第7話 次の選択
スライム人生が終わり、いつもの霊魂になって何もない白い空間で列に並ぶ。
思考が纏まらず、なすがまま列に並んでいる。
つい先程までの光景が忘れられない。
圧倒的だった。
あの女騎士に殺された。
普通はくやしいとか、無念とか、憎悪とか湧いてくるのだろうが、一切無い。
むしろ心が浄化されて全てクリアになった、清々しい気すらする。
あの女騎士の姿は完璧だった。
あれこそが、物語の主人公という感じだ。
俺みたいなモブとは次元が違う。
カリスマとかというやつなのか。
一目惚れとは又違うが、完全に魅了されてしまったようだ。
「次の方どうぞ」
放心状態になっていると、いつの間にか門の一番前まできていた。
いつもの気だるそうな邪神のおっさんの声が聞こえ、門のなかに入る。
「死んでしまうと情けない、次の生を選びなさい」
いつも通り、やるきなく渡されるタブレットをみる。
『レベル35 種族 ポイズンスライム HP92 MP130
力30 素早さ31 体力42 魔力81 器用さ49 運50
スキル 毒 マスター ありとあらゆる毒を自由に使いこなす
スキル 分裂 ★★☆☆☆ 分身体を作りだし操作できる
ポイント 4339ポイント
転生先 スライム 0
ポイズンスライム 0
スメルスライム 450
ジャイアントスライム 1200
リザードスライム 2800
アイアンスライム 4200
ポイズンフラワー 2500
ゴブリン 1300
ポイズンウルフ 4300』
「やばい……どうしよう」
タブレットに書かれたたくさんの転生先が、ショック状態から戻してくれた。
「はやく選びな」
邪神はやる気なく督促している。
先程まで停止していた頭を、急加速で回転させる。
どうするか、正直ポイズンスライムの戦い方をマスターしから、次もポイズンスラ
イムで問題ないと思っていたが、この選択の多さは正直悩む。
落ち着け、あれこれ考える時間はここにはない。
こういう選択肢が多い時は消去法で候補を絞る。
スライム系で一番上位のアイアンスライムは某ゲームのメタル系と同じく、素早く、魔法が効かないかもしれない。ロマンもあり心を引かれたが、もしただ鉄並みに硬いだけのスライムだとするとこれはきついのでパス。
粘着質な体で木に登って襲うという、唯一もっているスライム戦法のノウハウ方法が使えなくなる可能性がある。
それに経験値が高く、目の色変えて襲ってくる冒険者から逃亡する生活は嫌だ。
それにどうせ転生するなら、スライム系以外がいい。
という事でスメルスライム、リザードスライム、ジャイアントスライムも却下だ。
次に多分毒のスキルをマスターになった事で現れた、ポイズンフラワーこれは考えるまでもなく却下。
ポイズンフラワーは十中八九植物系だ、断言できないが移動できない可能性がある。
ただひたすら敵がくるのを待つのはひどい罰ゲームだ。
「残り30秒」
残り時間は半分になったが、ポイズンウルフかゴブリンの二択まで絞れた。
どうするか名前の響きからしてポイズンウルフの方が強そうだが、ポイントをほとんど使ってしまう。
それに引き換えゴブリンはポイントが少ない、ただ良いイメージがないんだよな。
スライムは雑魚だけれど愛嬌がある気がするが、ゴブリンは雑魚かつ嫌われ者だ。
「残り15秒」
くそあの邪神、こちらを焦らせて楽しんでいるのじゃないか。
むかついてきたが、落ち着け。怒っている時間はない。
よし、今回はゴブリンになろう。
消費ポイントも少ないので最悪ゴブリンになった後、いまいちだったとしてもまだジャイアントスライムかリザードスライムになる事ができる。
ポイズンウルフは知らないが、ハズレだとしたら今まで貯めたポイントが全部なくなってしまう。
そうするとここはポイントの消費が少ないゴブリンの一択だな。
「残り5秒、3、2」
邪神の気だるいカウントダウンがはじまる。
思い切ってタブレットにあるゴブリンの項目を押す。
意識が飛び、暗闇の世界から新たな世界へ飛んだ。
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