第四話 作中の評価とゲームのキャラ性能が見合ってないこと多いよね。

 そんなこんなで前回、華々しい配信者デビューを果たした魔王様である。


 配信とか色々するに当たって、第一印象ってやっぱり大事だよネ! 

 ということで俺は早速、美少女だらけの最強ハーレム集団を手に入れた。


「今日から我々は短ラン⭐︎キューティーズ改め、長ラン⭐︎ビューティズという配信者グループとして活動を開始する」


 学園の学食、ショッピングモールのフードコートのような広い空間で、俺は椅子にふんぞり返りながら美少女とプリンたちに囲まれていた。


「やはりプリンは良いものだ……水で薄めるのは許さん、牛乳で作った濃厚プリンを献上するのだ下僕ども」


 俺の命令に喜んで従い、次々と売店で買ったプリンを献上する美少女たち。


「まずは衣装を一新して、学園指定の学生服を改造した長ランを身に纏ってもったが……」


 女子限定で長ランの下はヘソ出し胸元出しセクシートップスを着させている。

 しかし思ったより眼福でエッチな光景が広がっていた。


 俺の趣味でメンバー全員は胸とケツのデカいナイスバディで、きゃわいいお姉ちゃんで固めて見栄えがもうめっちゃ最高なのだ。


「まあそんなこと文字で表現したところで、視聴者の君達には伝わりにくいだろうが……この小説配信が人気になった暁には、作者が直々にデザインした制服のイラストを公開するとしよう。ついでにキャストオフ状態のヌードイラストも付けて……」

「いやアニキ、それカクヨムの規約的に大丈夫なんですか?」


 メンバーの一人にツッコミを入れられ、思いとどまる俺。


「うむ、それもそうか……あくまで公平に、小説の面白さで勝負するべきだな」

「アニキ、建前が崩れてます。もう完全に配信じゃなくて小説の話になってます」

「別に構わんだろう? 俺は配信でも小説でも人気になりたいんだ」


 そのためならなんでもやってやる。

 

「女性メンバーのヌードが無理なら、俺のヌードでも公開しとくか?」

「アニキの全裸はとっくに無修正で全国放送されてます」

「詳しくは第二話をチェックだ!」


 と、俺が過去回の宣伝をしていると……


「アニキィィィ!!!」


 のぞみんが俺の名前を叫びながら抱きついてきた。

 そのムチムチの尻を俺の膝の上に座らせ、のぞみんからの報告を受け取る。


「どうだのぞみん、あの配信の反響は?」

「もうすっごい人気ですよアニキィ!」


 のぞみんが嬉々としてスマホの画面を見せつけてくる。


「アニキのおかげで初めて配信ランキング上位に乗れました! しかもチャンネル登録者も鰻登りで絶好調です!」

「よしよし、ここまでは概ね予想通りだ」


 あれだけインパクトのある配信をしたのだ、少なくともちょっとした話題になったしかるべきである。


「後はこの流れのまま、次にもっとウケる配信をして視聴者の心を掴まなければいけないな……」

「あぁ、それとそれと」


 まだ何かあるようで、ののみんが続ける。


「小説の方は4人くらいにしかフォローされてません」

「おぼふ」


 あまりのショックに口からプリンを吹き出してしまった俺。


「……早急に改善が必要だな」


 配信の人気なんかよりもよっぽど大事な方が不人気では、この活動の継続自体が危うくなってしまう……


「何かしら手を打たなければ……」


 とりあえず俺はランキング上位のダンジョン配信系の小説をサクッと読んでみた。


「ざまぁ、ハーレム、ざまぁ、ざまあ、ざまぁ……やはり胸糞な敵を用意して、スカッとぶっ飛ばす感じのYouTubeでよくあるショート動画のような小説を読者は望んでいるのか……」


 となるとまずは分かりやすい敵が必要になってくる。

 俺を排除しようとするが、その代わりに痛いしっぺ返しを食らうタイプの……


「いたいた、お前たちが長ラン⭐︎ビューティーズとかいう不良集団だな!」


 そんなことを考えていたら、ちょうど良い敵役が向こうからやってきてくれた。


「底辺配信者のくせに目立ち過ぎだ! あんな八百長配信で人気になったからって調子に乗るんじゃねぇ!」

 

 あまりにも好都合な展開に俺は少年院の時の宿儺のような邪悪な笑みを浮かべて喜びながら、しれっと次の展開に合わせてタイトルを変更した。

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