第3話

「俺は理由を聞いてんの。ずっと休んでると思ったら今度はいきなり休部って。大事な時期だってことくらいわかってるだろ?」



昨日顧問に言われた同じ台詞を有川がくどくど続ける。


顧問の差し金か? 顧問もしつこかったけど、有川も同じくらいしつこくて、完全にそっぽを向く私の側から離れようとしない。



「有川には関係ない」


「ないわけないだろ! お前がいなかったら今年の県大は誰がいくんだよ」


「もう興味なくなったの。たぶん陸上、やめると思う」


「はっ!? 何言ってんのお前……!」



有川が大きく身を乗り出し声を荒らげる。ざわつく教室。だけどだからといって止める人なんていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る