした。

 大地だが、まずは名前をと言うことで実はゼロツーが用意してくれていた。

 ただ……

 名前、真名マナと言うらしいが紐付けが必要との事。

 その為、名前は魔術の詠唱文と同じで長い方が良いと言うことで大地は了承する。

 結局……

  

『ベルヴェール・ライトベル・アスナ・フォン・ウィンド=ベルシャンシティ・ローズ=ベルドゥムール・バベル=ソニヤ』


 ……と言う長たらしい名前になった。

 だが、ゼロツー曰く”ローズ=ベルドゥムール”これはアンジェリカの姓なのだが名を明かせば、面倒事になるから使うなと釘を刺された。


 

 そして、名前の紐付け。

 ”親和性”と”同調性”の話から、大地もといベルヴェールとアンジェリカは魔術について話すのであった。


 ……

 ゼロツーはベルヴェールの言葉を先程と変わる事無く、話しを他所にして自分の考えに夢中だ……今度は真面目な雰囲気で改めてベルヴェールの名前を確認する。

 (ベルヴェール・ライトベル・アスナ・フォン・ウィンド=ベルシャンシティ・ローズ=ベルドゥムール・バベル=ソニヤ……)


 名前の”同調性”と”親和性”。

 いくつものベルは前世の名字から祝福。

 音、美の意味を持ち。

 ヴェールは結界や植物の意味がある。


 あながち言えないのだがライトベルの『ライト』

 つまり光の〜だが生命有る創世魔術行使時。

 反転させ両極の属性と基本属性を併せ持つ事もゼロツーは考えている。


 (光と破壊と再生と……闇も無理くり行けるか)

 

 ウィンドは文字通り。

 風で今の状態でも魔力消費を増やす事で行使できる。

 これは紐付けがなされてるが、『生命有る創世魔術』をまだ行使していないので、身体と真名と魂、魔力と融合がな為だ。


 ……

  

 そもそもに関しては、生命有る創世魔術にて創り出す。

 

 その後、ベルヴェール自身も風属性が通常通り使える様になる。

 つまりは生命有る創世魔術の使だ。



 ゼロツーはぶつぶつも何やら考えている。

 

「…………………………」


 …………

 

 アンジェリカはベルヴェールとの話に一区切りついたのかゼロツーを見る。


  

 アンジェリカは、何やら考え込んでいるゼロツーを見て声をかける。

「ゼロツー殿、その我のローズ=ベルドゥムールの性を継いで。否、肉体や魔術も継いで貰うのを心から嬉しく思う。だが、何故ウィンド=ベルシャンシティと?」


 

 ゼロツーは考えが纏まったのか、返事をする

 

「あーそうだな。ウィンド=ベルシャンシティについてはだろうが、俺の用いた素材を使って。生命有る創世魔術で特定の高次元生命体を指定し創る!! からかなー? 一応素材となる核? いや、魂と肉体は持ち合わせてる。だから勝手で悪いが、そいつは俺の腹心でもあり。風と時空間魔術の使い手でもある。今回の話しをした時に創世するって約束をしてな。頼む」


「つまり、我らの作った。生命有る創世魔術で、蘇りや生まれ変わりの類を行うと??」

 ゼロツーは頷きアンジェリカは驚き納得する。

 ちなみにベルヴェールの”ホムンクルス”とは、”生命有る創世魔術”は


 (おお、死を司ると言っても流石は神じゃ。我に否、我らに神の祝福。神の御業をこの体で感じる事が出来る。なんたる光栄じゃあ)

 

 アンジェリカはゼロツーに崇拝の念を抱き始め。 

 これから行う生命有る創世魔術を心待ちにする。


「…………」


 二人のやり取りを見ていた。

 ベルヴェールは周囲を見回す。


 (お、服あるじゃん。着て大丈夫だよな? 多分)

 

 そうベルヴェールは転生してからの新しい身体は何も着ずにシーツだけかけられた状態だった。

 ベッドの枕元に置かれていた衣服に手を通す。   

 すると魔力に覆われ服の形が変わる。


  

「おおお!! と言うか、新しい肉体って俺はどんな身体になったんだ? 天使とか言ってたし翼でも生えてるのか??」


 

 ゼロツーが答える。

「生えてるぞーいっぱい」


  

「は? ……えっ」

 (何故、気づかなかったのか?? 話に夢中になりすぎか? いやでも)



 ベルヴェールは背中を向く。

 すると背中には白の何対もの翼が花のように一枚一枚織りなし。

一輪の薔薇のような美しくも赤い炎に包まれたそれは形容できない畏怖の象徴だった。


「翼……翼かぁ、天使て言ってたけど、これじゃない感が否めないな。もっとも、アンジェリカ達から貰った知識によると十分とんでも肉体らしいが」


 ベルヴェールは顔を確認する為。

 アンジェリカ・ベルドゥムールという爺さんではなく女性。

 (間違ってすいません)

 そのアンジェリカの用意、引き継いだ。

 知識で部屋の鏡を探し見つける。


 (あっあったどれどれ……)


 ベルヴェールは自分の顔を確認してみる。


 そこに映るのはミディアム? ショート? 基準がよく分からない。

 これはゼロツーもアンジェリカも本来スーパーロングの為、短い髪型と言う概念が無く、第三者的な記憶が混じりあやふやだ。


 ちなみに生前のベルヴェールこと大地は坊主だ。



 ベルヴェールは改めて鏡の自分の顔を確認する。


 そこには……


 

 真っ黒な髪に赤みを帯び深紅と呼べる髪。

 そして流れる様に移り変わる。

 先程とは同じ赤でも風合いの違う朱い毛先。

 そして……朱い毛先の部分は魔力調整としても使われるらしいが。


(種族が天使族だもんな? そういえば翼はあったが……天使の輪っかは無いのか??)


 

 徐ろに今度は部屋にあった姿見で確認する。

 するとそこには天使の輪っかは無く。


 

 (なんだっ無いのか。まあ、あったらあったで照明灯みたいで邪魔そうではあるな)


 そして不意に目に入る自分の顔。

 先程は髪やエンジェルリングで、気にもとめなかったがそこに改めて鏡に映る自分。

 

  

 顔はまさに種族的に天使と呼ぶべき美しい少年美少女の中性的な顔だった。

 目の色は空色で髪と対比して印象深く残る。

 身長は170cmくらい外見は年齢的に13.4才前後といった所で身体は細身である。


 

 (これ……お◯ん◯んついてるよな?? ……中身おっさんで、この美少女は辛い……いや? でも……魔女っ娘てのも中々……あーー!! またゼロツーの知識だ)



 アンジェリカを横目にゼロツーは黙る。


「…………………………」

 (何考えてんだ。あいつ)


 

 ……

 また外見は今後ゆっくりとそれも数千数万と下手したら億までと時間をかけて成長していく。

 見た目の変化も自分の任意の所で止まり。

 背中の翼は自分の魔力で出来るが故か、身体は燃える事なく、熱くもない。



 ベルヴェールが授かった新しい身体。

 アンジェリカの知識の説明によると、この肉体はアンジェリカとその宗派の技術の粋を結集して創られ。

 そして魔力もアンジェリカ達の込めた。

 魔力に上乗せする形で、その殆どが、ゼロツーの膨大な魔力を追加で注ぎ込み創られた者だ。

 また、身体もアンジェリカの仲間内で老化によってその派閥が消滅していった経緯がある為。

 この身体は不老処置を施されていた。

 

 だが、そこに更に黒い影ことゼロツーが天使を新たに素材とした事。

 そしてゼロツー。自らの神の魂と魔力を分け定着させた事。

 それによりベルヴェールの身体は不老から不老不死となった。


 

 ベルヴェールは改めて思う。

 

(黒い人影も、前世がれいじ? て名前だからゼロツーなんだよな。なんか安直だよな。神ぽくないと言うか。いい奴なんだろうけどな! 人っぽい)


 

 また驚異的な回復力がその肉体には宿っており。

 身体能力に関しても元々の性能をさらに高め。

 もはや人外、種族的な意味でも人外だがそれでも企画外に作られている。

 そして翼に関しては魔力で具現化しており。

 オンオフ切り替えるように仕舞ったり出したりが出来る。



 そしてベルヴェールは何度か翼を出したり閉まったりしてみる。


「シュルルル!! バサアア!!」


「シュルルル……」


 (ゼロツーはベルヴェールに翼を授けーる。ンンッなんか違う)

 ……

 ベルヴェールは今じゃないと翼? を仕舞う。

  

 ベルヴェールは少し気まずそうに言う。

「なるほど、翼を仕舞うと服の一部になるんだな。というか、この服もゼロツーの調整によってマジックアイテムになったて事だよな?」



 ゼロツーは先程の様子を見ていたのだろう。

 半ば呆れたような口調でさも当然とソファーに横になりながらヒラヒラと先程のナプキン片手に答える。

 

「まあ、元はアンジェリカの作ったやつにちょいと手を加えてな。仮のて感じだな。取り急ぎ翼が生えてても着れる。正確には炎に燃やされない服て感じだな」


 ベルヴェールはアンジェリカとゼロツーの説明。

 そして自分の受け継いだ知識で補填し頭の中を整理する。

 身体をストレッチの様に動かし、肉体の性能を確認しながら。

 大方、理解した後テーブルの上にあった水差しで木のコップに水を注ぎ一口含む。


「そう言えば。この水も数百年前の物なんだよな」


 家主のアンジェリカが当然の様に答える。

「我が宗派の時空間魔術で時止めを行い。精霊魔術で家の管理と警備、外には多重結界と隠蔽魔術を施してある。水もただの水ではなく高濃度の魔力水だから美味かろうて」

 

 ベルヴェールは素朴な疑問を投げかける。

「ん? この家の安全性はわかった。だが水は何で高濃度の魔力水だと美味いんだ??」


 ゼロツーが変わりに答える。

「この世界では生物には全て魔力がある。例えばモンスター等の高ランクモンスターは強さに比例して魔力も高く持ってる。だから水と同じく、高い魔力を込める。所持していると、その素材も美味く感じる。そんなとこよ」



 

 そして改まって、ゼロツーが今迄お惚けたた声色とは違う。

 真面目な声色で口を出しだす。

 


「ベルヴェール」

 

 

「ベルヴェール早速だが、創世魔術の魔術陣の確認を行いたい。アンジェリカはアイテムボックスをベルヴェールに渡してくれ。それに素材やらマジックアイテムを収納しているんだろう??」


 

 アンジェリカはゼロツーに対して、崇拝しきったのか畏まる。

「こちらにご用意が」

 

 ゼロツーはアンジェリカから一度受け取るとベルヴェールに手渡し伝える。


 

「このアイテムボックスはお前にしか使えん。中身を確認して全て出してくれ」


 アンジェリカは黙って頷く。


 (確認と言われてもなあ)


 すると不思議な事にベルヴェールにだけ目の前に一覧が現れる。

 ベルヴェール、アンジェリカとゼロツーで確認を行いつつゼロツーが再び声をかける。


「それでだ。ベルヴェール、マジックアイテムを確認したら、外に出てモンスターを出来るだけ狩って来い。死体はアイテムボックスではなく。俺の渡す。亜空間倉庫に入れて。素材は生命有る創世魔術の時に使用する」



『は??』 

『いやいや!!』


 アンジェリカもベルヴェールも突然の事を言われそれぞれ反応する。


 それもそうだ。

 

 二人はこれから生命有る創世魔術を行使する。

 そう、と思っていた。

 だが……まさかいきなりモンスターと戦え。

 ゼロツーのベルヴェールへ戦いに出向かせる。

 その言葉はアンジェリカ含め、全くの予想外。


 また屋敷の外界は辺境にある未開の地。

 ここはアンジェリカ達の屋敷があれど、外界の森や荒野には竜種やエンペラー種、新種の高ランクモンスター等の巣窟で本来、人は立ち入らず。

 

 それは屋敷を構えている。

 アンジェリカ達世代の天才達が誇った。

 魔術師達が次代の魔法使いと比べると明らかに強さの次元が、笑える程、可笑しく違く。

 魔の巣窟で生きえる魔術師達、いや……

 其処に殲滅の軍事力が有る事を証明していた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る