第23話フェリシアとの再会

 町まで送るという私の提案にいい返事でお願いされた。

 魔物の群れに襲撃されて死にそうになってたんだし無理もないよね。

 ちゃーんと私が安全に送ってあげるから安心しなさい。

 こうして私は冒険者三人組を護衛してフェリシアの町まで行く事になった。


 移動の合間にLVアップしたステータスを確認しておこうかな。

 ステータスオープン!


―――――――――――――――――――――


〖アテナ〗

種族:幼黒石竜子ようこくせきりゅうし

ランク:D

LV :18/35

HP :135/157

MP :98/116

攻撃力:123

防御力:83

魔力 :116

素早さ:109


通常スキル

〖鑑定LV4〗〖鱗LV4〗〖気配探知LV4〗

〖思考加速LV4〗〖念話LV4〗〖人間言語LV4〗

〖飛行LV2〗〖暗視LV2〗〖隠密LV2〗

〖HP自動回復LV2〗〖MP自動回復LV2〗〖肉体再生LV2〗

〖痛覚緩和LV2〗〖体当たりLV4〗〖尻尾攻撃LV4〗

〖爪撃LV5〗〖牙撃LV3〗〖ファイアブレスLV4〗

〖呪詛LV1〗



魔法スキル

〖火魔法LV4〗

着火ライター〗〖ファイアボール〗


〖土魔法LV3〗

〖ダート〗〖ダートウォール〗


〖水魔法LV3〗

〖癒しの水〗〖浄化の水〗


〖闇魔法LV2〗

〖ダークミスト〗


耐性スキル

〖物理耐性LV4〗〖魔法耐性LV2〗〖酸耐性LV4〗

〖毒耐性LV6〗〖麻痺耐性LV2〗


称号スキル

〖転生者LV――〗〖悪食LV――〗〖反逆の寵児ちょうじLV――〗

〖修羅界LV――〗


スキルポイント:590


―――――――――――――――――――――


 ステータスめちゃくちゃ上がってる!

 いつの間にかスキルLVも全体的に上がってるし、もうマーヴェリックリザードの時の比じゃないくらい強くなってるわ。

 ステータスは全体的に高くて隙がない。加えて以前より魔力が高いわね。

 幼黒石竜子ようこくせきりゅうしは魔法が得意なのか? 積極的に使ってみようかな。


「リザードの姉さん。そこを曲がったら町が見えてくるぜ」


 私がステータスの確認をしていると、アランがもうすぐ町に到着すると告げてきた。


『わかったわ。本当に大丈夫なんでしょうね?』

「大丈夫だって! 俺らに任せときな! 恩リザードの姉さんを悪いようにはしねえよ」

「うむ。我らに恩返しのチャンスをくださいませぬか」

「そうだよリザードの姉さん。私たちを恩知らずにさせないでよ」


 三人が何を言っているかというと、命の恩リザードの私を町に招待して歓迎したいそうだ。

 アラン曰く「なーに小さな町だからな。俺らが連れてる魔物だって紹介すれば大丈夫さ」だそうだ。

 本当かなぁ。ちょっと心配だよ……。


 アランの言う通り、道を曲がると小さな町が見えてきた。

 予想通りというか何というか、マンガやアニメ、ゲームなんかでよく見る異世界ファンタジーな町並みだった。


 ここがフェリシアの住んでいる町か、町というより村に近い規模だわ。

 町の規模は小さいし、人口で言えば数百人程度の田舎町だね。

 私は少しの不安を抱えながら町に入った。


「おい……あれは魔物じゃねえか……!?」

「キャ―――ッ! おっきい魔物よーーッ!」

「誰かシスターを呼べ! 魔物が町に侵入してきたぞ!」


 私の嫌な予感が当たったのか、住民たちの慌てふためく声が聞こえてきた。

 ほらー、やっぱりこうなった。

 どうすんのよこれ?


「みんな大丈夫だ! 落ち着け!」

「この魔物は我らが従魔契約している!」

「危険はないから大丈夫だよ! 安全な魔物だから落ち着いてー!」


 パニックになっている住民にアランたちが呼びかける。


「従魔契約……? なんだ、先に言ってくれよ冒険者さん」

「すまねえな。まさか町に入った途端騒ぎになるとは思わなくてよ」

「そういう事でしたら大丈夫です。騒いでしまいすみませんでした」


 アランたちの説明に納得したのか、住民たちは落ち着きを取り戻して日常に戻っていった。

 町が平穏を取り戻すとアランが私に頭を下げてくる。

 どうした急に、何かあったか?


「すまねえ姉さん。恩リザードのあんたを従魔だなんて言っちまって」

『ああ、そういう事ね。非常時だししょうがないよ。寧ろ落ち着いた対応に驚いたくらいよ』

「我らは冒険者ゆえ、非常事態の対応には慣れているのです」

「戦闘力では全然姉さんに敵わないけど、私たちも結構やるでしょ?」


 うん、普通に凄いよ。

 でもこいつら、初めから私の事を従魔で押し通す気だったろ?

 ま、上手くいったしいっか。


 私が一人納得していると、町の奥から黒い衣装に身を包んだ美少女が住民と一緒にこちらに駆けてきた。

 あれはフェリシアじゃないか、慌ててどうしたんだ?


「現れた魔物はどこですか! あれは大きなリザード系の魔物……でも、暴れていないしおとなしくしている……これはどういう状況なのですか?」


 フェリシアは私の隣にいるアランに状況の説明を求めた。

 それに対してアランは困ったように私を見る。


「すまねえ姉さん。早とちりした住民がフェリシアさんを連れてきちまったみてえだ」

『いいよ。フェリシアには私から説明するわ』


 私はフェリシアに花畑で別れて後進化した事、湖で冒険者が魔物の群れに襲われていたところを助けてここまで護衛してきた事、その冒険者三人の従魔という設定で町に入ったなど、今までのあらましを説明する。

 フェリシアは「なるほど、そういう事ですか」と納得したように頷いた。


「約束通り大蛇について調べてくれたのですね。ありがとうございます。しかしアテナ、僅かな間に貴方の姿が変わっていたので驚きました」

『進化したら一瞬だったよ。魔物の成長は早いみたい』

「見た目は変わっても優しいアテナのままですね。三人を助けていただきありがとうございます」


 フェリシアは胸の前で手を組み私に頭を下げた。


「へー、リザードの姉さん本当にフェリシアさんの友達だったんだな。それに、アテナって名前だったのか」

「ネームドでしたか、さすがですな」


 私たちの様子を見ていたアランとダンカンが声をかけてきた。


『ネームドってなに? 凄いの?』

「ネームドっていうのは名前を持つ魔物の事だよ。普通魔物は名無しなんだけど、強かったり潜在能力があったりすると名前を持ってる個体が生まれるんだ」


 マイが補足説明してくれた。

 なるほど。ようするに私強い、または才能あるって事だな。嬉しいじゃんか。

 勝手に名乗ってるだけな気もするけど、〖鑑定〗に表示されるんだから本物だと思うよ。


「そう。それがネームドです。アテナの場合は私が名付けたので、他とはちょっと意味合いが変わる気もしますが、人間と変わらないほど高い知能を持つ魔物は珍しいんですよ。いずれ世に名を残す魔物になるかもしれませんね」


 フェリシアからお墨付きをもらえた。

 素直に嬉しいわ。


「立ち話もなんですし、私の家にきてください。歓迎しますよ。三人もぜひ」

「「「ありがとうございます!」」」


 またも冒険者三人の声が綺麗に重なった。調子のいい奴らだ。

 私もフェリシアの家には興味があるし、お誘いも嬉しい。

 喜んでお呼ばれするけどね。

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