第18話罪禍の古城遺跡⑤
スケルトンロイヤルガードを倒した後、いつも通り宝箱がドロップし、
あの2体が守っていた宝箱を含めると、2つも手に入れてしまいました。
「結局、あの2体が守っていた宝箱はなんだったのでしょうか?」
「うーん分からないわね……パンダ君は知ってる?」
「噂だけは聞いたことがある……」
「どんな噂なの?」
「俺も実物を見るのは初めてやから断言は出来んけど、
あの2体が守ってた宝箱の中には種が入ってるハズや」
「種?」
「せや。その種は装飾品の所で装備されるらしい。
効果はまだはっきりと分からんらしいけど、
オモイカネ化を促すキーアイテムみたいやで」
「オモイカネ化を促す……そんな凄いアイテムがここに入ってるんだ……」
「でも、1つだけでしょ? パーティーによっては喧嘩になりそう……」
「喧嘩になるのですか……? でしたら、私は遠慮させて頂きます」
「そうね。私も遠慮するわ」
「お嬢様を差し置いて、私が手に入れるなどあり得ません。」
「貴方たち…欲無さすぎじゃない……?」
「文字通り喧嘩の種になるのでしたら、欲しい方にお譲りします」
「シアちょっと上手いこと言ったからってドヤ顔しないの……
私はそんなアイテムに頼らなくても、自力でオモイカネ化ぐらい発現するから要らないわ」
「ごめん説明不足やった……その種の所有者はもう決まってんねん」
「……どういう事?」
「この種は宝箱を開けた瞬間、所有者に渡って勝手に装備されるからな」
「呪いの装備みたい……でも、装備が勝手に持ち主を決めるなんてあり得ないわ。
第一、どうやって判断してるのよ?」
「あり得るで、エパクトシステムや。
俺らの感情や行動を感知して、その人の前に現れるってのが有力な説みたいやな」
「まあ、今までオモイカネ化に成功してるのが3人で、その1人だけが種を装備してたらしいけどな」
「危険もないやろうし、とりあえず開けてみたら」
「それで、誰が開ける?」
「そこはパーティーリーダーのシアでしょ」
「ま、また私ですか……?」
「シアにはリーダーとして成長して欲しいからね」
「ええっ……!?分かりました。開けさせて頂きます」
私が宝箱を開けると、師匠が仰ってた通り種が1つ入っていました。
「うわーホントに種が入ってる……」
「宝箱が開いたら自動的に装備されてるハズや。
皆ステータス見てみ」
「勝手に装備されるとか、装飾品の枠が埋まってたらどうするのよ……私は違うわね」
「私も違います」
「私も装備されてないわ……って事は?」
「あっ……装飾品の所に『想いの種』が装備されてます……」
「やっぱりフェリシアちゃんね」
「シアらしいわね」
「流石ですお嬢様。」
「まあ、妥当な所やな。ポケットサンクチュアリはもうないからロールの付け替えは出来んけど、
スキルの確認や装備のチェックはしときや。
て言うか、種に気を取られ過ぎてもう一つの宝箱も開けときや」
師匠に言われ、ステータスのチェックをしていると、
新しく『ブレイクエッジ』と『パリィ』を覚えてました。
ブレイクエッジはATKの200%のダメージと破壊の力を付与するって書かれてますが、破壊の力ってなんでしょうか……?
パリィはユキナも覚えているスキルで、タイミングよく相手の攻撃を弾くとダメージを受けないスキルですね
「準備も出来た事やし、6階層の情報を伝えとこか。
ここで新しく出てくるモンスターは『スケルトンアサシン』と『スケルトンウィザード』や。
分かるとは思うけど、アサシンはシーフの、ウィザードはメイジの完全上位互換や」
「この2体やと、特にアサシンの『インビシブル』に気を付けや。
透明になって不意打ちしてくるからな。マジ許さん……
ウィザードも色んな魔法をバンバン使ってくるから注意やで」
師匠はスケルトンアサシンに何か恨みでもあるのでしょうか……?
「まあ何よりも注意しないとアカンのは、4階層でも話した、スケルトンエクスキューショナーやけどな……」
「あのバケモノね……」
「よし、準備が出来たら行こうか」
未来の私は、あの時ここで引き返していればと、何度も後悔するでしょう……
ただ、進む選択をした事は間違いでは無かったと思います。
自身の無力さを知り、仲間の大切さを改めて実感し、
辛かったけど、新しい目標が生まれた日……
6階層に辿り着くと、5階層のエンカウント率が嘘のようにモンスターがいませんでした。
「あれっ、モンスターが全然いません……」
「アサシンがインビシブルで透明になってる場合があるから注意やで!」
「でも、師匠。サーチを使っても反応がありません……」
「インビシブルは透明になるだけやから、サーチには引っ掛かるハズ……
反応がないって事は近くにモンスターがホンマにおらんな」
「もしかして、あのスケルトンエクスキューショナーってヤツが食べたんじゃないの?
そうだったらすぐ逃げないと!」
「可能性はありそうやな……でも、階段近くはエンカウント率低めになってるから、
「5階層では階段上がると、すぐにエンカウントしたわよ?」
「あくまでも確率やから正直分からん……
それで、進むか戻るかどうする?」
「進みましょう!」
フィルちゃんがチラッとこちらを見てきたので、
私はパーティーリーダーとして判断を下します。
暫く歩くと、サーチに反応ありです!
「モンスターが3体近付いています!」
通路の向こう側から、大きな杖を持ったスケルトンとスケルトンナイトがやって来ました。
「2体しかいないわね……
1体透明になってる可能性が高いわ! 全員注意して」
私はもう一度、サーチを使いスケルトンアサシンの場所を探そうとしましたが、
ユーピョンさんの後ろの空間が何やら歪んでいるように感じたので、慌てて叫びます
「ユーピョンさん! 後ろに何かいます!」
「えっ……どこに…?」
私の叫びに対し、ユーピョンさんはどこがおかしいのか分からず、辺りをキョロキョロ見渡しています。
空間の歪みがユーピョンさんに近付いて来ているのが見えて、私が『セイントランス』を放とうとした瞬間、
先にフィルちゃんが『ファイア』が撃ちます。
ファイアが空間の歪みに直撃すると、空間の歪みが晴れ、短剣を構えたスケルトンが現れました
「……!? フィルちゃんありがとう! 助かったわ!」
「いえ、真っ先に気付いたのはシアですから、お礼はシアにお願いします」
「フェリシアちゃんもありがとう。
でも、なんで透明なスケルトンアサシンの場所が分かったの?」
「空間が歪んでいるように感じたからです。
後は移動する音と気配でなんとなく、そこにいると思いました」
「……フェリシアちゃんって何かの達人?」
「いえ。普通の中学生ですよ……?
あっ……4月から高校生でした……」
「お嬢様! あまり現実世界の事を言うのはダメですよ。」
「あっ!…ごめんなさい……」
「言い合う時間は後にして! スケルトンアサシンがまた透明化になるわよ!」
フィルちゃんの指摘通り、またスケルトンアサシンが透明になり姿を消してしまいました……
「シアはアサシンを、ユキナさんはナイトを、私とユーピョンさんはウィザードを叩くわ」
「分かりました!」
「私はナイトの担当ですね。では『挑発』
フィル様、ウィザードもどんな魔法を使うか分かりませんのでご注意を!」
そう言ってユキナはナイトの注意を引きつけます。
あちらはユキナに任せて大丈夫でしょう。
ユーピョンさんとフィルちゃんの方は、ウィザードが何やら詠唱を行っていたので、ユーピョンさんが慌てて『ファイアランス』を発動し阻止します。
『ファイアランス』はウィザードに直撃しましたが、
MIDが高いせいかHPが1割しか減っていません……
フィルちゃんはそれを見て、近接戦に切り替え、
ユーピョンさんもスケルトン系のMIDを無視する『アセンション』を撃つために間合いを詰めます。
先のロイヤルガードの戦いでも大活躍した『アセンション』はスケルトンやゴースト系のMIDを無視する効果があるので、MIDが高い敵には効果抜群です。
ただ、『アセンション』の射程は5mと短い点と、
スキル発動から着弾までに時間がかかる点がデメリットですね……
『アセンション』はユーピョンさんの足元にサークルが生まれ、それが相手の足下へ移動し、そこから光の柱が出てダメージを与えるものなので、避けるのがそんなに難しくありません。
なので、フィルちゃんがサポートし、相手の足を止める役を担う場合が多いです。
皆の戦況は刻一刻と変化する中、私の方は未だにアサシンの潜伏場所を捉える事が出来ていませんでした……
『サーチ』を使って探しても、すぐに移動され場所が特定できないのは厄介です……
さて、どうしましょうか……
アサシンが動くと何らかの痕跡が残るはずですよね……
では、この戦闘区域全体を俯瞰して、少しの違和感を逃さないようにしましょう!
自身の中で結論が出ると、アサシンを探すべく、ここ一帯を俯瞰してみます。
ユキナはいつも通り上手く捌いてますね……
アサシン対策でしょうか? いつもよりナイトとの距離が近く、壁に近付いてますね……
ナイトのHPはまだ8割あるので戦闘は長引きそうです……
フィルちゃんは、ウィザードの魔法発動の隙を無くす為に斬りかかってますが、ウィザードも隙あらば魔法を使って反撃しているので、まだ暫くかかりそうです……
ユーピョンさんはウィザードとの距離が6m20cmほど空いており、まだ『アセンション』の射程範囲に入ってませんね……
ウィザードとフィルちゃんの戦闘が激しく中々入りにくそうです……
師匠は私達の戦いを少しハラハラしながら見ており、
自分がその場で戦えないことを悔しく思っているのか、
何度も腰に差してる剣を触っています……
さて、どこにいるのでしょうか……
すると、ユーピョンさんの右斜め後ろに、僅かですが空間が歪んでいるのを見つけました。
私はすぐに『セイントランス』をアサシンに向かって放ちます。
ユーピョンさんは急に後ろが光ってビックリしていましたが、アサシンが現れるとすぐに『アセンション』を発動しようとします。
「ユーピョンさん! アセンションはウィザードに残して下さい!
アサシンは私が倒します!」
ユーピョンへ伝えながら、また姿を消されないようにアサシンに向かって駆け出しました。
アサシンは『インビシブル』の発動が間に合わないのか、私を迎え撃つ構えをみせています。
盾を持たないアサシンはDEFこそ低いですが、素早い動きで撹乱しながら、斬りかかってきます。
アサシンの攻撃を捌きながら、『インビシブル』を使われると面倒と思ったので、なるべく距離を詰めて戦います。
アサシンは中々崩れない私に業を煮やしたのか、
威力を高める為に、飛びかかりながら短剣を振り下ろしてきました。
相手から距離を詰めてきた、この好機を逃さす手はありません。
アサシンが飛びかかってきた瞬間、私はあえて剣闘士の黒剣を手放しました。
表情こそ分かりませんが、私が剣を手放した事でアサシンはビックリしてるように感じます。
私はその隙を逃さず、アサシンの右手の手首を掴み、そのまま思いっきり地面に叩きつけます。
地面に叩きつけられたアサシンは一度バウンドし、
そのまま仰向けに倒れます。
無防備なアサシンの喉元に、私の『ペネレイト』が直撃し、粒子へと変わりました。
アサシンを倒して周りを見ると、
ユーピョンさんの『アセンション』がウィザードに当たりそのまま粒子へ変わる所でした。
その後、私達3人はユキナのもとへ駆け付け、
総攻撃を浴びてナイトをすぐに倒しました……
「今回は中々危なかったわね……」
「アサシンが私の背後にいた時、ホントにビックリしたわ……
フェリシアちゃん、フィルちゃん改めてありがとう。」
「なんで、アサシンは私ばっかり狙うのよ……」
「あー、多分この中で一番INTが高いからや……
アサシンとかシーフはヒーラーや後衛のアタッカーが狙われやすいからなぁ……」
「ユーピョンさん。モテモテですね!」
「スケルトンに好かれたって嬉しくないわよ!!」
「小部屋やないし、またモンスター出てくるかもしれんから移動しようか」
「では、『サーチ』を使いますね……」
「……!? 1体のモンスターが凄いスピードでこちらに向かって来ます!!」
「なんやって!?」
「うそ!?」
「ヤバい! 多分アイツや。すぐに逃げるで!」
「もちろんよ!」
「逃げるのが間に合いません!! すぐ側まで来てます!!」
直後、轟音と共にそのモンスターは現れました...…
師匠が前に仰っていたように、
蟷螂と蠍と百足を足したような姿で、全長が12mほどで、多分大型バスぐらい大きいです。
正面には車でも真っ二つに出来そうな鋭く大きい鎌が2本。
後ろには蠍の尻尾を模した大きな針があり、人間どころか象ですらも一撃で突き殺せそうな圧を感じます。
胴体は百足のようで、足はぎっしり生えており、足1本1本が槍先を思わせるように鋭いです。
異様で、ある意味威容でもある姿に呑まれて、
逃げようとしていた足が竦みます。
しかし、そんな隙を目の前の怪物は待ってくれるはずも無く、大きな鎌を振り下ろしてきました。
死を間近にしたことによる防衛本能なのか、私達は立ち竦んでいた足が動き、鎌を回避します。
「ちゃっと何、あの化物……ヤバすぎるでしょ!」
「ささっと、逃げるで!」
「えっ……!?、ユキナさん……左腕が……」
フィルちゃんの驚愕の表情の先には、右腕を失ったユキナの姿がありました……
私はそれを見た瞬間、頭がカーッと熱くなり、
目の前のモンスターへ報いを受けさせる為、剣を構えようとします。
その瞬間、ユキナとフィルちゃんの私を呼ぶ声が聞こえ、自身が冷静さを欠いてた事を実感しました……
「フィルちゃん、ユキナ、ごめんなさい!」
「大丈夫。これぐらい織込み済みよ」
「お嬢様。私は大丈夫ですので、まずは逃げましょう」
私達は再び駆け出しますが、スケルトンエクスキューショナーの方が早く徐々に追い付かれていきます。
「パンダモンさん。私がここで囮になりますので、皆様を連れて逃げて下さい。」
「ユキナ!? 何を言ってるの!?」
「ユキナさん。虫が苦手なのに無茶よ!!
鎌を避けきれなかったのも、それが原因ですよね!?」
「ユキナさん。ここは最年長の私が囮になるわ。」
「いや、誰が残ってもあの巨体に一瞬で撥ね飛ばされて仕舞いやから囮の意味はあらへん……」
「くそっ、他にモンスターがいれば擦り付けられるのにな……
もう、すでにコイツに倒されてるんか……」
「とりあえず1秒でも早く、5階層に繋がってる階段まで戻るんや!」
「そこの角を曲がると階段が見えるわよ!」
「フィルちゃん、戻り道よう覚えとった! ナイスや!」
私達が角を曲がり階段へ向かっていると、
スケルトンエクスキューショナーは急に曲がれなかったようで、そのまま壁に激突します。
轟音と共に、エクスキューショナーの足が止まります。
「よっしゃ。これで逃げきれるわ!!」
私達はこの隙に階段を目指します。
これで逃げきれると、安心感が体を満たしていると、
横目で空間の歪みを感じました……
あっ、と思った時には、既にユーピョンさんの胸から短剣が飛び出ている光景でした。
「ユーピョンさん!? すぐに治療します!!」
「フェリシアちゃん。もう無理よ、即死だもの……」
ユーピョンさんはそう言って微笑むと、粒子となって消えてしまいました。
「絶対に許しません!!」
激情にまかせて、ユーピョンさんを殺したスケルトンアサシンを剣で斬りかかる瞬間、
いつの間にか復活していた、スケルトンエクスキューショナーがそのスケルトンアサシンを真っ二つにしてしまいました……
私はユーピョンさんの仇を取れなかったせいか、
左の鎌を振り下ろす怪物に死の恐怖を感じたのかは分かりませんが、
一瞬立ち尽くしてしまい、これが致命的な隙となってしまいます。
私は死の間際に2つの景色を見ました。
1つは大きな鎌が眼前に広がっていく景色
2つ目は、見慣れた銀髪が横から近付いてくる景色です。
トンッと横から押されたと思うと、死を感じた大鎌が私の横を通り過ぎます。
真っ二つにされるはずだったのに、なぜ私は生きているのでしょうか?
答えは私が先ほど居た場所にありました。
そこには、大鎌によって切断されたユキナの姿があり、
私は目の前の光景が信じられず、頭が真っ白になりました。
「お嬢様をお守り出来て良かったです」
そう言って、ユキナが粒子に変わった瞬間、何があったのかを全て察しました。
ユキナは私を庇ったのですね……
ユキナを犠牲にしてしまった自身への怒りと、
ユキナを殺したこの怪物への怒りで、頭がおかしくなりそうになっていると、左頬に痛みが走りました。
このゲームは痛覚がほとんど遮断されているはずなのに、どうして痛みを感じるのでしょうか……?
怒りしかない感情に、一抹の疑問を感じ、
痛みの原因を探すと、そこには泣きそうな顔のフィルちゃんが立っていました。
「やっと目が覚めたのね。世話が焼けるんだから」
左頬の痛みはフィルちゃんのビンタを受けたからですね……
親友に手を出させてしまった事を情けない気持ちで悔いると同時に、私を元に戻してくれた事に深く感謝します。
そして、暴力と言う大胆な手段を用いたのは、
私の罪悪感を少しでも軽くしようとする、フィルちゃんの不器用な気遣いを感じ、こんな場面なのにすごく嬉しく思います。
私は溢れるこの気持ちをフィルちゃんへ伝えます。
「フィルちゃん。ありがとうございます。」
「そんなことよりも、まずはあの怪物から逃げないと」
「ガーン…………
私の感謝の言葉がそんなことの一言で一蹴されました……」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。
来るわよ!」
スケルトンエクスキューショナーは私を仕留めきれなかった事に腹を立てているのか、ユキナを両断した左の鎌をあえて使い、振り下ろしてきます。
私は大きくバックステップをして躱すと、
フィルちゃんの方を向き、一つの提案をします。
「フィルちゃん、一矢報いるのに手伝ってくれませんか?」
「あれと戦うつもりなの!?」
「フィルちゃんも最初、戦うつもりでしたよね?」
「フィルちゃんが有言実行しないなんて、そんなことありませんよね?」
「好き勝手言ってくれるじゃない!」
「いいわ。挑発に乗ってあげる。
私も仲間をやられてちょっとイライラしてるのよね……
あの怪物を叩き潰してあの二人に報いることにするわ!」
スケルトンエクスキューショナーは、私達の戦闘意思を感じたのか、先ほど大暴れした姿とはうってかわり、
私達を見て、動きを止めました。
まるで、強者が、弱者の挑戦を全てを受ける姿勢に思えます。
「ちょっと待て、正気か!? 2人だけであのバケモンを倒すつもりなんか!?」
「正気よ。言ったでしょ、敵に背を向けるのは主義に反するって」
「師匠。私達も勝てるとは思っていません。
でも、やられたままなのは悔しいじゃないですか!」
「いや、でも命あっての物種やで……」
「私はここで逃げると、ユキナやユーピョンさんに合わせる顔がありません!」
「それに、階段の周りにはスケルトンアサシンが2体いるので、逃げきるのは難しいと思います」
「……分かった。見届けてやるから精一杯やってこい!」
「「はい!」」
そこからの事はあまり覚えていません。
時間の感覚もなく、1時間戦ったのか、それとも1分も戦っていなかったのか……
一つだけ明確に覚えているのは、
ユキナを殺した左の大鎌を根本から切断した光景です。
ユキナ、これで仇は取れましたよね……
目の前が真っ白になり、私は意識を失いました……
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