菫が見つけた約束

沼津平成

 菫が見つけた約束は

 小さくて儚いものでした

 されど菫は守りました

 儚いきずなが

 奇跡を創ることになる、

 とはつゆしらず――


 1927年、エフ鉄道アイ駅を汽車が通過していった。青年・菫太郎すみれたろうは、ため息をついた。白く天に昇って行って、それは消えていった。

 久しぶりの爽快感だった。決して愉快にはならなかったが。雪が降り積もる町は、今日も穏やかだ。

 特徴の掴みづらい平凡な町だった。されど、のどかで穏やかで、ちょうどいいところまで開けている田舎だった。

「この街に出てもう何年経った?」

 菫は独り言ちた。

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菫が見つけた約束 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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