第三話 ダンジョン配信でバズりたいって作品書いてるんだから、もっと応援とか星とかお願いしても是非もないよネ!

「なんだ、たかだが男の裸を見たくらいで顔を赤らめおって……」


 恥ずかしがる女どもに対し、余裕を崩さず対応する俺。


「どうやら貴様ら見た目はイカついが、中身は初心な生娘だったようだな」

「くっ、ちょっと怯んだからって調子に乗ってんじゃねぇ!」


 そんな中で、リーダーの女だけが強気な態度で言葉を返してきた。


ひいらぎ 真央まお……なんか雰囲気が変わったみてぇだが、どうせ中身はいつもの弱小クソ男に違いねぇだろ!」


 どうやらそれがこの体の持ち主の名前らしい。

  

 俺は体を借りた相手の脳みそから記憶を覗き見することができる。

 今はまだ乗り移ったばかりなので、後で詳しく確認しておくとしよう。


「なるほど、ひとまず貴様の名前だけは思い出しておくとするか……」


 俺は目の前の女の名前を記憶から探る。


 なるほど、この体の持ち主は学生であの女とクラスメイトらしい。

 そして仲間の女ぐるみでかなり悲惨なイジメを受けていたようだ。


 探れば探るほど溢れ出てくる、恐怖と羞恥に塗れた記憶。

 ならば少しはやり返したいと思うのが当然だよな?


佐々木ささき 希美のぞみ、か。良いだろう、これから貴様のことはと呼んでやる」

「テメェ、人をおちょくんのも大概にしろよ……」


 ブチギレて怒りのオーラを溢れ出させるのぞみん。

 

「このレディース配信者集団『短ラン☆キューティーズ』の首領ヘッド、佐々木希美さまに喧嘩を売って生きて帰れると思うなよ?」


 なるほど、奴らが着ている丈の短い制服はチームの証だったか。


「どこがキューティーだ、アルビダ海賊団の間違いだろ?」

「誰があんなデブスだゴラァァァ!!!」


 怒鳴り声を上げながら、真っ直ぐ俺に向かって殴りかかってくるのぞみん。


「ククッ……挑発した甲斐があったというものだな」


 感情任せに動く奴ほど動きを読みやすい相手はいない。

 俺は最小限の動きでのぞみんの攻撃を躱し、背後に回った。


「な、このっ!」


 すかさず俺の動きに対応し、振り返るのぞみん。

 しかし俺はそのタイミングで軽々とのぞみんの顔面を鷲掴みにした。


「オボフ!?」


 肉厚なのぞみんの顔面にムギュッと俺の右手が食い込む。


「やはり醜い、な」


 のぞみんの容姿を嘲笑いながら俺が呟く。


「見た目が悪ければ中身さえも腐ってしまう」

「テ……メェ、覚えとけよ! 後で必ずブッ殺……」


 のぞみんがそう言いかけた瞬間、俺のオーラをのぞみんの体内に流し込んだ。


「アバッ……ババババッッッ!!!」

「安心しろ、死にはしない」


 俺は俺の体から生成される生命エネルギー、あるいは魔力と呼ばれるオーラを操ることである程度のことならなんでもできることができる。


 最低でもちょっとしたビームが出せたり、その気になれば人智を超越した奇跡さえも自在に引き起こすことができる。


「これはほんのちょっとした余興だ、あまり驚く必要はないぞ」


 俺はのぞみんの内部にオーラを流し込み終り、離して自由にしてやった。


「おい」


 そして後ろで怖気付いている取り巻き共に声をかける。


「誰かのぞみんに手鏡を貸してやれ」


 意外と取り巻き連中は俺の命令に従順に従い、のぞみんが手鏡を受け取った。


「……嘘」


 そして自身の容姿の変化を確認したのぞみんは感動の涙を流す。


「この美人が……私……」


 滑らかなエメラルド色の長髪。

 胸と尻以外から無駄な肉を削ぎ落とした完璧なボンキュッボンボディ。


「俺の能力を持ってすれば、ブスを美人に変えるなぞ簡単だ」


 しかし骨格は変えられない等ある程度制限もある。

 

「いいか、あくまで今の容姿は貴様が生活習慣を整えて痩せた上に肌にハリツヤが出て、似合う髪型でセットした状態を再現しただけのことだ。その容姿を維持したければ、ゆめゆめケアは忘れるなよ?」

「私は貴方をイジメていたのに、どうしてこんなに嬉しいことを……」


 それはあくまで体の持ち主が、だ。

 俺自身はなんとも思ってはいない。


「ただ容姿の醜さ故、腐っている貴様を見ていられなかったのだ。安心しろ、見た目が綺麗な人間は心も綺麗になるというものだ」

「真央……いいえ……」


 のぞみんは涙を拭い、その豊満なボディを存分に揺らしながら俺に抱きついてきた。


「アニキィィィ! のぞみんは一生貴方様に着いていきますぅ!」

「よく言ったのぞみん」


 そして俺はのぞみんをお姫様抱っこしたまま、華麗な動きで取り巻きデブス連中にも魔力を流し込み、誰もが憧れる美少女集団を作り上げた。


「どうだ、視聴者諸君! 今までの配信は面白かったかな?」


 俺は取り巻きの美少女に配信用のスマホでこちらを撮影させ、画面の向こうの視聴者に向かって宣言した。


「この配信はあくまで俺の華々しい配信者デビューを飾るための企画、いわば前座というもの……次回はもっと面白い配信を見せてやるからみんな、チャンネル登録よろしくね!」


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最強ラスボス魔王様はバズりたい 〜難攻不落の高難易度ダンジョンを支配する最強ラスボス魔王様は、人間に転生して自分のダンジョンで無双する配信をして有名になるそうです〜 イルティ=ノア @iruuunn

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