第3話 初恋の人
朝目が覚めて、制服に着替える。
学校に行く。こんな学生なら当たり前のことが俺には懐かしく思えた。
「まだ6時かーーまだ早いけど登校しよ。」
登校中色々懐かしさを思いながらもある大切なことを思い出した。
それは俺には好きな人がいるということだ。せっかく高校生に戻れたんだ…付き合えずとも友達にはなりたい。
そんなことを考えていたら学校の自分のクラスに到着した。ドアを開けて中に入ると1人1番前の窓側の席にぼんやりとした顔で外を見る女性がいた。
彼女は誰が見ても超絶美人である。
しっとりとした金髪に対比されて明るく輝く、ルビー色の瞳が印象的だ。
「おはよ…
ぎこち無いが、思い切って挨拶をしてみた。
こちらを振り向くと太陽の日差しが白いまつ毛に反射して余計に神々しくなっていた。
「神原くん!おはよ!今日早いね…」
栗花落麗華(つゆり れいか)2万人に1人のアルビノ患者で体も弱く目も悪いらしく黒板の目の前の席にいつもいる。俺の初恋の人だ。
俺に笑いかけてくれるが、それに対して何を言っていいか分からず…会話が終わってしまった。
この後どうやって普通の人間は会話しているんだ!?とりあえず気まずいから自分の席に座ろう。
でも、まだ大丈夫だ…今日は始まったばかりだから何かしら出来るはず……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
時間というものは残酷で気がつくと下校時間になってしまった。
周りに人がいると俺は無力だってことに気がついた。
そしてこの6時間俺は自分の足りないものをノートに描き出した。
整理すると俺は知識が足りないと気がついた。
まずは帰りに本屋さんでファッション雑誌と会話のためになる資料をかおう。
授業中試したが魔法を使うことで普通に勉強するより効率よく勉強出来ることがわかった。
俺は道中資料を買って家に帰った。
家に帰ると直ぐに結愛に買ったものをみつかり、説明をすると、呆れた顔で説教をされた。
「それで、モテるための秘訣10選にファッション雑誌買ったのは好きな女の子にモテるためなのは、分かったけど今日一日挨拶しかしてないってホント!?」
「まぁ、、そうだけど?」
「なら見た目より先にコミュ障治しなさいよ…」
盲点だった…と言うか言い訳すら思いつかない…
「いくら見た目良くなっても相手にその気がなかったら告白しても無駄よ?」
「そ、そんなことは無いだろ、、イケメンだから付き合った。とかよく聞く話あるだろ?」
「お兄ちゃんの好きになった人は顔で人を選ぶ人なの?中身を見る人じゃないの?」
「確かに、ぼっちである俺でも普通に接してくれる人だ。顔で選んだりはしない…」
「お兄ちゃんが、付き合うは行かなくても友達にはなれる方法があるわよ?」
お友達になれるだと!?
「お兄ちゃんが次の期末テストで学年1位になったら友達になってくださいって言って本当に1位になっちゃえばいいんのよ。」
「期末テストは7月にあるから約1ヶ月ある……」
俺は自慢じゃないが頭が悪い1ヶ月で今まで勉強してきた人たちを越えられるわけが無いと思っていた。
「大丈夫よ!お兄ちゃんにはバフ魔法があるでしょ!」
結愛が言うには魔法は回数を繰り返す事で魔法の威力が増していくらしい。
詰まりは今から毎日、記憶力強化をしながら生活をする。そしてかっこよくなるために朝と夜にジョギングをしなさいとのことだ……。
「よし、やってみるとするか」
こうして、俺の強化期間が始まった。
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ーあれから3週間がたった。
俺の体はある程度筋肉が着いた。
いわゆる細マッチョ?ってやつくらいには慣れたと思う…自画自賛だろうか?
俺はいつもの日課になっている夜のジョギングに出かけた。
走りながら、今までなんで気が付かなかったと思うようなことに気がついた。
この数週間、起きてから寝るまでずっと知識強化の魔法を使ってきたおかげか、ある程度の実力は身についたが、コミュ障は治ってなくね?
そんなことを考えながら走っていると、いつものコースに見知らぬ、女の子が特攻服を着た男数十人に囲まれていた。
その女の子は今にも泣きそうな顔をしていた。
いつもなら無視をするが、勉強と筋トレをしたおかげかは分からないが自分に自信がついた。だから助けてみることにした。
ついでに魔法を試してみよう。
「コール、バフ魔法”威圧強化”&”迫力強化”
連続3回」
魔法を使いながら不良たちに近づいてみた。すると会話が聞こえた。
「おい、こいよー俺たちといいことしようぜ?なぁ…」
「総長!総長!」
「何だよ?今いい所だろーが!殺すぞゴラァ」
「化け物みたいなやつが近づいてきます!!」
「何だよ、お前らただのガキじゃねぇ…か…何だ…こいつ…どう見てもガキにしか見えねぇのに…熊にしか見え…ねぇ…」
「もう無理っす俺……」
「俺も無理っす…」
不良たちは近づいただけなのに、叫びながらどこかに消えてしまった。だが流石だと言える。
天下無双の四文字を背中に入れた特攻服の男だけは腰を抜かしながらもその場に残っていた。
いやよく見ると、色々漏らしながらその場に気絶していた。
とりあえず、怯えている女の子の手を掴み少し離れた、公園まで逃げた。連続魔法だからだろう魔法は直ぐに切れて、少し体がだるくなった。
「怪我はない?大丈夫?」
そうやって聞くと、彼女の黒いボサボサの髪で隠れていた顔が公園の光に照らされてサファイアの瞳が見える。するとか細い声が耳に聞こえた。
「あの、助けてくれてありがとうございます…」
俺はそのあまりに綺麗なサファイア色の瞳をもっと見たくなり髪を右手で避けてじっくり見た。
「可愛い…」俺の口から無意識にそんな言葉が漏れ出た。
すると彼女の顔は真っ赤になり、そのまま全力疾走でどこかに消えてしまった。
10分間休憩をして、水分をとってジョギングの続きをした。
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