第2話 メスガキにも色々ある
俺は未だに自分に起きたことが信じられずにいた。
「俺本当に高校生にもどったのか…」
そうやって戸惑っていると聞きなれない足音が聞こえた。バタンと力強くドアを開けたのは猫の着ぐるみパジャマの黒髪ロングツインテールの女だった。俺の記憶ではこんな女は高校生時代にはいなかった。
「起きるの遅すぎなのよ!キモオタク!」
このムカつくが何故かわからせたいと思わせる幼女はおそらく…いや間違いない。
「まさか、あのメスガキ妖精か?」
「変な言い方はやめてくれる?私には大賢者様がつけてくれた名前があるの。」
そうやって話していると俺たちの目の前に、一筋の光が走った。その中から大賢者様が現れる。
「よくぞ目覚めた。神原 邦和(かんばら くにかず)と神原
これからこいつが俺の妹か…悪くないかもと少しテンションが上がってしまう。
そう言えば、俺は魔法使いになったのを忘れていた。どんな魔法かどう使うか詳しく、聞いてみたい。
SFの世界観のようにきっと空を飛んだり火を出したりといった。
ワクワクするものに決まっている。俺は空を飛びたいと思っていたんだ!そんな高まる鼓動を押えて早速大賢者様に魔法の使い方を聞いてみた。
「それで…大賢者様、魔法ってのはどうやって使うんだ?」
大賢者は白く伸びた髭を右手で撫でながら答えた。
「そうじゃのう…まずは適性を見ないことには教えられぬのう…」
「適正?」
結愛は楽しそうに俺に教えてくれた
「適正ってのはアンタがどの魔法を得意にしているかによって教え方が変わるのよ」
「なるほど…でどうやって分かるんだ?」
大賢者は手を前に構えた。
「わしの手を掴んでみるのじゃ」
俺は大賢者様の手を掴むと虹色に輝き始めた。
光が止むと、大賢者は首を傾げる。
「…なるほどのぅ。邦和はバフ魔法を得意としてるらしい」
「バフ魔法??」
聞きなれない言葉に俺は首を傾げた…というか大賢者様は首を傾げて結愛はクスクスと笑い始めた。馬鹿にされているみたいでいい気分はしない
「なんだ?何かおかしいのか?」
すると大賢者様はじっくりと目を見つめながら話し始めた。
「デバフ魔法は自身の身体能力を強化する魔法じゃ。本来魔法使いは火、水、風、3つの種類に別れるのだが今までにもバフ魔法を使うものはいたが魔法を極めるうちに他の魔法が使えるようになるはずじゃから気にする事はないぞ」
何となく察したが俺は最底辺魔法使いらしい。
普通なら怒るのかもしれないが人生経験のおかげか慣れてしまっている。
今までずっとそうやって底辺からスタートしてきた。
頼りにならない才能や素質なんて言葉はとっくの昔に諦めている!!
「それで大賢者さま魔法の使い方を教えてくれ!」
「良かろう。では見本として結愛よ、風魔法を使ってやってくれるかい?」
「もちろんです!大賢者様。」
結愛はパジャマをスカートのように両手で掴みお辞儀をすると魔法の呪文を唱えた。
「コール!風魔法空中浮遊!」
そう唱えると結愛は空中に浮き俺の狭い五畳半の部屋を飛び回った。
「このように言葉、もしくは心で”コール”と唱えてやりたい魔法を唱えることでなんでも出来るようになっているのじゃ。
魔法は無限の可能性と使用者の夢ある考え方で使用が可能なんじゃぞ?」
「なるほど。それだけなんでも出来るならコストつまり消費する魔力はどこから来ているんだ?あとどんな魔法が魔力を消費するのかと知りたい。」
「魔力は使用者の性欲を使用する。
魔法に使う魔力は使用者の想いつまりその魔法がどれだけ自分に負荷がかかるかによって変わる例えば、空を飛んでいる結愛は元々空を飛ぶのに慣れていて怖くない。
じゃから消費する魔力が少ないからこそ無限に飛んでいられる」
まてよ?今性欲って言ったか?つまりあれだ、、
俺が魔法を使う度に…
”スッキリ”するってことか!?
なんて最高の魔力理論だろうか、、、早速魔法を使おう!!…とその前に聞かないといけないことがあった。
「それで、大賢者様どうして俺を魔法使いにしたんだ?
いい人材は他にいただろ?」
「それはな……全然おらんのじゃよ……魔法使いになるための資格である。30年間溜め込んだ性欲、つまり”
「神社の巫女様が純潔な状態でなくちゃいけないみたいなものか?」
なんとなく俺が選ばれた理由に納得が言った。
「それで邦和よ、100年後でも構わない。人生を全うした後に大賢者を引き継いではくれないか?」
死んだ後なんて考えもしなかった。
だが二度とは無いチャンスだ。しっかり恩返しをしたい。
「分かったよ。大賢者様!俺が人生を謳歌したあとに大賢者を引き継ぐよ!」
胸を張って大賢者になれるよう最高の人生にしよう!!俺は心に決めた。
そんな所でさっそく!魔法を使ってみよう。
「じゃ早速魔法を試してみるよ。」
まずは耳を強化してみよう。
「”コール”デバフ魔法聴力強化!!」
「どうじゃ?上手く使えたかのう?」
「うん!大賢者様!しっかり使えましたよ!」
「伝えたいことは以上だ。それじゃ100年後まで良い人生を送るのじゃぞ」
大賢者様は白く光って消えていった。
それにしてもだ、ずっと気になった。
「お前はいつまで飛んでんだよ!結愛!」
「あ!やっと、名前で呼んでくれた!」
結愛は、子犬のような純粋でにこやかに笑いこちらを見つめた。
「じゃない!!ちょっと楽しんでだけよ!
賢者様との話が終わったなら私帰るからね!
あ…あと何かあったら言ってよね
…私一応サポーターだから…」
少し照れながら、結愛は俺の部屋から出ていった。
俺はこの魔法をどう活用して行こうかベットに横になりながら考えていた。
するとぼそぼそと声が聞こえた。
恐らく”聴力強化”の影響だと思う。だがさっきまで聞こえていた声に似ていたのでさらに聞こえるようにしてみた。
「”コール”デバフ魔法聴力強化!」すると今度はハッキリと結愛の声が聞こえた。
「どうしよー恥ずかしいよ…上手く話してせっかくの兄妹仲良くしたいのに…なんで私ってこんなに悪口で誤魔化しちゃうの?本当は名前で呼んでくれてすごく嬉しかったのに……つい恥ずかしくて誤魔化しちゃった……」
俺はすごく可愛い独り言を聞いてしまった。
…だが昔の俺を思い出した。
俺が思うに、人と話すなんてことは簡単に出来る方が俺はおかしいと思う。
目を見るのも恥ずかしいし何を言えば仲良くなれるかなんて想像もつかない。
だからこそ結愛が困ってるならなにか声をかけるべきだと思う……だがなんて言えばいいんだ?そうやって自問自答を繰り広げていると声がまた聞こえてきた。
「よし…思い切ってお兄ちゃんごめんって言ってみよう…上手くならないと…せっかくあの人の人生を楽しませて上げれるのに…やな妹って思われるなんて……絶対にヤダ…上手くやないと……」
そうやって隣の部屋から俺の部屋の前に来て結愛はノックをした。
俺はノックの音がしたと同時に部屋の扉を開けて今にも泣きそうな顔の結愛の顔を見ることなく頭にそっと手を置いて言いたいことを伝えた。
「上手に生きようだなんて、考え無くていい。結愛は素のままでいればいいよ。」
柄にもないことを言って俺は恥ずかしくなりそのまま1回のリビングに降りていった。
一瞬のことで上手く聞き取れなかったが結愛は下を俯きながら「ありがとう」と言ったように聞こえた…。
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