第13話ダンジョンって何でしょうか?
店を出ても、師匠とユーピョンさんはまだ来られていませんでした。
私は先ほど購入した銅の槍を装備しながらフィルちゃんに尋ねます。
「そういえば、ユキナは短剣を購入していましたが、フィルちゃんは何も買わなくて良かったのでしょうか?」
「シア達が来る前に済ましたから大丈夫よ。」
「!?…流石フィルちゃんです。」
「フィルちゃんはすでに師匠から教わることが無さそうです……」
「さすがに半日で全部把握は出来てないから、色々教わりたいわね。
それにシアの師匠は、私も気になるから会うのが楽しみよ」
「まあ、それとは別でシアに相応しいか見定めないといけないし……」
桃花ちゃんは最後に不穏な事を呟いていましたが、
師匠に会うのを楽しみにしてそうなので、仲良くなってほしいです。
暫くすると師匠とユーピョンさんが向かいの通りから歩いて来るのが見えました。
「待たせてしまって、スマンの」
「お待たせ~」
「師匠、ユーピョンさん、昨日ぶりです。
こちら現実世界で親友のフィルちゃんです。」
「初めまして、シアの親友のフィルと申します。
よろしくお願いします」
「こりゃまた……えらい別嬪さんやな。」
「俺はパンダモンと言うもんや、よろしゅう」
「本当に綺麗……フェリシアちゃんの知り合いって美形しかいないの?
ユーピョンです。よろしくね。」
「パンダモンさんとユーピョンさんですね。
よろしくお願いします。」
「フィルちゃんもフェリシアちゃんと一緒でこのゲームは初心者なんやね?」
「はい。今日から始めました。」
「プレイスタイルとかって決めてる?」
「まずはデバッファーを目指そうかと思います」
「渋いところいくなぁ……フェリシアちゃんと違って、ゲームに慣れてそうやね」
「いえ、VRゲームは初めてですよ。
ただネットで情報を集めたり、実際にプレイして確認をしただけです。」
「マジか…それだけでゲームやった事がない子がデバッファーか…めっちゃ勉強してそうやね……
そうそう、セットしてるロールを教えてもらってもええか?」
「メインは『黒魔法使い』サブは『数学者』と『僧侶』です。」
「へっ……? もう一度聞くけど今日の午前から始めたんやな?」
「そうですよ。」
「いやいや、初期ロールは熟練度上がりやすいとは言え、派生ロール2つゲットしてるのは早すぎやろ……何時間ぐらいやってんの?」
「そうですね。午前中にゲームを購入して、
それから11時から12時までプレイし、昼食後の13時頃から今までログインしてますね」
「……!? ゲーム初めて2時間ぐらいかよ……」
「フェリシアちゃんも大概おかしいけど、君もヤバイなぁ……」
「せや、フェリシアちゃん達も昨日戦ってからステータス見てないやろ? 一回確認しとこうか」
師匠に言われて、私達はステータス画面を開きます。
―――――――――――――――――――――――
名前:フェリシア
HP 40/40
MP 40/40
【ATK 15】(+10)
【DEF 15】(+10)
【INT 25】
【MID 25】
【DEX 15】
ロール
メイン【★僧侶】熟練度100%
サブ【★剣士】熟練度100%【★学者】熟練度100%
スキル
【★ヒール】熟練度100%
【スラッシュ】熟練度32%
【アナライズ】熟練度58%
【トリート】熟練度0%
●Passive
【ハイド】熟練度83%
装備
頭 【空欄】
体 【隠者のローブ】(DEF+10)
右手 【銅の槍】(ATK+10)
左手 【銅の槍】
脚 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】
――――――――――――――――――――――――――――
名前:ユキナ
HP 60/60
MP 20/20
【ATK 15】(+7)
【DEF 35】(+15)
【INT 15】
【MID 15】
【DEX 5】
ロール
メイン【★盾使い】熟練度100%
サブ【★剣士】熟練度100%【僧侶】熟練度26%
スキル
【★ガード】熟練度100%
【スラッシュ】熟練度0%
【ヒール】熟練度47%
【シールドバッシュ】熟練度0%
●Passive
【★ハイド】熟練度100%
装備
頭 【空欄】
体 【隠者のローブ】(DEF+10)
右手 【木の盾】(DEF+5)
左手 【銅の短剣】(ATK+7)
脚 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】
―――――――――――――――――――――――
名前:ユーピョン
HP 20/20
MP 52/80
【ATK 5】
【DEF 5】(+5)
【INT 60】(+18)
【MID 40】
【DEX 15】
ロール
メイン【魔女見習い】熟練度8%
サブ【僧侶】熟練度32%【学者】熟練度18%
スキル
【★ファイア】熟練度100%
【アナライズ】熟練度21%
【ヒール】熟練度68%
【ウォーター】熟練度27%
【ウインド】熟練度13%
【ファイアランス】熟練度32%
装備
頭 【見習い魔法使いの帽子】(INT+5)
体 【旅人のローブ】(DEF+5)
右手 【銅の杖】(INT+10)
左手 【銅の杖】
脚 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【水晶のピアス】(INT+3) 【空欄
―――――――――――――――――――――――
名前:フィル
HP 30/30
MP 22/90
【ATK 5】(+20)
【DEF 5】(+5)
【INT 80】(+5)
【MID 50】
【DEX 25】
ロール
メイン【黒魔法使い】熟練度84%
サブ【数学者】熟練度16%【僧侶】熟練度23%
スキル
【★ファイア】熟練度100%
【★アナライズ】熟練度100%
【ヒール】熟練度0%
【アタックダウン】熟練度8%
【ディフェンスダウン】熟練度91%
【インテリジェンスダウン】熟練度7%
【マインドダウン】熟練度84%
●Passive
【アナリシス】
装備
頭 【空欄】
体 【旅人のローブ】(DEF+5)
右手 【イーグルスピア】(ATK+20)
左手 【イーグルスピア】
脚 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【水晶のネックレス】(INT+5) 【空欄】
―――――――――――――――――――――――
熟練度が100%になってるのと、新しいスキルを覚えてます!
あれっ……? この★マークは何でしょうか……?
熟練度が100%のものだけについているので、
ピアちゃんや師匠が仰ってた、ロールや装備をセットしてなくても、ステータスやスキルが反映されるマークでしょうか?
こんな時は師匠に聞いてみるのが一番確実なので、早速聞いてみようとすると、師匠は驚きと戸惑いを合わせた表情をしていました。
「…………ヤバイな」
「何かおかしいでしょうか?」
「いやいや、成長率が異常過ぎる……」
「師匠。それよりもこちらの★マークは何でしょうか?
熟練度100%のものに付いてるので、ロールを外してもスキルを使えたり、ステータスが上がる認識でよろしいでしょうか?」
「お、おう……俺の疑問が軽く流されたな……
フェリシアちゃんの言う通りで。
★マークは『マスタリー化』といって、ロールや装備を外しても、そのスキルやパラメーターが反映されてる証やな」
「マスタリー化したロールは、付けててもあんまり意味がないから新しいロールに付け替えときや」
「では、付け替えてみます」
ロールのボタンを押すと、新しく5つのロールを出てきました。
【祈祷師】【治癒師】【僧兵】【冒険者】【騎士見習い】
「師匠。新しく5つのロールが出てきました」
「5つやと! 多いな……それで何が出てきたん?」
「祈祷師、治癒師、僧兵、冒険者、騎士見習いです。」
「祈祷師やと! 中位の派生ロールやぞ…メインロールは祈祷師にしとき。
フェリシアちゃんの希望通りヒーラーの道を突き進めるで。」
「ただ、あれだけの戦闘技術を生かさないのは勿体無いな……
フェリシアちゃんが良いならやけど、サブは冒険者と騎士見習いにしとかへん?」
「全然構いませんが、どうしてその2つなのか、
参考までに教えて頂けませんでしょうか?」
「純粋にHPとATK、DEFを上げたいからやな。
ロールの熟練度は中位や上位になると極端に上がりにくくなるから、ヒーラーの適正がハンパないフェリシアちゃんやと、治癒系のロールは中位以上に絞って、後は他のロールにした方が効率的に成長できるねん」
「なるほどです。では付け替えてみますね。」
「あ、トリートとアナライズのスキルが消えてしまいました……」
「祈祷師はトリート覚えへんし、アナライズも冒険者は覚えへんから、消えてもうたんやね。
マスタリー化してたら残ってたけどなぁ……」
「でも、スラッシュは騎士見習いでも覚えるからまだ残ってるやろ。
それにトリートもアナライズも、後からもっと良いスキル手に入るから気にしんとき」
「分かりました。バイバイ、トリートとアナライズ……」
「うっ……何か罪悪感が……」
「コホン、それでロールを付け替えたあとのステータスはどうなったん?」
ロールを付け替えた後、師匠にステータスを見てもらいます。
―――――――――――――――――――――――
名前:フェリシア
HP 70/70
MP 120/120
【ATK 35】(+10)
【DEF 25】(+10)
【INT 125】
【MID 100】
【DEX 15】
ロール
メイン【祈祷師】熟練度0%
サブ【冒険者】熟練度0%【騎士見習い】熟練度0%
スキル
【★ヒール】熟練度100%
【スラッシュ】熟練度32%
【祈りの雨】熟練度0%
【ヒーリングオール】熟練度0%
【リフレクション】熟練度0%
【サーチ】熟練度0%
【リトルブレイブ】熟練度0%
●Passive
【ハイド】熟練度83%
【天使の加護】
装備
頭 【空欄】
体 【隠者のローブ】(DEF+10)
右手 【銅の槍】(ATK+10)
左手 【銅の槍】
脚 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】
―――――――――――――――――――――――
「なんで天使の加護を獲得しとんねん……」
それからユキナとユーピョンさん、そしてフィルちゃんも師匠からアドバイスして頂きました。
「フェリシアちゃんがヤバイのは分かってたけど、他も大概やな……」
「よっしゃ全員の確認終わったで。
それで、今日はどうすんの?」
「モンスターをいっぱい倒して、もっとスキルとロールを取得したいです!」
「まあ、そうなるやろうな。みんなもそれでエエか?」
全員が頷くと、師匠がモンスターをどこで狩るかの提案をして頂きます。
「今から行くところやけど4パターンあるねん。
1つ目は『大蛇の森』で、当初はここで狩ってもらう予定やったけど、みんなの成長速度がヤバいから却下やな。
2つ目は『ヴァイン街道』で、ここアインベルグとリーツヴァイの街を繋ぐ街道やな。
熟練度も上げつつ新しい街に行くことが出来るのがメリットやな。
3つ目はちょっと遠いけど『ラピス岳』で、ここは熟練度とルピを稼げる所やな。運もいるけど個人的にはここがオススメや。
4つ目は『罪禍の古城遺跡』や。トランクイル平原を進んだ先にあるダンジョンやな。
正直、ここはオススメしいひん。君らと相性は良いけど、中級者以上が行く所やからな。」
「他にもあるけど、君らに合わせるとこれぐらいやな」
「はい。師匠!」
「どうした、フェリシアちゃん」
「ダンジョンって何でしょうか?」
「……マジか。ダンジョンやで、聞いたことないか?」
「聞いたことはありますが、どういったものかは分かりません。」
「他のみんなは知ってるか?」
「はい」「もちろん」「当然」
「ええっ……、皆さん、なぜ知ってるのでしょうか?」
「「「……」」」
「知らんのはフェリシアちゃんだけみたいやけど……
一応説明しとくか。ダンジョンっていうのは元々地下牢を意味してたけど、ゲームでは探検できる迷宮とか洞窟みたいな事を言うんや。」
「そうなんですね。
でも、洞窟だと狭そうで、昨日よりも人が密集していそうですね……」
「ああ、このゲームはパーティー毎で作られるインスタンスダンジョンやから、他のプレイヤーとかち合う心配は無しや」
「ただ、この罪禍の古城遺跡はやめといた方が良さそうやで」
「先ほど師匠が仰ってた、中級者以上が行くところだからでしょうか?」
「そうやで。昔な初心者の狩場であるトランクイル平原の先にあるからって多くのプレイヤーが挑んだんや。
でもな踏破できたものはほぼゼロで、別名初心者殺しのダンジョンって言われてるぐらいや。」
「そんなに強い所なんですね……」
「うーん皆さんどうしますか?
私としては罪禍の古城遺跡に行ってみたいです!」
「フェリシアちゃん。俺の話聞いてたん?」
「はい。師匠の話を聞いて是非クリアしたいと思いました!」
「……マジか」
「私も、罪禍の古城遺跡に行ってみたいかな」
「私はお嬢様の行く先についていきます」
「えっと……みんながそう言うなら私も」
「OK分かったわ。俺もついていくから罪禍の古城遺跡にいくか!」
こうして私達は罪禍の古城遺跡に向けて出発するのでした……
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