第3話 裏切り者は
雨が降る中、スチュアートはバンザムの家を訪れていた。バンザムは労いの言葉をかけるが、早速スチュアートに迫った。
「スチュアート、神官エスが王の暗殺を企んでいることは知っているだろ?」
「ああ」
「なぜ阻止しない?」
「命令じゃないからな」
「ふん、王が倒れればお前も悠々としてられんぞ」
「かまわんさ」
「帰るのか? 故郷に」
「まあな。王国はどちらにせよ終わっている。そろそろ身を引こうと思っている」
「能力者が、か?」
「ああ、俺は隠居したいんだ。軍の前線では死人がたくさん出る。仲間の死を見るのは俺には耐えがたい」
「よく今まで軍人が務まったな」
「我慢していたんだ」
「……」
「それで、バンザムお前は神官エスを殺るのか?」
「ああ、王には昔貧しい俺を助けてくれた。今度は俺が助ける番だ」
スチュアートがバンザムの家を後にした翌日、王はバンザムの内乱首謀の罪で身柄を押さえるように命令を下した。神官エスに先を越されたバンザム。王に事情を説明しても、王は完全に神官エスに洗脳されてしまっていた。バンザムは王国は逃げ出した。
「王様、バンザムは無実です。聖騎士団派遣をお考え直し下さい」
「スチュアート、お前も同じ目に遭うぞ?」
「……」
王国最高ランクの聖騎士団がバンザムたちを追う。バンザムの手下が聖騎士団に次々とやられる中、バンザムはこれ以上仲間の死を避けるため自ら投降した。
バンザムは能力を封印する特殊な手錠をかけられ、王国の牢屋に入れられた。バンザムは能力を封印され、簡易的な牢獄でさえ抜け出せないままであった。
「バンザムお前、馬鹿だよなぁ 誠実にじゃこの世界で生きていけねえんだよ」
「誠実じゃないやつが玉座に座るのか?」
「ふっ、口が減らないやつだ……」
神官エスの見舞いにバンザムは対抗した。それは己の心に誠実で在りたいために。
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次回で終わるかも……?
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