第7話

「というか、ここにいるのこの四人だけ?ほかのみんなは?」


アリスがこちらを気にした様子もなく、彼らに普通に話しかける。


ああ、これやっぱりここの日常なんだ。


そんなアリスの様子に少しめまいを覚える。


というかこの学科、まだまだ人がいるのかよ。


もうこの四人でおなかいっぱいなんだが。


「トロイアと三忌避はさっき出て行った」


「それはもう会ったぞ、そいつら以外のことだ」


「あー、それなら…。」


シンが言いにくそうにこちらをちらちらとみている。


こいつがいるのに言ってもいいのか、といった感じだ。


その動作が恐ろしく不安をあおってくる。


これ以上何か問題があるわけじゃないだろうな。


「他のやつらはまだ一か月前この研究棟を半壊させたときの、罰金の回収ノルマが終わってないから金稼ぎ中よ。」


カグヤがやれやれと首を振る。


こいつら一か月前にも建物破壊してるのかよ。


やっぱろくでもねえところじゃねえか。


しかし、建物を破壊すると修繕費を払う必要があるのか。


関係はないだろうが気を付けておくべきだろう。


「あー、じゃあまだ終わってない子にはかわいそうなんだけど…」


アリスがとても言いにくそうに目線を泳がせている。


アリスの言葉を聞いたみんなはまたかよといった顔でげんなりとした顔になった。


「今回も建物の損壊に対する罰金が出たので、一人当たりの回収ノルマが出ます。」


「おい、前回の終わったばっかだぞ、まじかよ」

 

「めんどくさいでござる~」


「でも、今回は前回よりはましだよ…前回よりは…」


「いくらなの?」


「えー…と、…1億?」


「「「「よし、とりあえずトロイア殺しに行くか」」」」


みんながさわやかな笑顔で殺害を宣言する。


こいつら全員笑顔なのに目が笑ってねぇ。


それにしてもこの世界の通貨の価値が分からないので何とも言えないが、一億というのは彼らの反応からかなりの高額なのだろう。


なかなか辛そうである。


しかし、なぜ今回建物の破壊には関与していなさそうな四人にまで支払いの必要があるのだろうか?


トロイアと三忌避を止められなかったからとかか?


「なあノエル、なんであの四人も罰金を払う必要があるんだ?あの四人何もしてないだろ?」


「罰金は個人じゃなくて連帯責任で学科にかけられるんだ。それで学科にかけられた罰金は学科のみんなで返さなきゃならないってシステムになってる。だからあの四人も払わないといけない」


「んっ?それって、俺も入ってるのか?」

 

「当たり前だろ?お前だって同じ学科なんだから。あー、これからしばらくは仕事漬けだなー…。」


全然他人事のように効いていたが、どうやら俺も一億を罰金として支払う必要があるらしい…。


…うーん。


よし、やめようこの学科。

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