第4話

あぁうざい。有川もチラチラと視界に入る好奇の視線も。早くどこか行って。じゃないと……



「栗原、有川どうしたー? なんかあったか?」



この空気に耐えかね、声を荒らげそうになっているところにタイミングよく担任が入ってきた。視線を向けると、不自然なくらい密着する私達を見て不思議そうに首を傾げている。



「……いえ、別に」


「HR始めるぞ。席に付け、有川」



先生に促され、今にも覆いかぶさってきそうだった有川はバツが悪そうに頭を掻くと、しぶしぶ自分の席に戻っていく。だけどすぐ、



「あのこと、ショックなのは分かる。気の毒に思うよ。でもそれとこれとは別だろ」



ピタリと足を止め、背を向けたまま小声で呟いた。


そんな簡単に言わないで。気の毒だとかそんな言葉で片付けられたくない。


私はあれから泥の沼から抜け出せないような、そんな感覚の中にずっといる。誰かに慰められるたび、後悔で頭がおかしくなりそうなんだ。

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