第5話 最弱種の上位種
地面にへばりつく体に転生したが、もうこの粘着質な体にも大分なれてきた。
いつもと同じく人気のない木の下まで体を動かし、ステータスを見る。
『レベル1 種族 ポイズンスライム HP4 MP7
力1 素早さ1 体力3 魔力5 器用さ4 運50
スキル 毒 毒を飛ばす事ができる
ポイント 61ポイント』
ポイントは減ってしまったが、無事ポイズンスライムになる事ができた。
スキルの溶解は無くなったけれど、代わりに毒のスキルを得る事ができた。
全体的にスライムよりもステータスが若干だが高い。
特に魔力系が高そうだが、身体的には変わらず、前世のスライムの時とより青みが減り緑色が濃くなったぐらいかな。
早速新たに獲得した毒のスキルを使ってみる。
毒は説明文通り、足元からでるのではなく、すこし離れた岩に向かって発射された。
「おお!」
毒はぶくぶく泡を立てながら煙を発している。
見るからににやばそうだ。
人間の時には基本的に見る事のない、見るからに毒液だ。
なんか今さらながら、本当に異世界にきたのだなと思った。
ポイズンスライムになった俺には効かないと思うが、一応距離をとってしばらく観察すると一分程たつと毒はなくなっていた。
後はどれくらいの攻撃力があるのかだが、調べるのは実践あるのみだな。
何かによさそうな物はないかと探すと、また野ウサギの巣を見つけた。
早速で悪いけれど練習台になって貰おう、これも前々世の俺を殺して出来てしまった因縁だと思ってくれ。
そっと音を立てないように巣穴まで行き、巣穴を覗くと奧に目当ての野ウサギがいた。
しかも寝ているようで、絶好のチャンスだ。
穴に入っている野ウサギに向かって、狙いを定めて毒を放出する。
狙った場所よりも高い軌道を描き、野ウサギの手前の壁に当たってしまった。
壁に当たった毒がポタポタと垂れている。
毒の音を聞いてか、野ウサギの片耳が上がり、異変に気がつき始めた。
急いで角度を調整しなおし、起き上がりそうな野ウサギに向かって毒を再度放出する。
毒は見事に野ウサギにヒットし、野ウサギが苦しそうにもがきながら暴れ、巣穴から飛び出してきた。
突っ込んでくる野サギから慌てて避ける。
野ウサギは数秒間ジタバタし、次第に元気がなくなり、倒れ痙攣していたが、それもなくなり完全に動かなくなった。
そこで体全体を伸ばして包みこみ、美味しく頂きました。
残念ながら今回も味覚はなかったが、満足感が満たされた気がした。
野ウサギを食べながら思った、正直毒のスキルは微妙かもしれない。
明らかに溶解の方が殺傷能力が高い。
溶解は直接攻撃できる、ダイレクトアタックという感じだが毒は威力が低く、徐々に相手のHPを削る異常状態にするデバフの一種みたいだ。
なんか毒って不思議なスキルだよな。
敵が使うと面倒くさい嫌なスキルだけれど、自分達が使うと微妙なスキルになる事が多いよね。
ただ毒は放物線を描いて発射される為、接近しないでも攻撃できそうだ。
この裏が透けて見える程の極薄紙装甲かつ超絶鈍足ボディーで、相手に近づかなくて良いメリットは大きいのかな。
ただ溶解は疲れるだけだったが、毒はMPを消費しているので根性論が通用しない。
今は残りMPは1だ、もし二発目を外していたら、またウサギにやられてしまう所だった。
幸いにも時間がたつと、MPはゆっくり回復してくれる。
無駄打ちはできなので、狙った場所に確実に当てられるように訓練しないといけない。
ウサギを食べ終えて、気合いを入れて訓練を始める。
大分毒の軌道は慣れてきたけれど、なんか毒の発射速度が遅いのだよね。
運動神経いい人なら、見てからでも避けられそうだな。
そうすると、やっぱ奇襲するしかないな。
前世同様に湖の近くに根城をかまえる。
そして見晴らしがよさそうな木に登り、水を飲みに来た獲物を探す。
見つけた獲物に向かって毒を放出した。
最初は溶解のスキル時と同様で自分自身より小さい獲物を選んでいたけれど、的が小さくなるぶん当てるのが難しかった。
そこでターゲットを変更しよう。
そこそこ大きな獲物かつ、木の上に登ってこられない鹿や猪などの獲物が良い練習台だった。
仮に倒しきれなくても木の上にいれば安全だ。
鹿とか猪とかポイントが、5~10ポイントも貰える。
獲物もまさか木の上からスライムから攻撃されたと思わないみたいで、毒を食らって暴れ回っても気配を消している俺に気づく事がなく、安全にポイントを得る事ができる。
何だ毒のスキルって使い勝手滅茶苦茶いいじゃん。
溶解なんて目ではないね。
毒のスキルさん、微妙かもとか言ってすみませんでした。
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