第2話キャラメイクとチュートリアル①


お兄様と静華に少し呆れられた顔で見送られ、自室に戻ります。

お兄様に先ほどセットしていただいたヘルメットみたいなものを被りベットに横になります。


「そういえばこのヘルメットみたいなものは、VRリンクギアと言うらしいですね……」


ヘルメットみたいなものと言ったら、お兄様に苦笑いの表情と共に訂正された事を思いだし、羞恥に少し頬を染めながらVRリンクギアの電源を入れます。


「♪~VRリンクギアのご利用ありがとうございます。」

「セットアップを始めますので、仰向けに寝転ぶか椅子に座り暫くお待ちください……」


「確認しました。身体スキャンを行いますので暫くお待ちください……」


「身体スキャン完了致しました。本体に差し込まれているソフトを読み込みます暫くお待ちください……」


「読み込み完了致しました。ソフトを起動します……」


ソフトが起動されると、ユーディストオンラインのタイトルが目の前に現れたと思うと、薄暗い部屋に切り替わり、そこには小さな女の子がいました。


「ようこそユーディストオンラインの世界へ! 」

「ゲームのチュートリアルを担当します、ナビゲーションAIの『ピア』だよ」

「お姉さんのお名前を教えてもらっても良いかな?」


「か、可愛いです……」


薄刃色の羽が生えた小学生ぐらいの女の子がニコニコとこちらを見上げる姿は大変可愛らしくて、思わず抱きしめてしまいました


「ご、ごめんなさい……可愛らしくて、つい抱きしめてしまいました……」


「いいですよ~♪」

「でも、初対面でいきなり抱きしめられたのは初めてなのでビックリしちゃいました~」


「改めてごめんなさい……えっと私の名前ですね」

「桜ノ宮 香織と申します。よろしくお願いします」


「あっ、お姉さん、それって本名だよね?」


「はいその通りですが……」


「え~っとね、このゲームでの名前でプレイヤーネームってのを教えて欲しいんだ~」


「プレイヤーネームでしょうか?」

「私、プレイヤーネーム?っといったものはありませんが……」


「じゃあ、お姉さんには今からこのゲームのプレイヤーネームを考えてほしいなぁ~」

「あっ1つだけ注意点があるよ。ゲームシステムの都合でカタカナでしか表記出来ないから、それだけは気をつけてね」


「カタカナの名前ですか……分かりました。

少し考えてみますのでちょっとだけお時間もらいますね」


プレイヤーネームですか……どうしましょうか

カタカナと言ってましたし、シンプルにカオリにしましょう!

あ、でもゲームをする前にお兄様から本名は極力避けて、私の好きな物などから決めた方が良いと言われてました……


好きな物を考えてたら、ふと玄関に置いてあるフリージアの花の事を思いだしました


そうです! フリージアなんて良さそうですね

あっ、どうせならもう少し可愛くして『フェリシア』にしましょう!


「決まりました! 私のゲームでの名前はフェリシアにします」


「フェリシアですか~良い名前ですね♪」

「では次に自身のアバターを作ってもらいます」


ピアちゃんはそう言うと、円盤型の物のスイッチを入れました。すると私の姿が写し出されます。


「これが現実でのお姉さんで、この姿をもとに色々カスタマイズしていってね~」

「カスタマイズの内容は、髪の毛の色や肌の色は勿論、身長や体型とかも変更出来ちゃうよ~」

「ただし、元の姿と変えすぎると名前が黒くなっていくよ。

それと後で説明するけど、エパクトシステムの関係で、成長スピードが悪くなるのであまりオススメはできないかな……」


「名前の色でしょうか?」


「そうだよ。アバターの姿が現実世界と、ほとんど同じだと名前は白く、体型や輪郭など大幅に変えちゃうと、黒くなっていくんだ」


「髪の毛の色を変えたら名前は黒くなりますか?」


「髪の毛の色ぐらいだと、ほとんど白いままだね」


「なるほど……でしたら体型や身長は変えずに、髪の毛の色を銀色に変更してもらっても良いかな?」


「えっ!? お姉さん、今でもスゴく綺麗な金髪なのに変えちゃうんだ?」


「はい。昔から私のお世話をしてくれてる女性が、

綺麗な銀髪をしているので、お揃いにしたいと思います」


今の金髪も気に入っていますが、静華の銀髪には昔から憧れていたので、これを機にイメージチェンジです。


「お姉さんはその人の事が大好きなんだね~」


「大好きです。その人は静華って言うのですが、姉のように思ってますので」


私が少し照れながら言うと、ピアちゃんから眩しいものを見る眼差しを感じました……


「私には兄弟や姉妹がいないので、お姉さんの事が羨ましいな……」


「では、私がピアちゃんのお姉さんになりましょう!」


「私のお姉さんになってくれるの?」


「はい。こう見えて現実世界でもお姉さんやってますので、安心して妹になって下さいね」


「ふふ、ありがとうお姉さん。」


私は本気でピアちゃんを妹にするつもりでしたが、

ピアちゃんは冗談だと思ったらしく、この話は流されてしまいました……


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