1.期末試験は戦争 ≪後編≫
『ねぇよ!? さっきからおまえの発言が怖いんだけど!?』
「まぁ1本$30するから、円安のご時世だとこの出費は怖いよね」
『こんな物騒なもんに出費を
「そんなに興奮するなよ、勝算はあるって言っただろう。試験官のキャンさんは、僕の所属するサークルの幽霊部員だ。でも一度会ったときに、キャンさんのパラメータは熟知している。あの人のヒットポイントやアビリティを考慮すれば、ペンシルロケットを20本
『おまえはおまえでなんか違うゲームやってない!?』
「よし!発射だ!!」
春の意気揚々とした号令と共にペンシルロケットは断続的に放物線を
『…なんか、割とバラバラに到達したみたいだったんだけど?』
だがロケットの軌道はそれぞれが微妙にずれており、集中攻撃と呼ぶには散漫な結果となっていた。
恵は顔を
「あー…、そういえばこの武器の命中率って…僕のアジリティー依存だった。」
『よく
即座に反撃の弾道が襲い掛かり、恵は再び衝撃に吹っ飛ばされて講堂の最奥付近へと転がった。
依然として銃撃と爆撃の応酬は続いており、身体の
——も、もう
春の安否を確認する余裕もなく、恵は不意に視界に入った出入口の扉に夢中で手を掛けようとした。
「おいおい、まさか諦めちまうのか?」
だがそのとき、恵は扉の
「この試験会場を一歩でも出れば即
『
「まぁ落ち着けよ恵。俺ならキャンの奴…
『
「俺と
『おまえ出身は神奈川の普通の公立高校って言ってなかったっけ!?』
「そこで俺の開発したこのシールドキラー…壊れた水道管を
『なんでピンポイントで対策
「使えば必ず
『全然協力を要請する立場の
「何言ってんだ、≪どこでも六法≫なら持ち込み可能だったろ?」
『鈍器として持ち込んだ覚えはねぇよ!!』
祐希と言い争っていると、比較的安全圏であったはずの講堂の最奥でもあからさまに着弾が増えつつあった。
「とにかく突っ込めよ恵! この試験はおまえに掛かっている!! その辺の
祐希の言う通りに動くことでこの殺伐とした時間が
『このくそおおお! どいつもこいつもいい加減にしやがれえええ!!』
講堂の一番下までやけくそに到達した恵は、不明瞭な視界の中でも舞台が
そのとき大きな
『おおらああああ!!』
そして恵は最初に試験官が立っていたと
だが予想に反して、
「ふはははは! 見たか虫けら
『キャラ変わりすぎだろこの人…あと戦車の名前がだせぇ』
更にこれまでに耳にした数々のフレーズや呼称も古い記憶を
『それ…●ザー2のパクリだよな?』
そう問いかけた瞬間、時間が止まったかのように講堂内が静まり返った。
「…ななな、何を言ってるんだおまえは!?」
静寂の中で
——そうだ、俺はいま著作権法の期末試験を受けているんじゃないか。
『著作権は一定の正当と認められる場合を示したうえで、著作物を自由に使用してよいと定めているのであって
「や、やめろぉ! 正論を
『うるせぇ! 期末試験で正論ぶつけて何が悪いんだよ!!?』
恵の
「…恵…恵! おい起きろ、もうすぐチャイムが鳴っちまうぞ!?」
舞台だった場所には戦車の残骸が
『…千亜紀、俺らは試験をやり遂げたのか?』
「ああ、そうだ! 俺達2人以外は、残念ながら脱落しちまったみたいだがな…」
『そうか……春も祐希も、あのキャンさんて人にやられて…』
「いや、あいつらは著作権に引っ掛かって脱落だ。他の連中も…2番校舎の地下の店で武器調達してた奴は漏れなくおじゃんだ」
…となるはずが、
『おい、じゃあおまえはどこで重火器を調達してたんだよ』
*****
後日、案の
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