第15話 リベンジ

 いつもの白い空間で、列に並びながら最後に見た情景を思い出す。

 鳥目で俺の目でも間違えようが無い、あの姿は一度見た事のある姿だ。

 ポイズンスライムの時にやられた黄金の髪の女騎士だ。

 あいつにやられたんだ。

 

 畜生、ポイズンスライムの時もここからという時にやられたし、今回も戦い方をつかんでからやられたんだ。

 前回やられた時はただただ見とれて、心を奪われたけだが今回は無償にむかつく。

 苛立ちが収まらない。


「死んでしまうとは情けない、次の人生を決めた前」

 いつの間にか列の一番前に来ていた。


 ポイントは得られたが、ここで終わったら男じゃない。

 男はやらなきゃ行けない時がある、それがいまだ。


 邪神のおっさんに手渡されたタブレットポイズンスライムに戻れるし、他のモンスターになる選択肢があったかもしれないが、それらに目をくれずジェットスワローを選択する。


 四度目のジェットスワローは案の定、親と兄弟達に気味悪がられる所から始まる。

 これ毎回の事だが地味に傷つくんだよな、マジでゴブリンになるんじゃなかった。

 あれはマジで後悔している。


 ただ今回は無事成長し、巣立つ事ができたのでやる事が二つある。

 まず、ジェットのスキルをマスターする事だ。


 スキルをマスターしないと、ジェットスワローの本領が発揮できない。

 もう一つはあの黄金の髪の女騎士を誘い出す事だ。


 いくらこの体が自由に空を飛び回れるからといって、あの女騎士をもう一度見つけるのは無理だ。

 そこでもう一度同じ場所で同じ被害があれば、あの女騎士を誘い出す事ができる

だろう。

 

 ポイントを得るのは後回しにして、音速の貴公子となるべく毎日ライバルのカモメさんと

 空中戦を挑んでいる。

 

 ジェットを使いこみ、ジェットの達人になるんだ。


 半年ぐらいたっただろうか、だいぶ成長した。

『レベル49 種族 ジェットスワロー HP520 MP420

 力101 素早さ620 体力210 魔力190 器用さ320 運3

 スキル 毒    マスター  ありとあらゆる毒を自在に使いこなす

     ジェット マスター  自由自在に空を駆け、あらゆる物を加速せる

  称号  同族殺し       同族を殺戮し続けた者に与えられる称号

 ポイント 7250』


 滅茶苦茶時間がかかったが、音速の貴公子と言われてもおかしくないぐらい成長できた。

 この前死んだ時より1.5倍ぐらいはでかくなった。

 

 そしてとうとう、ジェットもマスターする事ができた。

 ジェットの微調整はもう考えなくてもイメージするだけで急加速、急停止ができる。

 ライバルだったカモメさんもスキルを使わなくても勝てるし、スキルを使えば十匹ぐらいいても、一匹も逃がさずに狩る事ができる。

 そして予想通り毒と同じく、ジェットのスキルもマスターした特典があった。

 スキルをマスターした特典は、自分自身以外にこのジェットの機能を使う事ができるというものだ。

 自分以外の物にジェット使って、飛ばせるという事だ。

 獲得した当初は革命的な技かと思ったが、実はそうでもない。

 説明文にはありとあらゆる物と書かれているが、重量がある物には殆ど効果無い。

 

 ジェットがうまく扱えるのは軽い物限定で、小石ぐらいが重さが限界だ。

 そこでだ鳥型モンスターの王道の技である、羽を使った攻撃ができないか試してみた。

 

 何度かトライ&エラーを繰り返していると、ただ飛ばすだけでなく、ある程度ジェットのスキルで羽を操る事ができるようになった。

これによって、やっと攻撃する手段ががきた。


「くそ、鳥の分際でちょこまかと」

 

 あえて筋肉隆々の戦士と戦士の間を通り抜けて、挑発する。

 剣を振るうが、ジェットをマスターした俺には当たらない。

 

 二人の戦士達は力こそパワーだ、といわんばかりの豪快の攻撃だが、当たらなければどうということはない。

 

 余裕で躱し、戦士の被っている兜の上に乗って挑発する。

 苛立った戦士が手で払いのけようとするのを躱し、少し上空で待機する。

 よし、遊びはここまでだ。ここからはずっと俺のターンだ。

 

 いけ、ファンネル!

 かぎ爪で掴んでいた羽を離すと、羽が四方八方から飛び回る。

 ただの羽ではいくら早くても、当たってもたかがしれている。

 

 そこで羽にとがった小さな刃物を取り付けている。

 自由に飛ばせる重さかつ、それなり攻撃力がある刃物を探して取り付けるのに苦労した。

 

 羽がつけれられる傷の一つ一つは小さな傷だが、それが無数につけ続ける。

 その苦労あって、二人の戦士を一方的にいたぶる事ができる。


「おい、逃げるぞ」

 二人の戦士は一方的にやられ、ついに逃げだそうとしている。


 ふふ、残念だったな。

 知らなかったのか、音速の貴公子からは逃げられない。


 ジェットを少しだけ作動して、一瞬にして彼らの上空にいく。

 そして狙いをつける。


「うわ」


「なんだ」

 俺の専売特許ピンポイント爆撃攻撃、つまり毒の糞だ。

 傷だらけの体に毒の糞があたり、毒に感染して苦しみ出す。


 糞に当たらなかったヒューマンは、相棒が耳から血を出しながら苦しんでいる姿を見て、情けない声を出して逃げていった。


 久々に人間を狩ったが、やはりポイントが高いな。

 戦士一人殺して300ポイント獲得でき、7550ポイントになった。


 人肉を美味しく頂きながら、今後の作戦を考えよう。

 今回はあえてあの戦士を逃がした。


 その後も毎日畑に毒の糞を撒くそして、俺を退治しにきた奴らは最低でも一人は逃がすようにしている。

 あえて、俺の事を広めて貰っている。


 攻撃手段とかバレてしまうが、この際それは仕方がない。

 全てはあの金髪の髪の女騎士にリベンジをする為だ。


 あの黄金の女騎士に二度殺された痛みを分からせてやる。

 痛めつけた後、「く、殺せ」とか言わせたい。


 その為にずっと準備をし続けた。

 一番高い木の上に止まり、女騎士が来るのをひたすら待った。

 

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