第2話 第一級犯罪者バンザム


 警報によってバンザムの到着が知らされた。都の軍人たちが両手が繋がれたバンザムを取り囲み、特殊加工された獄から引きずり出す。


「バンザムは能力者だ。気をつけよ」

「「「ハッ!」」」


 しばらく書類のやり取りをしていると、ヴァルガンテス牢獄の監視官たちは表情を硬くした。


「スチュアート長官!」


 スチュアート長官が現れた。バンザムと同じ能力者であるスチュアートではあるが、彼は軍の上級職。バンザムとは雲泥の差である。

 スチュアートがバンザムの髪を掴み上げる。


「バンザム、落ちたものだな……」

「殺せ……」

「私たちには殺せんよ。王様の命令がなければならん」

「ふん、罪人の人格を否定する王が、か?」

「私たちは王様に忠実な家臣だ。命令がなければお前を殺せんよ」

「……」


 バンザムはスチュアートを睨み付けると、スチュアートは嗤いながら、背を向けた。


「第一級犯罪者バンザムを収監する! 気を引き締めろ!」




【ヴァルガンテス牢獄 地下十階】


 バンザムは特殊加工された牢獄に入れられた。

 スチュアートは人差し指をひょいと動かし、部下を呼んだ。


「バンザムから目を離すな」

「ハッ!」


 周りをぐるりと見渡すと、小さく嗤いスチュアートは転移魔法で地上に出る。そしてヴァルガンテス牢獄正門前の見張り役テスに話しかけた。


「バンザムのことだが……」


 スチュアートはテスの右手に一枚の紙を握らせた。チップと勘違いしたテスだが、よくよく見てみると文字が書いてある。


『バンザムは無実だ。……………………』


 紙にはバンザムの罪を否定する内容が書かれていた。テスは目を大きく見開いて、「こ、これは……?」と疑問をスチュアート長官に投げかけた。


「これは内密にして欲しい」

「わ、分かりました……」


 一週間後にまたスチュアートがヴァルガンテス牢獄にやって来る。


「その時だが、


 スチュアートは意味深長な言葉を残して都へと去っていった。



//////////

続く………………かも?



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