第6話 ソウグウ(6/8)

 お泊まりでも居候でも、いくらでも好きにして。

 私はすっかり蓮君に会える気になってしまっていた。

 山積みになった資料、蓮君の出ている雑誌を細い指でペラペラとめくりながら、宇宙人は私に確認するように訊いてきた。


「アオイ様は、この人好きでしか?」

「うん、大好き。お母さんも蓮君のことが大好きなの」

「この人コピーしても意味ないしよ? ワタシ変身しても、中身ワタシのままでし」

「わかっているわよ。でも、いいの。見ているだけで、もう幸せになれるから」

「この人、外面そとづらだけでし?」

「なによその言い方はっ。失礼ね!」

「わあ、日本語まちがえまづた。アオイ様、見た目が大事でし?」

「もちろん! でも、それだけじゃないの。蓮君はいつも全力で頑張っていて前向きで、アイドルユニット『スーパーラビット』のメンバーなんだけど、みんなと仲が良くてメンバー思いで、誰にでも笑顔で……」


 話し出したら止まらないくらい、私は蓮君を推している。


「好きな人の姿、中身ちがったらガッカリなりまし。でも、アオイ様幸せ? それならワタシ幸せ。オーケーでし」

「本当に⁉︎」

「ワタシしばらくココに置いてくれる、約束でし。仲間に連絡して早くオムカエお願いしまづから」

「わかってる。大丈夫」


 では、と言って立ち上がった宇宙人は、窓の外を見たまま動かなくなった。


「データ取得、アクセス。少しお待ちを」


 どこかと交信しているらしい。テレパシーみたいな感じだ。


「ハイ!」

「え?」


 あまりにも一瞬のことで、私は何が起こったのかすぐには理解できなかった。

 目の前に、滝川蓮君がいる。

 どこから見ても、完全に蓮君だ。

 まちがいなく蓮君だった。

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