第3話キャラメイクとチュートリアル②
ピアちゃん妹計画が失敗に終わり、ピアちゃんは何事も無かったかのように話を進めます。
「じゃあ、次はゲームシステムについて教えるね」
ピアちゃんはそう言うと、空中に向かって指先をタッチします。
すると半透明な板のようなものが出てきて、ピアちゃんは何やら操作をしているようです。
操作が完了したのか、半透明な板を反転させ私の方に見せてきました。
「ここに書いてるように、このゲームはエパクトシステムと呼ばれるものがすっごく重要だよ。
エパクトシステムはプレイヤーの感情や行動が全て感知されて、胸に秘めた感情や普段の行動一つで、
スキルやロールなどに大きく影響しちゃうよ」
「あとね、熱い想いは力に変わるんだ。
この人を癒したいと思ってスキルを発動すると、効果が上がったりするから面白いよ。
他にも、絶対倒してやる~って思って攻撃するとダメージが上がったりもするね」
「ゲームを始める前にお兄様から教えて頂きましたが、
感情や行動を常に感知するってすごい技術ですよね」
「う~ん、私も詳しくは分からないけど、なんか脳波や心拍数とかで分かるらしいよ」
「そうなんですね。ピアちゃんの説明が上手で分かりやすかったのですが、
ピアちゃんが先ほど仰ってた、スキルやロールというものが良く分からないので、詳しく教えてもらっても良いですか?」
「了解~じゃあ説明するね。
スキルっていうのはシンプルに言うと特殊能力の事だね。
大きく分けると2つで、一つはアクティブスキル、
もう一つはパッシブスキルって言うんだけど、
アクティブスキルは自分の意志で発生させる事が出来る能力で、
逆にパッシブスキルは条件が揃ってたら自分の意志と関係なく発生する能力の事だね。
そしてロールっていうのは役割とか職業の事で、他のゲームでもある、剣士とか魔法使いっていうのがロールだね」
「ありがとうございます。やっぱりピアちゃんの説明上手です!」
私が手放しで褒めると、ピアちゃんは少し照れたような顔をしました。
凄く可愛いです。またギュッと抱きついたらダメでしょうか……?
「あっそうそう、このゲームにはレベルがなくて、パラメーターはセットしてるロールによって決まるんだよ」
「パラメーターは全部で7つあって、それぞれ
Hit points:生命力 Mana points:魔力
Attack:物理攻撃力 Defense:物理防御力
Intelligence:魔法攻撃力 Mind:魔法防御力
Dexterity:器用さ
と言って、ステータス画面ではアルファベットで略されてるね」
私は邪な感情を捨て……られたかは怪しいですが、
ピアちゃんの説明に対し、真剣に耳を傾けます。
「ロールは1つのステータスを上げるものは無くて、
少なくても2つ以上のステータスが上がるので、
他のゲームで出来る、極端な特化型は出来ないけど、
ステータスの偏りが少く、安定したプレイ出来るよ」
「なるほど、ロールをセットすると満遍なく強くなっていくのですね。
そのロールはどうやってセットしたら良いのでしょうか?」
「お姉さん、ここをタッチしてステータス画面を出してみようか」
「こうでしょうか?」
ピアちゃんに言われたところをタッチすると半透明なものが出てきて、そこには様々なデータが書かれてました。
――――――――――――――――――――――――――――
名前:フェリシア
HP 20/20
MP 10/10
【ATK 5】
【DEF 5】
【INT 5】
【MID 5】
【DEX 5】
ロール
メイン【無し】
サブ【無し】【無し】
スキル
【無し】
装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手 【空欄】
左手 【空欄】
脚 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】
――――――――――――――――――――――――――――
「ステータスが見えたかな?」
「そこのロールの欄が【無し】になってると思うけどここをタッチしてみて」
ピアちゃんに言われた通りにタッチしてみるとそこには
『戦士』『剣士』『盾使い』『盗賊』
『魔法使い』『僧侶』『学者』『薬師』
の項目が出てきました。
「タッチして出てきたものが、お姉さんが今の時点でセット出来るロールになるよ」
「えっと沢山あるのですが……本当にこれであってますか?」
「合ってるはずだよ。初めは8つの基本ロールがあって、ゲームをプレイしていくうちにもっともっと増えるよ~」
「早速、セットしてみようか~」
「えっと……どれをセットしようか悩みます……」
「初期ロールの何でもいいので長押ししてみて~」
戦士のロールを長押ししてみると
戦士…物理攻撃力が高いアタッカー。HPが20上がり、ATK15、DEFが5上がる。
「長押しすると、詳細が出てくるのですね」
他の初期ロールを長押ししてみます。
剣士…攻守のバランスがとれたアタッカー。HPが20上がり、ATKとDEFが10上がる。
盾使い…守りに秀でたタンク。HPが20上がり、DEFが20上がる
盗賊…罠の発見や物を盗むのに秀でたサポーター。HP、DEXが15上がり、ATK、DEFが5上がる
魔法使い…魔法攻撃力が高いアタッカー。MPが20上がり、INTが15、MIDが5上がる。
僧侶…仲間の補助やHPを回復できるサポーター。MPが20上がり、INT、MIDが10上がる。
学者…敵の解析や妨害をするサポーター。MP、INT、MID、DEXが10上がる。
薬師…薬の作成が出来るサポーター。MP、DEXが15上がり、INT、MIDが5上がる
「あれっ、ピアちゃん、ロールの所にメインって書かれたものと、サブって書かれたものがありますが、この違いは何でしょうか?」
「そうだね、ロールはセットすることで熟練度が上がり、スキルを覚えたり、派生したロールを取得出来たりするんだけど、サブの熟練度はメインに比べて、半分程度しか上がらないのが一番大きな違いかな」
「熟練度は100%にすると、そのロールをセットしてなくてもステータスの恩恵やスキルが得られるから、是非100%を目指してね」
ゲームでも傷付いてる方がいれば手当てしてあげたいので、この僧侶をメインにセットした方が良さそうですね……
そういえば熟練度ってどうやったら上がるのでしょう…?
「ピアちゃん、熟練度はどうすれば上がるのでしょうか?」
「熟練度を上げるには、ロールをセットしてゲームをプレイするだけでOKだよ。
もちろん、戦闘や生産をした方が上がりやすくはなるけど、先ほど教えたように、想いを籠めないと上がりにくいからね」
「あと、ロールには1人のプレイヤーしか獲得出来ない、
ユニークロールと呼ばれるものがあってね、
このロールはメインにしかセット出来なくて、
しかも、一度セットすると外すことが出来ないから注意だよ。」
「ユニークロールですか……面白そうです。」
「ユニークロールはデメリットもあるけど、すっごく強いからお姉さんも頑張って獲得してみてね」
「分かりました。頑張ります!
けど、今の私では、ユニークロールよりもまずは基礎ロールを選ばないとですね……」
「決めました。私はメインに『僧侶』でサブに『剣士』と『学者』にしますね!」
「うんうん、バランスの良いステータスだね」
「そういえば、魔法ってどう使えば良いのでしょうか?
使ったことがないので想像が出来ません……」
「このゲームでの魔法は基本的に対象の方を向き、手や武器をかざして、スキル名を言ったら効果が発揮されるよ。」
「強い魔法とかになると詠唱が必要だったり、
そもそもMPが無ければ魔法の発動が出来ないので注意だよ。
あと、スキルも魔法と同じ様に、スキル名を言って発動させるものが多いね」
説明しながら、ピアちゃんは手をかざすと『ファイア』と唱えます。
すると、サッカーボールぐらいの火の玉がボウッと出てきて、暗闇の中に消えていきました。
「ピアちゃん凄いです!」
「へへ~ん、わたしだってこれぐらいできるんだよ~」
誇らしげな顔をするピアちゃんが凄く可愛いです
「ピアちゃん可愛いです!」
あっ……先ほどは我慢出来たのに、またしてもピアちゃんに抱き付いてしまいました……
「ご、ごめんなさい」
「いいよ、いいよ、お姉さんに抱き付かれる嫌いじゃないしね~」
「あっそうそう、最後にオモイカネ化について説明するね」
「オモイカネ化でしょうか?」
「うん。オモイカネ化というのは非常に強い感情を抱いたり、スゴい経験や試練を突破すると稀に取得出来るもので、取得すると専用のスキルや効果が発揮できるね」
「ただオモイカネ化はデメリットのあるスキルや効果もあるので注意だよ。
強すぎる想いってのはプラスの側面もあればマイナスの側面もあるからね」
「オモイカネ化……まさに想いが力に変わるのですね」
「このゲームのキャッチフレーズだからね~」
「チュートリアルはこれぐらいかな……
他に聞いときたい事ってあるかな?」
「そうですね、ピアちゃんとはゲーム内でも会えますか?」
「あはは、お姉さんの気になる所はそこなんだ」
「わたしはチュートリアルの担当だからゲーム内には基本的に居ないんだよね……
でもイベントとかでまた会えるかもね」
「ゲーム内ですぐに会えないのは寂しいですが、また会えると思うと嬉しいです。
それに私はピアちゃんのお姉さんですから」
「ありがとう。お姉さん」
「あ、そうそうチュートリアルを受けてくれたお姉さんにプレゼントがあるよ」
ピアちゃんはそう言って杖と硬貨を私に渡してくれました。
「お姉さん。杖をタッチしてみてね」
タッチすると『装備する』と『収納する』のコマンドが出てきました。
「これで装備したり、イベントリに収納出来るよ」
「他人が装備してるものは、勝手に装備したりイベントリに収納出来ないので気をつけてね~」
私に杖と硬貨を渡し終えたら、ピアちゃんが少し悲しそうな顔になりました。
そろそろお別れなんだと思うと、寂しくて胃が締め付けられます……
「これでお姉さんともお別れだね……」
「私はまたピアちゃんと会えると信じてます!」
「ありがとう。お姉さん」
「良いゲームライフをおくってね。バイバイ」
すると私のカラダが宙に浮き、目の前が真っ白になりました……
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