第5話

「だー、クソっ。もうあいつらの射程範囲だし、よけ続けるのも不可能だ。だから作戦Aで行くぞ!」


「よし、作戦A、いつものだな!」


「えっ、なにそれ!?」


作戦Aってなに!?


俺知らないんですけど!?


作戦進める前に説明プリーズ!?


「「よし、後は任せた。」」


ノエルとトロイアが左右に方向をかえて走り始める。いや、Aってあとは任せたのAかよ!


今別れても最初に怒らせたのはトロイアなんだからトロイアが追われるだけなんじゃ……


いや待てよ…、いま、あいつらの殺意が向いてるのって…俺じゃね?


あいつらやりやがった!!


三忌避のヘイトが俺に向いてるうちに押し付けやがった!


マジかよ、ふつうやるか!?


俺今日来たばっかなんですけど!?


「「「死ねぇぇぇ」」」


三忌避から今までの比ではないサイズの魔法が飛んでくる。


『あっ、これ死んだわ』


直後に爆発音が響き渡り俺の意識は闇に沈んでいった。






◇◇◇◇◇





「うわぁぁぁぁぁぁ」


なんだあの魔法!?


俺死んだ、絶対死んだ!


あれ、でも体が動くぞ?


そこで起き上がって周りを見渡すと、協会のような場所で自身がベッドに横たわっていたのが分かった。


「あれ、ここは…」


誰かいないかと周囲を見渡すとシスターらしき女性が部屋に入って来る。


「おお、勇者死んでしまうとは情けない」


なんだこのシスター、部屋に入ってくるなり急に人のこと罵倒し始めたぞ。


「あの、喧嘩うってます?」


「こういう決まりですので。お目覚めの様ですねアレックスさん。ここは大学内にある教会。あなたが死んだ場所から最も近い蘇生地点です。死んだときのことを覚えていますか?」


「えっと、三忌避に追われてそれで魔法を…」


「ああなるほど、ではあそこで行われている惨劇はそれが原因のようですね」


「?」


シスターの案内で隣の部屋へ移動すると、そこにはトロイアと三忌避がいた。


「逃げれると思ったのか、ああ?」


「すんません、マジもう許してください。」


「あと百回は死んどけや、クソが」


目の前でトロイアが復活しては殺されてを繰り返している。


いや、こっわ。


え、何この人たち、やばすぎなんですけど。


「お、アレックス生き返ったか」


ノエルが部屋に入ってくる。


こいつ、しれっと何事もなかったかのように俺のもとに来やがった。


「お前俺のこと見捨てただろ!?俺死んだんだが!?」


「いや、すまんかったとは思ってる。でも、この世界じゃ死んでも復活するし、てか、今回の件に関しては俺全く関係ないし…」


ノエルが目をそらしながら答える。


俺も全く関係なかったんですけどね!?


「あー、いたー、もう二人とも探したんだよ!」


声のほうへ振り向くと、アリスが部屋の前でこちらを指さしていた。


アリスに続いてレオ、レーナも現れる。


「事務行ってる間にいなくなってたから心配したよー」


「いや、ちょっと三忌避とトロイアに巻き込まれて…」


「あれ、トロイアかよ!?グロいことになってんな」


「自業自得だろうあれは、いつものことね」


レーナがごみを見るような目でトロイアを見ている。


あれ、いつものことなのかよ、普段からあいつ何してるんだ…。


「とりあえず、学科のみんなに紹介したいから、みんなに集まってもらってる教室に行こうか。今回の騒動の後処理の話も、みんなにしないとだし。」


どうやらこれから、魔法学科の人たちに紹介されるようだ。


正直もうその学科行きたくないんですけど、今からでも変えられませんかねぇ!?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る