1.Frustration

第2話

「休部ってどういうことだよ」



教室に人が集まりつつある朝。


教科書を机にしまう私に、有川が休部届を突き付けながら怒りのこもった口調で言った。


その声にすでに朝練から戻ったクラスメイトが、何事だと言わんばかりにチラチラと視線を寄越す。


それでもこの男は相変わらず周囲の目には無頓着で、鋭い目つきで私を見下ろし続けていた。



「読んで字のごとくだけど」



そんなことよりも、私的にはどうしてその休部届をあんたが持っているのか聞きたい。


それは昨日顧問の先生に手渡しで出したはず。なのにどうして有川が持っているんだろう。


まさか、奪ってきたのだろうか? と思う反面、こいつならやりかねないと頭の片隅でうんざりしながら、しつこい視線を遮るように窓の外を眺めた。

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