プロローグ

第1話

その遺影には見覚えがあった。



去年キャンプに行った時、二人で撮ったものだ。


彼女は今、その写真の前で立ち尽くす私を、どう思っているのだろう。どうして早く来てくれなかったの? って怒っているのだろうか。



だけどいくら想像しても、花が咲いたように笑うその写真からは、彼女の気持ちを知ることはできない。



わかるのはもう二度と、楽しかったあの頃には戻れないということ。


どんなに謝ったって、届かないということ。



制服に身を包んだ私は、膝から崩れるようにその場に泣き伏した。

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