第4話
あぁうざい。有川もチラチラと視界に入る好奇の視線も。早くどこか行って。じゃないと……
「栗原、有川どうしたー? なんかあったか?」
この空気に耐えかね、声を荒らげそうになっているところにタイミングよく担任が入ってきた。視線を向けると、不自然なくらい密着する私達を見て不思議そうに首を傾げている。
「……いえ、別に」
「HR始めるぞ。席に付け、有川」
先生に促され、今にも覆いかぶさってきそうだった有川はバツが悪そうに頭を掻くと、しぶしぶ自分の席に戻っていく。だけどすぐ、
「あのこと、ショックなのは分かる。気の毒に思うよ。でもそれとこれとは別だろ」
ピタリと足を止め、背を向けたまま小声で呟いた。
そんな簡単に言わないで。気の毒だとかそんな言葉で片付けられたくない。
私はあれから泥の沼から抜け出せないような、そんな感覚の中にずっといる。誰かに慰められるたび、後悔で頭がおかしくなりそうなんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます