第7話十界称号スキル〖修羅界〗

 いやー、今回の戦いもギリギリだったなー。緊張がとけたらお腹空いてきちゃったよ。

 おやっ、ちょうどこんがり焼けたモグラがそこにあるじゃない。いただいちゃおうかなー。

 ガブリンチョ! モグモグモグ……うんまーいっ!


 このモグラ結構いけるじゃない。思えばこの世界に転生してから碌なもん食べてなかったんだもの、ちょっと臭みはあるけど、お肉なんて美味しいに決まってるよね。

 塩があればもっと美味しいだけどなぁ。そのうち海にでも取りに行こうかしら?

 食生活の改善はトカゲ生を豊かにするから必須だよね。


 でも〖ファイアブレス〗で焼けるなら〖火魔法〗いらなかったのでは……気にしたら負けだ。

 ちょっと火起こししたい時に便利だし、適材適所、物は使いようだよ。

 私は〖火魔法〗スキルを取得した事を後悔なんてしないよ。まだLVも低いし、伸びしろは十分残ってるはずだもの。


 さて、お腹も膨れた事だし、LVアップしたステータスを確認しようかな。

 ステータスオープン!


―――――――――――――――――――――


種族:マーヴェリックリザード

ランク:E

LV :4/20

HP :2/48

MP :2/24

攻撃力:34

防御力:27

魔力 :24

素早さ:41


通常スキル

〖鑑定LV2〗〖鱗LV2〗〖気配探知LV2〗

〖思考加速LV2〗〖体当たりLV2〗〖尻尾攻撃LV2〗

〖ファイアブレスLV2〗〖爪撃LV1〗


魔法スキル

〖火魔法LV2〗

着火ライター


耐性スキル

〖物理耐性LV2〗〖酸耐性LV2〗〖毒耐性LV3〗


称号スキル

〖転生者LV――〗〖悪食LV――〗〖反逆の寵児ちょうじLV――〗


スキルポイント:1000


―――――――――――――――――――――


 おおっ! かなりステータスが上がってるわね! これならモグラ級の魔物相手でも怖くないわ。

 まずはさっき取得した称号スキルを調べてみようかな。


【〖反逆の寵児ちょうじLV――〗とは、複数回瀕死の状態で戦闘に勝利する事で入手できる。死に反逆する者へ与えられる称号スキルです】

【瀕死時の攻撃力が上昇します】


 なるほど、最後の底力スキルね。

 名前はかっこいいけど下手すりゃ死んじゃうから、なるべくなら使いたくないスキルだわ。


 他にはっと……あっ! スキルポイントが1000まで貯まってるじゃない! 何か新しいスキル取っちゃおうかなー。

 そう思い取得可能スキル一覧を表示すると、前回には表示されなかったスキルが数種類加わっていた。


 さすがに1000ポイントもあれば種類も増えるみたい。まず〖HP自動回復〗〖MP自動回復〗〖肉体再生〗この辺りの回復系は絶対に必要ね。

 他には……ん、これは何だろう?


 スキル一覧を確認していると〖修羅界〗という文字が目に留まった。

 確か修羅界って仏教の十界論の一つだったかな? なんでそれが取得可能スキルにあるんだろ?

 困ったら〖鑑定〗!


【〖修羅界〗とは十界称号スキルの一つ。自分と他者を比較し、常に他者に勝ろうとする勝他の念を強く持つ者が、非常に稀ではあるが取得する事ができるレア称号スキルです。取得する経験値とスキルポイントがアップし、LVアップ時のステータス上昇値がアップします。スキルもLVアップや取得がしやすくなり、進化先にも影響が出ます】


 レア称号スキル出たーーーッ! 私の大好きなSSR!

 でも、修羅界って言葉が不穏なんだよね。天の声の説明を聞いても碌な物じゃないし、私の危険センサーも警笛を鳴らしているわ。

 勝他の念がどうたらってのが怖いし、私の勘では精神が侵食されるんじゃないかと予想してる。

 これ取得して大丈夫なのかな?


 ちなみに取得に必要なスキルポイントは……1000! ピッタリ取れるじゃん!

 これは神が取得しろって言ってるわね。それとも運命かしら?

 私はフラグブレイカーじゃないし、〖修羅界〗の効果は魅力的だ。


 どちらにせよ、そこまでお膳立てされたら取らないという選択肢はないわ。

 私たちゲームオタクは強く成長できる道を示されたならば、それが茨の道であろうと進んでしまう生き物なのだから。

 例え精神が侵されようと、私の鋼の意思で抵抗してみせる!

 称号スキル〖修羅界〗を取得だ!


【称号スキル〖修羅界LV――〗を取得しました】


 天の声が称号スキル〖修羅界LV――〗を取得を天の声が告げる。

 その場の勢いで取っちゃったよ。いまさら不安になってきた……大丈夫かなぁ。


『へー、〖修羅界〗を取得したのが君みたいな産まれたばかりの雑魚とは驚きだね』


 私が不安に苛まれていると、いつもとは違う声が頭の中に響いてきた。

 その声は天の声の姉さんとは違う感情のある声音だったが、女性なのか男性なのかもわからない中世的な声だった。


 何これ? 第二の天の声?

 天の声の姉さんと違って感じ悪いなぁ。

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