第五話 ⭐︎ざまあ回⭐︎ 底辺配信者が有名配信者にイチャモンつけられたので真っ向からボコリ返してみた。 ⭐︎見所⭐︎

「喜べ視聴者ども! サブタイの通り見所を用意してやったぞ!」

 

 俺は目の前に現れた集団を無視して、次元の壁の向こうへ語りかけた。


「さあ彼らは一体どんなイチャモンをつけにきてくれたというのでしょうか!」


 調子に乗った連中を完膚なきまでに叩きのめして、吠え面をかかせる……

 その瞬間が最高に楽しみだよネ!


「な、なんだコイツ……」


 見るからに調子に乗った有名配信者グループのリーダーらしき男が口を開く。


「さっきから一人でベラベラと、気持ち悪……」

「なんだァテメェら? ウチのアニキになんの用だ!」


 のぞみんがキレてリーダーに詰め寄る。

 他の取り巻きもブチギレ寸前で一触即発の雰囲気だ。


「ふん、底辺配信者はボクちんたち有名配信者に敬意も払えないようだね」


 ムカつく一人称でリーダーが調子に乗り始めた。


「総チャンネル登録者数600万……総合ランキング上位常連の、ボクちんたち有名配信者グループ! 『マジでBADs』のことを!」


 聞いたことない滅茶苦茶ダサいグループ名だが、そのことには触れず対応する俺。


「そのマジでパンツの皆様が、我々底辺配信者グループに何の用で?」

「いやパンツじゃなくてバッヅだから」


 見下し口調でリーダーが続ける。


「チミたちの昨日の配信は見させてもらったよ。世間では大バズり一歩手前まで行ったようだが、ボクちんたちの目は誤魔化せないよぉ?」


 そう言うとリーダーが自身のスマホを操作し、ある画面を俺たちに見せてきた。


「アレはどう見てもインチキ、ウケを狙った悪質な八百長だ! その真実をネットで公開したところ、ボクちんたちの圧倒的拡散力で瞬く間にチミたちのチャンネルは炎上してしまったぁ!」


 流石の事態に俺も焦りを隠せなかった。


「なん……だと……?」


 リーダーからスマホを受け取り、情報を確認する。


「確かにネット上では俺たちを叩く記事が大量に出回っているな……」

「ハハ! ざまぁないね!」


 大笑いするリーダーと四人の取り巻きたち。


「そして今回は君たちのインチキを白日の元に晒すため! ボクちんたちとのコラボ配信を提案しに来た!」


 テンションブチ上げで説明を始めるリーダー。


「内容はシンプル! チミたちとボクちんたちが配信者力勝負をして、チミたちの配信者力が人気配信者には到底及ばないという事実を突きつけてやる!」

「いや配信者力って何?」


 多分DBの戦闘力的な何かだと勝手に納得しておくことにする。

 

「チミたちの配信者力の低さが判明すれば、とてもあんな面白い配信はできないことが判明する! そうすればチミたちのイカサマが決定的な事実となるのだ!」


 そのままの勢いでリーダーが取り巻きの一人を指名し、俺たちの前へ立たせた。


「早速だが第一回戦はこの子と戦ってもらおう!」

「いきなりか。まあ、突然の出来事に対する対応力も配信に必要な要素の一つか」


 この勝負、受けて立つ。

 そう俺が覚悟を決めると、目の前の女が名乗りを上げる。


「私はみんなのアイドル! 星野アレキサンドライト!」


 どこぞのアクルビ兄弟のような宝石ネーミングだな。


「私は配信で歌と踊りをファンのみんなに届けているの!」

「なるほど、アイドル系配信者というわけか……」


 やはり配信でも見た目の良さと言うのは重要な要素になってくる。


 その点彼女は素晴らしいビジュアルをしている。

 世の童貞どもが喜んで高額スパチャを投げ込むレベルだ。


「して、肝心の勝負内容は?」

「私と歌で勝負してもらいます!」


 彼女から投げ渡されたマイクを受け取り、勝負の準備は整った。


「無敵の笑顔で……」

 

 満面の笑みと素晴らしい声量で彼女が歌い始めた。


「実在の曲の歌詞をこれ以上書いたらカクヨムの規約に違反します!」


 ツッコミはのぞみんに任せることにした。


「だが安心しろ、勝負は俺が何とかする」


 自信満々の表情で俺が言うと、納得したように頷くのぞみん。


「アニキならきっとこんな小娘には負けませんよ!」

「ああ、俺に任せれば全部上手く行く」


 などと啖呵を切るが、流石はアイドル系配信者……流石の歌のうまさだ。

 その場にいるほとんどの人物が彼女の歌唱力の虜になっている。


 普通に歌って俺が勝てるのか?


 いいや、ある。

 一つだけ俺が彼女に勝つ方法が……


 やがてしばらくしないうちにその瞬間が、訪れた。


「君は完璧で究極の!」

「ゲッタァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」


 アイドルの曲に割り込んで歌い始める俺。

 とんでもねぇ声量でマイクに向かって叫びながら歌い続ける。


「明日の希望を! 取り戻そうぜ!」

「うるせぇぇぇ!!!」


 続いてのぞみんの怒声が周囲に響き渡る。


「ゲボアァァァ!!!」


 すると何故かアイドルが血を吐いて倒れた。


「この人……超、音痴……なのに、無駄に声が大きくて……無……理……」


 そのまま白目を剥いて気絶するアイドル。

 フハハハハハハ! とりあえず第一回戦は俺の勝利だな!


「正義の疾風が! 荒れるぜゲッタァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

「いやもう勝ったんで歌うの辞めてくださいアニキィィィ!!!」

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