第10話人間絶許
前回のあらすじ、食料調達に出たら三人の人間と遭遇して絶賛襲われ中。
私がレアな魔物とわかるや目の色変えて襲ってきましたよ。なんて凶暴な連中なんだ。
「はああああっ!」
先頭の男はまだ私と距離が離れているのも構わず剣を振り抜く。
えっ! 何やってんのあの男? あんな遠くから届くわけないじゃない。バカなの?
そう思っていた時期が私にもありました。
なんと、男の振り抜いた剣から衝撃波が生まれ、私に向かって飛んできた。
緊急回避ー!
なんとか横っ飛びで回避を試みたが、長い尻尾を半分ほど斬られてしまった。
クソッ! 先手を打たれた! まだ距離があったから油断したわ……!
まずは〖鑑定〗して戦略を立てよう。
―――――――――――――――――――――
〖アラン〗
種族:人間
LV :17/35
HP :67/67
MP :11/12
攻撃力:48+12
防御力:35+7
魔力 :12
素早さ:39
装備
〖アイアンソード:Dランク:攻撃力+12〗
〖皮の鎧:Eランク:防御力+7〗
通常スキル
〖真空斬LV3〗〖気配探知LV3〗〖思考加速LV1〗
〖人間言語LV5〗
耐性スキル
〖物理耐性LV2〗〖毒耐性LV1〗
称号スキル
なし
スキルポイント:280
―――――――――――――――――――――
私の尻尾を斬った男を〖鑑定〗するが、ほとんどのステータスが私よりも高かった。
げえっ! こいつ強いぞ!
〖気配探知〗のスキルで隠れてた私を見つけたのか?
今後は隠密系スキルを取らなきゃだな。
それと、私の尻尾を切ったのはあの〖真空斬〗ってスキルかな?
斬撃を飛ばす事で剣士なのに近距離遠距離共に隙がないわ。
たぶん他の連中も同じくらいの実力だろうし、それがパーティーを組んで襲ってくるとかどんなクソゲーよ!
どうする? どうする? どうする!?
しょうがない! 気は進まないけどあの手でいくしかない!
〖ファイアブレス〗だ!
「うおっ! このリザード火のブレスを使うぞ! 気をつけろ!」
まずは〖ファイアブレス〗をお見舞いする。
だが、私の尻尾を斬った男は迫るブレスをも斬撃で切り裂いた。
「その程度のブレスが俺に通用すると思うなよ――なにっ!」
「むっ! リザードが消えた!」
「あ~ん、レアモンスターに逃げられちゃったー!」
私は〖ファイアブレス〗を放った直後、人間たちに背を向けて逃げ出した。
ブレスはダメージを与えるためのものではない。人間たちの視界を塞ぐために放ったのだ。
これは逃げたのではない! 戦略的撤退だ! 私は決して負けていないのだ!
「ちっ、せっかくのレアモンスターだったんだが逃げられたか」
「むっ! そこに落ちているのは、あのリザードの尻尾ではないか?」
「ラッキー! レアモンスターだったし、尻尾だけでも高く売れるんじゃない?」
クッソーあいつらー! 私の大切な身体の一部を売り払うつもりか!?
絶対に許さん! 絶許だ!
覚えておけよ人間、次に顔を合わせた時が貴様らの人生の幕を引く瞬間になるだろう。私を怒らせた事を後悔するんだな!
【通常スキル〖呪詛LV1〗を取得しました】
おおっと! 恨み事呟いてたらなんかスキル取得したぞ!
これはどんなスキルなのかな?
【通常スキル〖呪詛〗とは、強い恨みの念を持つ者が取得できるスキルです】
【呪詛の念を送った対象者の運を下げる事ができます】
運を下げるねぇ、嫌がらせ用のスキルかな?
まあいいわ。私は受けた恨みも恩も忘れない女、存分に呪ってあげるわよ!
私は人間たちに呪いの念を送りながら全力でその場を後にした。
人間たちから離れるために大分移動したわね。お陰様で道に迷っちゃったわ。
安全な場所まで必死に移動した私は道に迷っていた。見覚えのある景色はなくなり、拠点までの道もわからなくなってしまった。
でも、今きた道を戻ったらまたあいつらに会いそうだしなー、どうしよっか?
ええい! ここまできたら何の収穫もなしに帰れるか!
意地でも獲物を見つけてから帰ってやるんだから!
食料調達の続行を決めた私が道を進んでいると、森の少し開けた場所に出た。鬱蒼とした森でありながら日光が当たり、その空間だけは一面花畑のようになっていた。
綺麗な花畑だわ。凶暴な魔物がいっぱいの危険な森と思っていたけれど、こんな場所もあったんだ。
「ガウォオオオッ!」
美しい花畑をトコトコ歩いていると、死角から獣型の魔物が咢を広げて襲いかかってきた。
しまった花畑に見惚れて油断した! この世界は人間だけじゃなくて魔物も危険だったんだ!
「危ない!」
噛まれると思ったその時、突然現れた誰かが獣型の魔物をぶっ飛ばした。
えっ誰? 一撃で魔物を倒しちゃった……って、ゲゲ! 人間ッ!
でも、綺麗な人だな、こんな美人初めて見たよ……。
魔物をぶっ飛ばした相手は人間は十代中盤から後半くらいの女の子だった。
その身は清廉な白黒の衣装に身を包んでおり、胸には丸い飾りのついたロザリオが輝いている。そして何より、透き通るような白い肌と、艶やかな水色の髪と瞳を持つとんでもなく可愛い女の子だった。
異世界美少女シスターじゃんか!
あの子の周りだけ清浄な空気が流れている気がする。人間空気清浄機か?
いや違う! 例えるなら、凶暴な人間と魔物だらけの世界に咲く一輪の花だわ!
「大丈夫ですか? 危ないところでしたね」
清廉な空気を身に纏う少女は、私に優しく微笑み、そう語りかけてきた。
ドキッ! こんな美人に優しい顔で微笑まれたらキュンッてしちゃう!
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