5.人生ゲーム(闇) ≪前編≫
私立
そこには同じく友人の
『何の用だ千亜紀、
「用がねぇと呼んじゃいけないような
『ゲーム? 何の?』
「おまえも知ってるはずだ。かの有名な人生ゲームだよ」
『人生ゲームをこれからやんの!? 今ここで!?』
恵の思い浮かべる《有名な人生ゲーム》とは、いかに持ち金を稼げるかを競う
「そうだよ、今ここでやらずしていつやるんだよ!」
だが千亜紀は意に介すことなく
立て続けに
「よし、じゃあ人生ゲーム始めようぜ!」
『いや全然俺の知ってる人生ゲームじゃねぇんだけど!?』
配られたカードを
「えマジで? これ国内外
『
「知らねぇなぁ…春は聞いたことあるか?」
「いや、ないね。恵の地元でしか
『そんなことないと思ってたんだけど!? …まぁいいよ、一応遊び方教えてくれよ』
多数決で常識を
千亜紀も釈然としない
「ルールは至ってシンプルだぞ。まず、この液晶画面にランダムにお題が出る…お題は人生におけるハプニングってとこだ。それに対して今配った青地のカード…通称《らいふカード》というが、これには1枚ずつ多様なアクションが記されている。お題に対してベストとなる回答を手札から1枚選んで、この端末にバーコードをスキャンさせるんだ。するとどれだけ回答したアクションがお題とマッチしているかを端末のAIが判断して、獲得
千亜紀が
『
「一番お金を持ってる人が必ずしも人生の勝者とは限らないからね。本当の勝者はどんな局面でも上手に立ち回れた人ってことだよ」
『お、おう…そうだな。てか最初からポイントを持ってるってことは…減る可能性もあるってことか?』
「そうだね。あまりにも回答が下策ならマイナスにされるよ」
『それはつまり、0を切ったらゲームオーバーってことなのか』
「ゲームオーバーってか、社会的に死ぬ」
『
「いいや甘いぜ恵、これはただのゲームじゃねぇ…人生という名の闇のゲームなのさ! 俺のターン! ドロー!!」
すると千亜紀が意味深な
「まず自分のターンになったら必ず1枚新しいカードを引くんだよ。で、今画面に出てるのが千亜紀に対するお題」
恵が言われるが
【千亜紀 は取引先へのプレゼン当日に大事な資料の持参を忘れてしまった! どうする?】
「それに対する俺のアンサーは…これだ!《特売の卵を買う》!!」
『…なんだよそれ、全然脈絡が合ってねぇじゃねぇかよ』
お題との
【千亜紀 は特売の卵を買うことを口実にプレゼン資料の回収に成功した! +500ポイント】
『ええっ!? それで正解だったのかよ!?』
「うっし、特売の食材に重きを置いてくれる会社でよかった…!」
『いや知らねぇよそんな設定!? このAIどんな解釈してんだよ!?』
開いた口が塞がらない恵を
【春 は通勤電車に乗り遅れて遅刻が確定してしまった! どうする?】
「じゃあこのカードで。《
『なんでまたそんな古めかしいギャグのような選択肢が!?』
【春 は
『おいこれ威力業務妨害じゃねぇか!? それ正解にしちゃ駄目だろ!?』
「バレなきゃ犯罪じゃないからね」
『そういう問題じゃねぇから!! おい大丈夫なのかよこのゲーム!?』
そう
【恵 は遊園地デートで恋人の機嫌を損ねてしまった! どうする?】
——俺に与えられた選択肢は…《大の字になる》《牛乳を注ぐ》《
——変な答えでもAIが肯定的に変換してくれるのかもしれないけど、マイナスの余地がある以上
「恵、熟考してるとこ悪いけど制限時間は1分しかないからね。
『うおっ!? おまえらそういうの先に言っとけよ!?』
恵は春に指摘されて、
【恵 は
『はぁ!? なんで低温
回答がAIに受け入れられず
「マジかよ…おまえがそんな謝罪方法を発想していたとは…!」
「いきなりそんな選択が
『
恵は不服を
【千亜紀 は上司の
「それならこれだ! 《念を送る》!!」
【千亜紀 は念を送ったが、その衝撃で
「くそう! 気付いてくれという俺の念力が強すぎてしまったのか…!!」
『いやなんでそもそも超能力使えてるんだよおまえの人生!?』
【春 はレストランでマルチ商法の勧誘に囲まれてしまった! どうする?】
「じゃあこれで。《油を差す》」
【春 が差した油が引火して火災が起きたため、マルチ商法から
『いやそれどころじゃねぇだろレストランが!? 自分が助かればどうなってもいいのかよ!?』
一向にAIの判定基準が
【恵 は恋人に「私と仕事、どっちが大事なの!?」と迫られた! どうする?】
——新たに引いた《らいふカード》は…《フライパンを振り回す》!? こんなの選んだら絶対
——でも他の手持ちも《大の字になる》《牛乳を注ぐ》《
またもや長考を重ねた末、苦し紛れに出した回答は《牛乳を注ぐ》に決定していた。
【恵 は牛乳を注いだが、恋人には「私乳製品アレルギーなんだけど!?」と
『知らねぇよおまえの免疫事情は!? ホットミルクで気持ちを落ち着かせたとかそういう流れにはならねぇのか!?』
「おいおい恵、早くも《らいふポイント》が残り500だぜ。次のマイナス具合によっては社会的に死ぬぞ」
『くそ、どうしようもねぇなこのゲーム…初見とはいえ
2巡目を終えての《らいふポイント》は千亜紀が1,700、春が2,800に対し、恵は500と圧倒的な差を付けられていた。というより、自滅を重ねていた。
「
*****
果たして恵は社会的に死ぬことなく人生を終えられるのか。後編へ続く。
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